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2部【アース大陸横断編】 第1章 「目指せドグロブニク 漫遊編」

67話:「洞窟の奥にいた謎の生き物X」

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翌日になり朝食と洞窟内部に潜入する準備を終えると
テントを片付けいよいよ【魔の洞窟】攻略に向かう。
まるで来るものを拒むかのように不穏な雰囲気を纏った入り口は
鋭い牙を持った猛獣の様相を呈していた。

「みんな覚悟はできたか?」

大和が振り返りリナたちを見ると三人ともそれに答え頷く。
どうやら覚悟はできているようだ。

「行きましょう! 町の人たちを救うために!!」
「ヤマトさまがいれば大丈夫です!!」
「行くですのん!!」

三人の決意を聞き届けると慎重に洞窟内部へと侵入する。
洞窟内は薄暗くジメジメとしていてとても居心地が悪い。
それとは別の何かとてつもない力が働いているような気がして
洞窟内から今すぐにでも逃げ出したい気分に駆られた。

だが勇者としてそんな恰好の悪い真似などできるわけもなく
ひたすら奥に進み続ける。
三人もこの洞窟のただならぬ雰囲気を感じ取っているのか
大和の服の裾を掴みくっついてくる。
正直言って歩きにくい。

しばらく歩き続けたがここでとある疑問が頭に浮かぶ。
モンスターが出てこないのだ。
確かにこの洞窟には何かあるそれは理解できるのだが
洞窟内に全く生き物がいないというのはかなり不自然なことだった。

「モンスターが出てこないぞ、どうなってるんだ?」

疑問を口に出す、それに答える者がいた。

「どうやらここに魔物が住み着いたことによって
 洞窟内の生態系が崩壊してしまったみたいですのん・・・・」

マーリンが重苦しい口調で大和の疑問に答える。
そのことからもこの洞窟に住み着いた魔物の強さが窺い知れた。
モンスターは出てこないものの不気味な雰囲気を漂わせる洞窟内
何が起きてもいいように慎重に警戒しながら歩を進める。
警戒しすぎということはないのでゆっくりと確実に進めていく。

しばらく歩いていると大きく開けた広場のような場所にたどり着いた。
どうやらここがこの洞窟の最深部のようで先は行き止まりのようだ。

「ここが一番奥か?」
「そうみたいですね・・・・」
「魔物はどこにいるのでしょうか?」
「気配がないですのん・・・・」

魔物の姿がないことに不審に思った大和たちだったが
何の脈絡もなく今回の標的がひょっこりと姿を現した。

「おまえたち何者だっぴゃ!?」

妙な語尾に思わず周りを見渡すも声の主の姿はなかった。

「どこだ!? 隠れてないで出てこい!!」

業を煮やした大和が姿見せぬ者に声を上げる。

「どこを見てるだっぴゃ! こっちだっぴゃ!!」

どうやら声は大和の足元から聞こえてきているため
視線を足元に向けた、するとそこにいたのは・・・・

「・・・・なんだお前?」

思わず聞き返してしまった。
それだけ目の前にいた生き物が不思議な生き物に映ったのだ。
大きさはバスケットボールほどの大きさに全身は土色
顔は愛くるしくはあるがどこか太々しさを持ち合わせた謎の生き物Xだった。

「ボキはノームだっぴゃ!!」
「ノームっていうのか、俺は小橋大和こう見えても勇者だ」

とりあえずは社会人として簡単な自己紹介をしてみることにした。
そして、挨拶もそこそこに本題に移ることにした。

「君が最近この洞窟に住み着いたという魔物かい?」
「違うだっぴゃ! ボキはこの洞窟ができた時からここにいるだっぴゃ!!」

果たしてこの魔物というかモンスターというか
とにかく謎の生き物と呼称すべきこいつはなんなんだ。
そう思っているとマーリンが思い出したように話し出す。

「あなたノームとか言いましたですのん? ノームってまさか土の精霊ノーム?」
「知ってるのか?」
「おお、ボキのことを知ってるだっぴゃ? 嬉しいだっぴゃ!」

マーリンによればこの世界の物質は全て四元素で成り立っており
それぞれ火・風・水・土の4つの属性を基本としている。
そして、それぞれの元素の属性を司る精霊という存在がいるらしい。

目の前にいるこの謎の生物はその精霊というやつで
土を司る精霊【ノーム】という。

「ふーん、精霊ねえ・・・・じゃあ俺たちが探してる魔物じゃないんだな?」
「そうですのん、ノームは土の精霊なので基本的に害はないですのん」
「じゃあ町の人に呪いをかけた魔物はどこにいるんだよ?」

大和が疑問を投げかけた直後、突然洞窟全体が激しく揺れ出した。

「なっなんだ? 何が起こった!?」
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