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プロローグ

別れと出会い

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 子供だった、あの頃。未来は夢と希望に溢れていた。
 大人になったらこの日本だけじゃない。世界中を旅して回るんだ。そして普通では見られない風景を見て、普通では触れられない異文化に触れてみたい。
 なりたい職業だっていっぱいあった。サッカー選手や宇宙飛行士、医者になって命を救うのも良い。
 それから25年以上の月日が過ぎていた。

 ポテトチップスは箸派。手が汚れるとパソコンのキーボードとかマウスが汚れちゃうからね。
 バリバリバリ
 そこへすかさずコーラを投入。
 ゴキュゴキュゴキュ、ゲフッ
 ゲップも出ちゃうよね、コーラだし。

 俺、八名信夫、40歳。
 子供の頃に見付けた夢。多くの夢の中から選び取ったのは小説家だった。
 小説家になるため実家に引き篭もり、ただひたすらに小説を書いてみたわけだが、どうも才能は無かったようだ。
 いつか芽が出るだろうと思ったが、花は全く咲かず今に至る。
 高校も大して行かずに中退、就職もせず、ただ自分を信じて小説を書いていたんだが、裏切られた気分でいっぱいだぜぇ。つい最近気付いたわ。
 しかし今から人生を挽回出来るだろうか?
 40歳職歴無し実家暮らしの無職がこれから。しかも女性経験すら無い俺が。そう考えて俺は……現実逃避してネット巡回をしていた。
 そして朝方になり加齢臭のキツイ万年床の布団で眠りに就くのだった。

 夕方、目を覚まし、散らかった部屋から出る。
 親父スマンな、働かずに食う飯はやっぱり美味いのよ。だってお袋は料理上手だから。
 この時間、いつもならそのお袋が夕飯を作っているはずだが……おかしい……家に人の気配を感じない。
 居間に入り、台所も覗く。
 親父もまだ帰宅していないようだった。お袋の姿も無い。まだ買物から帰っていないんだろうか?
 そしてテーブルの上に一枚の紙を見付けた。そこに書かれた親父の書いた文字。

★★★

 信夫へ。
 父さんと母さんはここ数年ずっと考えいた。
 私達はお前より早く死ぬ。私達が死んだその後、一人残された信夫はどうやって生きて行くのか? 生きて行けるのか?
 私達がここに居たら、お前はきっと変わらない。変わらなければ生きて行く事すら出来ない。
 だから父さんと母さんは世界一周旅行に行く事にした。

★★★

 ん?
 せ、世界一周旅行? ど、どうゆう事?
 そこで固定電話が鳴る。そこに表示されたのはお袋からの着信だった。
「もしもし!! お袋!!?」
『信夫?』
「お前の可愛い信夫だよ!!」
『その信夫は偽者ね』
「穀潰しの信夫だよ!!」
『あら信夫』
「ひでぇ!! それよりどういう事だよ、世界旅行って!!?」
『あのねぇ、宝クジが当たちゃったのよ。だからお父さんと二人きりで世界旅行でもしようかなって。2年くらい』
「2年!!? 俺は!!?」
『大丈夫。タンスの中に30万円あるからそれを使って』
「30万で2年も暮らせんだろ!!」
『そうねぇ……後は自分で何とかしなさい。バイトでも何でもして』
「なっ、きゅ、急に……」
『……お父さんやお母さんが急に居なくってしまう事もあるのよ。お父さんも手紙を残していたでしょう? これを機会に変わりなさい』
「こ、心の準備が」
『さて。じゃあね。頑張るのよ』
「お袋!!」
『うるさい。もう船の時間だから切るぞ』
「親父!!?」
 親父の声と共に電話は切れるのだった。
 ……
 …………
 ………………マジか……宝クジって……それに世界一周……2年……
 親父とお袋の言っている事は分かる。いつか両親は居なくなる。それが30年後か、10年後か、1年後か、今か……
 俺は一人で生きて行けるようにならなければ……と言うか、これチャンスじゃね?
 一人家に残された無職が再起する物語。自分のこの実体験にちょっとファンタジー要素とか入れてライトノベルを書いたら面白くなるかも!!
 そうピンチはチャンス!!
 これは俺が小説家になるための、神様からのチャンスなんだ!!
 そうと決まれば、まずはコンビニで飯と履歴書を買って来なければ!!
 俺は家を飛び出した。こんなに体中を熱が駆け回っているのは久々だぜ!! 体内に体内に生まれた熱をエネルギーに変えて駆け出すのだ!!

