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第2章 「ドグロブニク攻防戦」

87話:「船がない!?」

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「さて、港はどこにあるのかな?」
不必要な荷物―――といってもほとんどがアイテムボックスに収納可能だが―――を宿に置いて
一先ず町の様子を見るため大和たちは町へと繰り出した。
大和自身一人で町を散策したかったので自由行動を提案したのだが
その案は他の3人に即行却下された。
理由を尋ねると真剣な面持ちで「危ないからです」と言われてしまった。
何が危ないのかは答えてくれなかったが・・・・

とにかく大和の希望通りとはいかず現在は4人で町を散策中である。
しばらく散策してみて少しばかり不思議なことが大和の周りで起き始める。
それはすれ違う女性が大和と目が合うと頬を赤らめ話しかけようとするのだが
その直後に目を見開きそそくさとその場を後にしていくのだ。

(一体なんなんだこれは?)

だがそこは社会人としての洞察力をもってすればその原因を突き止めることなど容易いことで・・・・
それは大和が女性とすれ違う何度目かの出来事だった。
普段ならすれ違う女性に目を向けるのだが、今回はすれ違う女性ではなく隣で歩いている女性二人を観察する。

まず隣にいる神官の少女を見やると、進行方向から女性が来るとその女性を睨みつけ
「がるるる」という獣のような唸り声を上げながら威嚇する。

次に反対側の隣を歩く金髪耳長エルフを見ると、同じように威嚇していた。
最後に大和の背後にぴったりとくっつくように追従する幼女魔導師を見ると。
女性を視認した瞬間、杖を掲げ膨大な魔力を集中させて
今にも強力な魔法を放つ気まんまんに杖を左右に振っていた。

それを見てしまった彼は次のように突っ込まずにはいられなかった。

「お前らが原因かいっ!!」

そう言い放つといつものように3人の頭頂部めがけチョップという名の粛清をお見舞いする。
大和の粛清ごほうびを食らって悶絶しながら頭を抑え込む3人。
頭から煙を出しながら噛みしめるように痛みが治まるのを待った。

しばらく歩いていくと、漁港が見えてきた。
まだ朝ということもあり、人々の喧騒が耳に入ってくる。
その中でたまたま目の前を通りかかった漁師風の恰好をしたおじさんに聞いてみた。

「おじさん、ここはいつもこんなに賑わってるのかい?」
「ああそうさ、この町のちょっとした名物スポットってやつだよ」

そう言うとまるで自分の事のように嬉しそうに答えるおじさん。
だがその後すぐに難しい顔をしながら話を続けた。

「だが1か月ほど前に沖合の方で化け物が出たつうことで
隣の大陸に行くための船が出せなくなっちまってるんだ」

それが原因で一月前と比べると活気も落ち着いてると話しているのを聞いて
慌てておじさんに問い詰める。

「えっ! 大陸に行くための船って出てないの? 一隻も?」
「なんでぇ、兄ちゃんたちも隣の大陸に行きてえのか?
 だが残念だが時期が悪かったな、今隣のビルド大陸に渡るための船は
一隻も出とらんよ」

驚愕の事実だった。
まさかこんなところで足止めを食らうことになるとは夢にも思っていなかったため
予想外の出来事に顔を歪める大和たち。

「ビルド大陸に渡るための方法って何かないかな?」

そうおじさんに聞くと、「ねえな」ときっぱりと言い放つ。
だが言い放った後おじさんは言葉を続けた。

「ただ漁以外の船の管理をやってる人なら知ってるぜ。
 あの人の許可をもらいさえすればもしかしたら船を出してくれるかもしれない」

「ホントかい? その人はどこにいるんだい?」

おじさんが紹介してくれた人物に会うため早速大和たちは
その人物のところに向かうことにした。
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