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第2章:パーティーができあがるまで
43話:「朝の一コマ」
しおりを挟むリリスの襲撃があった翌日、大和は目が覚めた。
最初に目に映ったのはもはや見慣れた木目調の天井
ジェスタの町にある彼の自宅でもある家の天井が見えた。
目が覚めてまだ数秒しか経過していないため意識がぼんやりとしているが
別段病気というわけでもなくだた単純に寝ぼけ眼なだけだ。
昨日あの後リナとエルノアの事情聴取が1時間ほど続いたが
大和が追及の魔の手を逃れるためにベッドに逃げ込む形で事態は収束したのだ。
気疲れもあってベッドに入るとすぐに深い眠りへと誘われたのであった。
(昨日はホントに大変な目にあったぜ・・・・)
天井を見つめながら頭の中でぼんやりと考えていると
次第に眠気が抜けていき意識がはっきりとしてくる。
そして、視線を天井から右に移すと家の出入り口である扉が見える。
扉が見えるが大和が被っている掛け布団に奇妙な膨らみがあることに気付く。
(またか・・・・・・)
もはや大和の中で恒例行事にも似た感覚が襲ってきたが
考えるのも馬鹿らしいと思い至り、思考を放棄する。
確認のため掛け布団をゆっくりとめくってみるとそこには見知った人物がいた。
まず特徴的なのは金色に輝く長い髪だ。
まるでそれは澄み切った川が流れているような錯覚を覚えるほど綺麗な髪で
女性特有の鼻腔をくすぐるいい匂いを纏いながら光り輝いていた。
目鼻立ちは端整という言葉ですら表現しきれないほど整っており
平たく言えば、【美女】だ。
彼女の種族としての特徴が強く出ているとんがった耳が時折ピクリと動いていた。
(毎日毎日なんで俺のベッドに潜り込んでくるんだコイツは・・・・)
そう思いながら彼女から視線を逸らすため反対側に顔を向けると
そこにも見知った顔があった。
髪は先ほどの彼女と比べると短めで髪型は【ショートボブ】に近く
薄青色の髪は普段彼女が着ている白を基調とした神官服に栄える色合いだ。
あどけない顔と女性としての艶やかさの両面を持ち合わせた顔立ちは
まさに少女という表現が適切なものであった。
先ほどの金髪の彼女と比べても見劣りすることなく
寧ろ見方によっては彼女の方が若さで勝っている部分もあるほどだ。
この二人のうちどちらか一人を選べと言われたら答えは一つ
【選べません】これが正しい答えと言わざるを得ないほど彼女たちの見た目は
肉薄しており、永遠に答えが出せない質問と言えるだろう。
(なんでコイツもここで寝てんだよ・・・・・・ったく)
これもまた日常になりつつあるのだが
今まであえて大和がツッコまなかったことが一つある。
それは、二人の美女と呼ぶべき存在が
自分の寝ているベッドで【全裸】で寝ていることだ。
(うーーーーん・・・・・・・・)
心の中で呻き声を発するが当然その声は心の中で発しているため
寝ている二人には聞こえない。
その時リナが寝ている体をよじらせ、体勢を少し変えた。
寝返りというよりはその場で身じろぎするといった状態に近かったが
身体を動かした際に彼女の年齢には不相応な二つの膨らみが揺れ動いた。
それはまるで意思を持った別の生き物のように動き
大和にある衝動を起こさせるがそれをしてしまっては
この女の思うつぼなので男が生まれながらにして持ち合わせている
天賦の才と言っても過言ではない【理性】という男のパッシブスキル (常時発動型スキル)で抑え込んだ。
なんとかとある衝動を抑えることに成功した大和だったが
次の試練が大和を襲った。
今度は反対側の女性が大和の背中に自慢の双丘を押し付けてきたのだ。
押し付けてきたと言ってもそこに他意があるわけでなく
ただ寝返りを打った際にたまたま大和の背中があったので
自分の腕を大和の腰に回して、彼の胴体を抱き枕感覚で抱き込んだのだ。
(うっ・・・・む、胸が・・・・・・)
意識するなと言われてもそれは不可能に近かった。
彼女の膨らみが自らの背中で押しつぶされ形が変わっている感覚が伝わる。
そして、その部分だけに全意識が集中してしまう。
(ぐぬぬぬぬ・・・・・・)
なんとか意識しないようにするものの、そう思えば思うほど
背中に押し付けられた柔らかいものに気が行ってしまう。
何とかしようと試みていた時、事態はさらに悪化する。
大和が視線を向けてる先にはリナが寝ているが
彼女の手が大和の顔に近づきそのまま彼の顔を抱き寄せるかのように
自分の胸に誘ったのだ。
(~~~~~~~~~~っ!)
そんなことをされれば当然彼女の胸に
顔を埋める形となるため背中とは比べ物にならないほど
モロに柔らかさが伝わってくる。
流石ににこれ以上は許容の範囲をオーバーしていることと
寝ているとはいえ二人の行為に我慢の限界を迎えた大和は
声を張り上げた。
「いい加減にしろおおおおおおおおお!!」
そして、彼女たちから無理矢理抜け出すと
寝ている二人の頭にチョップを叩き込んだ。
「うっ!」
「ううー!」
二人とも声にならない声を発していたが
気にすることなくベッドから起き上がり顔を洗うため台所へと向かった。
寝ている者には酷い行いだが、常日頃からベッドに入ってくるなと警告しているので
何をされても文句は言えないそれどころか自業自得だ。
隣の部屋で顔を洗う、まだ昨日の襲撃の爪痕が残る窓ガラスを見ながら
冷たい水を顔に被る。
さっぱりした気分になり完全に目がさえた大和は二人が寝ている部屋に戻る。
すると彼女たちも先ほどのチョップで目が覚めたのかむくッと上半身だけ起こし
目を擦りながら、朝の挨拶を交わす。
「おはようございます・・・・ヤマト様」
「んっん~~~」
目の前には全裸の二人が寝ぼけ眼で佇んでいる
もし今の大和に恋人や妻がいた場合確実に言い逃れできないだろう状況だ。
最も今の彼にはそういった人物はいないわけだが・・・・・・・・
「寝ぼけてないで、さっさと服を着て顔を洗ってこい!
何度言ったらわかるんだ、俺のベッドに入ってくるな!!」
その後二人は朝の支度を済ませ、朝食を作り出した。
どちらが朝食を作るかケンカしていたが二人で作ればいいじゃないかという
大和の一言でケンカは治まった。
出来上がった朝食を三人で食べながら大和はふと心の中で呟く。
(こういう生活も悪くないな・・・・・・)
別に女の子に囲まれる生活がという意味ではなく
今までただ仕事のために寝たり食事したりだった大和にとって
こういった日々の日常を送るというのが新鮮だったのだ。
「ヤマト様? どうかなさいましたか?」
「なにかいいことでもあったんですか?」
おそらく顔がにやけていたんだろう、二人が怪訝な表情で大和に問い掛けてくる。
「なんでもない」
首を左右に振りながら、大和は二人にそう答える。
こうして小橋大和の異世界生活の一日が始まるのであった。
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