 よし、これで俺は生まれ変わるんだぜ!!
 それは色々と買い込んだコンビニの帰り道だった。 
 キキィッッッッッーーー!!
 耳障りな車のブレーキ音。焼け焦げるようなゴムの臭い。
 クラクションが激しく鳴らされる。
 気付いた時にはもう遅かった。
 振り向いた目の前には大きなトラックの車体。次の瞬間。
 痛みなど感じない。ただの衝撃。自分の体が人形のように跳ね飛ばされているのが分かった。
 あ……ダメだ、これ。
 目の前が闇に閉ざされた。

★★★

 どこだよ、ここは?
 椅子に座っていた。目の前にはテーブル。シンプルではあるが所々にだけ複雑な装飾が施されている。
 周囲の様子は……狭いのか……広いのか……雲の中のような……
 目の前には女性が座っていた。
 いつからそこに居たのか……白いドレスに身を包んだ、今まで見た事の無いような美しい女性。
 白く透き通るような肌に、輝くような白い髪。整った顔の造りの中、燃えるような真紅の瞳に息を呑む。
「はい、アナタはこれが好きなのよね?」
 差し出されたカップの中には黒い液体、炭酸がシュワシュワと鳴る。
 これは……コーラだ……
「あの……ここはどこでしょうか……それに俺……」
 俺はトラックに轢かれたはず。死ななかったとしても無傷のはずが無い。ただ俺の体に怪我をした様子は見られない。
 女性は自分の持つカップに口を付けると……
「これがコーラ……初めて飲んだけれど結構美味しい」
 確かに俺はコーラが大好きだけれども。やっぱり俺は死んだんだよな? じゃあ、目の前のこの美人さんは……
「……もしかして死神?」
「……そうね」
 女性はカップを置くと静かにそう呟いた。そして言葉を続ける。
「アナタを助けなかったのだから死神と言われても仕方ないわね」
 その言葉は俺に向けられているというより、自分自身に言い聞かせているようにも聞こえた。
「私はアリア。八名信夫、アナタの世界では神と言われる存在よ」
 ……ゴキュゴキュゴキュ、ゲフッ
 とりあえず差し出されたコーラを一気に飲み込んだ。
 自称・神が目の前にいる。そして『助けなかった』の言葉。こりゃ完全に。まぁ、夢でなければ……
「死んでるわ、俺」
「本当にごめんなさい。私は誰に対しても平等なの。運命に対して平等に何もしない」
 神は俺の言葉を否定しない。
「運命……死ぬ運命だったって事か……ははっ、何も出来なかったな」
 小説家になる事はもちろん、本当は両親への恩返しもしたかった。結婚をして子供だって欲しい、産まれる子供達の名前も考えたりもした。
 そう全て遅かったんだ。
「……で、神様。死んだ人間はみんなここに来るんでしょうか?」
 ここは死後の世界か。
「いいえ。アナタは特別なの」
「特別?」
「……人と人はね、運命が絡み合いっている」
 神様はコーラを一口。そして言葉を続ける。
「アナタの運命にはご両親の運命はもちろん、今まで出会った人、これから出会う人、全ての人の運命が複雑に絡まっているの。運命が絡まっているから、解けないからこそ人はまた同じ世界へと生まれ変わる事が出来る」
「生まれ変わるための命綱みたいですね」
「そうね。でもその命綱が途切れてしまっていたら?」
「もしかして生まれ変われない……俺が特別なの、もしかしてそれ!!?」
 えっ、普通は生まれ変わる事が出来るけど、俺はダメって事なの? もしかして本当の終わり、無ってヤツ???
「アナタの運命は今までの世界とは途切れ、今は別世界と繋がっているのよ」
「何でまた別世界と?」
「それこそが運命。神ですら知りえない、そして介入も出来ないモノ」
「つまり……これは……異世界転生……」
 ここ数年、ライトノベルの人気ジャンルである異世界転生物じゃないか!! 読む側から、書く側を飛び越えて体験する側に!!?
「転生する先は文明的には中世後期のヨーロッパに近く、アナタの世界と一番違うのは魔物と呼ばれる存在があり、魔法が発達している部分ね」
「しゃぁ!!」
「っ!!?」
「いえ、何でもないです。続けて下さい」
 理想的な世界じゃないか!!
「ただ同じ世界に生まれ変わる事が普通だから、生まれ変わった後の能力は前世に準ずる程度になる。だからアナタが別世界に産まれても元の世界程度の能力しか得られない」
「つまり俺には魔法とか使えない……」
 テンションだだ下がりだわぁ……
「それだと生きていく事が出来ない。だから私が魔法を使うための魔力や能力を与えるの。それが私の、神の役目」
「しゃぁ!!」
「っ!!?」
 テンションめちゃ上がるわぁ!!
「その能力を含めて、俺の要望とか聞いてくれるんでしょうか!!?」
「アナタは元の世界との繋がりを失ってしまった。その補償という意味で出来る範囲ならね。しっかり考えて」
「いや、もう考えてあります」
「もう?」
 ふふっ、異世界転生物……俺もそんな小説を書こうと考えていた、そして異世界で無双するために色々と考えていたのだ!!
「まず魔法。絶対に負けない最強クラスの魔法とか能力を使えるようにして下さい」
 ふふっ、この要望のキモは神様本人に能力を選んで貰う事。
 他の異世界転生物の小説を読んで見たが、物語の主人公達の能力は様々、どれを取っても便利だろうと思う反面、どれを取っても同じでは思う。
 だったらその世界において何が最強か、神様に考えて貰った方が良いのではという結論に至る。
「生まれ変わる種族にもよるけど、その種族の上限を大きく越える能力は与えられない。それで良ければ」
「それでお願いします。それと今の記憶をそのまま引き継ぐ事、あと言葉が全て分かるようにもして下さい」
 文明レベルが中世後期なら、今の俺の知識が役に立つはず。ただ今の記憶を引き継ぐなら言葉を新たに覚えられるかが心配。なのでこのお願い。
「ええ。分かったわ」
「それと……」
「……多い」
「……ダメ?」
「良いけど」
「……性別は女の子にして下さい!!」
「……女の子?」
「今が男なんで、次は女で」
「……」
「やましい気持はありません」
「……本当に?」
「……本当です」
「……」
「見た目は今の神様みたいな綺麗な感じで」
「っ!!?」
「ちょ、ちょっと引いてませんか?」
「……一体何をする気なの……?」
「そうじゃなくて!! ほら、神様すっごい美人だから!! どうせならそういう容姿になりたいと純粋に思ったんです!!」
「……本当に?」
「……本当です」
「……それは嬉しいけど、本当に私と同じような感じで良いの?」
「もちろんです」
 うへへへぇ、自分の体なら何をしても良いもんな……
「今、凄いエッチな顔をした!!」
「してません!!」
「した!!」
「してません!!」
「した!!」
「……少しだけ」
 プッと神様が小さく吹き出す。そして笑いながら言う。
「じゃあ、私の妹みたいにね」
「それと最後に……」

★★★

 最後のコーラを飲み干して。
「そろそろ行こうかなと。また会えたりします?」
 神様は首を横に振る。そしてコーラを一口。
「これが最初で最後。もう会う事は、ケプッ」
「神様もゲップするんですね」
「そ、それがコーラでしょう?」
 不貞腐れたように言う神様が可愛くて少し笑ってしまった。
「……それじゃ、神さ……」
「……」
「……アリア様。ありがとうございました」
「アナタの人生が素晴らしい日々になりますように」
 そう言ってアリア様は笑うのだった。

★★★

 おっ、集まっとるがな。
 旅行に出掛けたはずの両親。結婚して家を出ていた弟。一人暮らし未だに独身の妹も。
 家族が我が家の居間に揃っている。
 そして、その棺桶は……中身は俺か。
「親父、お袋、せっかくの旅行だったのにスマンな」
「信夫!!?」
「の、信夫なの?」
 目を今まで見た事無い程に見開く親父。
 俺と棺桶を交互に振り返るお袋。
「あ、兄貴? し、死んだって……」
「えっ、えっ? ドッキリ?」
 キョトンッとアホみたいな顔をしている弟。
 干支一回り離れている妹は相変わらず可愛い。
「いや、ドッキリじゃなく死んでるんだな、これが。神様にお願いして最後に会いに来たんだよ」
「この親不幸者が!!」
 親父は突然に立ち上がり、俺をブン殴……ろうとするのだが、その拳と体は俺の体を透り抜けた。
「親父……」
 そこまで俺の事を……確かに俺は無職の穀潰しだが家庭仲は別に悪くない。
 親父は居間のテーブルの上から紙袋を手にし、中身を取り出した。
「こんな物を警察で確認させられる親の気持を考えろ!!」
 そ、それは、俺が死ぬ直前にコンビニで買った物!!
 履歴書と複数冊のエロ本!!
「ち、近頃のエロ本はDVDが付いててお得だから……」
 焦ってよく分からない言い訳をしてしまう。
「うわー」
 軽蔑の表情を浮かべる妹。
「兄貴さぁ。働きもしないで親に迷惑掛けて、最後の遺品がエロ本とかどんだけだよ。何のために産まれたんだよ?そんな最後で良いと思ってんのか?」
「お前は俺の部屋の片付け頼む。パソコンはデータごと完全に破壊しろ」
「何を言ってもダメージねぇなぁ、この馬鹿兄貴は」
「キラッ」
 とアニメのポーズを決める。
 俺はメンタルの強い子なんだよ。そんじょそこらの罵り程度でダメージなんぞ入らないぜ!!
 だけど……
「信夫……本当に死んじゃったのかい? もう会えないのかい?」
 お袋の悲しそうなその表情。そのダメージは俺の息苦しくさせる。
 そして俺は知っている。生まれ変わっても、もう二度と会えない。お袋とも、親父とも、弟や妹とも。
 この世界との運命は途切れてしまったのだから。
 でも……
「心配すんな。生まれ変わりってのがあるんだよ。最後ここに来るチャンスをくれた神様が言ってた。だから俺はまたお袋の息子として産まれんだって」
「……無職はいらんのだが」
 と親父。
「母さんに迷惑を掛けるくらいなら産まれてくんなよ」
 と弟。
「今度はもっとカッコいいお兄ちゃんが良い」
 と妹。
「この野郎ども、置き土産にこの場でウンコしてやろうか!!」
 ブーイングの嵐じゃねぇか!!
 しかしその中で。
「また……会えるんだね。お母さん嬉しいよ」
 お袋は泣いていた。
「……う、ううっ……」
 それに釣られるように妹も泣き出す。
 親父は拳を握り締めていた。涙を堪えるように。
「……パソコン。処分しとく。後の事は全部俺がやってやるから、安心して死ね」
「お前は出来た弟だよ。ちなみにもう死んでるから。何度死ぬんだよ、俺は?」
「信夫……信夫……」
 これはお袋への最後の言葉だ。
「お袋……産んでくれてありがとな」
 ダメだ。40歳のオッサンが号泣なんて。俺はクルッと背を向けた。背中から聞こえる俺の名前を呼ぶ声と嗚咽。
「じゃあ、また」
 永遠の別れ。悲しいなぁ……

★★★

 俺は泣いていた。
 悲しいから泣いていたのか?
 ……それは分からない。ただ温かい誰かの胸に抱かれていた。
 視界は……ぼやける。
 視力が弱くなっているのか?
 それでも目の前まで近付いて来れば分かる。
 明るい栗色の長くクセのある髪は汗で乱れ、緑掛かった瞳は涙に濡れていた。しかしその女性の表情は笑顔。優しい声が耳元で囁かれる。
「無事に産まれてくれてありがとう」
 この人は母親だ。
 その言葉は日本語として理解が出来た。アリア様に貰った能力がしっかり機能している。とうとう俺は異世界に転生したんだ!!

 産まれてから数日。
 赤ん坊の視力は相当に低いと聞いた事があるが、転生した特典なのか視力は日に日に上がっていく。
 その目で周りを見回す。
 天井の高い部屋には大きな窓から明るい光が差し込んでいた。白を基調とした部屋の装飾は子供の部屋とは思えないほど趣向が凝らされている。
 その俺の世話をするのは母親ではない。何人もの使用人が入れ替わり立ち替わり出入りしていた。服装的にもこれメイドさんやぁ~
 部屋の調度にメイドさんの数、これ相当な金持ちか家柄な気がする!! アリア様ありがとう!!
 ……と本来は喜ばしい事なんだが……実はそれどころじゃねぇんだよ!!
 鏡に映った俺の頭にはまだ少ないながら白い髪。そして紅い瞳。それはアリア様にお願いしたもの。
 しかし母親は栗色の髪と緑掛かった瞳。一度だけ見た父親は濃い茶色の髪と瞳。つまり俺は両親の遺伝的要素を受け継いでいない。
 結果として母親の浮気が疑われていた。父親も母親も俺の前に現れない。それはこういう事が原因だろう……とメイドさん達が話しているのを聞いた。
 部屋の中、俺の世話をしつつ話す二人のメイド。
「今日もエレノワ様は来られないのですね」
「エレノワ様本人はお会いしたいらしいけど、アラン様がお許しにならないそうよ」
「でも……さすがにこれでは……本当にアラン様のご息女なのでしょうか?」
「エレノワ様が不貞を働くとは思えないけど……でも裏切りの邪神アリアそのままね」
 はんっ?
 裏切りの邪神?
「見て下さい。こっちを見詰めて……まるで私たちの会話を分かっているみたいに……気持ち悪い……」
「止めなさい。聞かれたら大変よ」
「申し訳ありません……」
 そんな会話をしながら二人のメイドは部屋を出て行く。
 裏切りの邪神って……アリア様はこっちではそんな扱いの神様なの?
 兎にも角にも、俺は目障りな存在のようだ……まさか生まれ変わっても厄介者カテゴリーとは。
 しかし俺はメンタルの強い子。今はこんなだが、俺がしっかり育っていけばいつかはみんなが認めてくれるはず。挫けないぜ!!
 と意気込んでいたんだが……

 遠くの森に捨てられた。
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