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リオンとリオネルの対峙
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リオンは仮面から現れた顔が自分とそっくりな事に動揺した。
周りの者も絶句している。
サージェスが水晶を持って進み出た。
「では王族同士、積もる話でもしてもらいましょうか!」
水晶が光るとリオンは知らない場所にいた。
岩の上に建つ城のようだ。
「オラクル国へようこそ、スート王。
あれは転移の水晶だ。ここにはあんたと俺しかいないよ。」
目の前にはリオネルだけがいた。
気持ち悪い程自分にそっくりだ。
しかし、それはそれで……。
「カレンは俺のそっくりさんと結婚するほど俺が好きだったか。素直じゃないなぁ。」
ニヤニヤと勘違いしているがリオネルは不快だ。
「どこまでお目出度い頭をしているんだ。カレンはお前を憎んでいるよ。彼女にとって俺はおしつけられた、形式だけの王配だ。」
リオネルは剣を抜いた。
リオンは眉をしかめる。
「リオネル殿とやら、本気か?戦争になるぞ。」
「戦争?なりませんよ。」
「俺に成り代わるつもりか?」
「死んでもごめんだ。」
リオネルはリオンを睨みつけ切りつけた。
リオンもすかさず腰の剣を抜いて応戦した。
剣と剣がぶつかる。
「お前は、自分がおかしいことに気付かないのか?あれだけカレンに酷い事をして、なぜまだ愛されていると思えるんだ?!」
「酷い?普通に扱ったろうが。カレンが俺を愛しているのは当たり前の事だ。」
リオンは本気で分からないという顔をする。
ああ、早くこいつを殺さなければ。
リオネルは記憶の中のカレンを思う。
―愛してる。
お前がいなければ生きていけないくらい、愛してる。
そのお前を、未来の俺が傷つけたなんて、なんの冗談だ?
憎い、自分が憎い、憎悪で殺せたら良いのに。
こうして真っ当な思考のある俺がここに居る事は、神の最後の慈悲だろう。
ラミアをぞんざいにしろとは言わない。
でも、カレンをぞんざいに扱うなんてあり得ない。
ラミアの方が大切になったなら、せめてカレンに別れを告げれば良かったのだ。
リオンの記憶は酷いものばかり。
吐き気がする。
暖かい未来を信じていたのに、何故自分はこんな事になっている?
「俺はっ!!なんでそうなってしまったんだ!!」
リオネルが堪えきれずに涙する。
リオンが気味悪くそれを見る。
「貴様はなんだ!気味の悪い!!」
「俺は神の慈悲。お前が亡くした良心だ!」
リオネルの剣が速くなる、リオンが追い付け無くなっていく。
「良心だと?!そんなものが何の役に立つ!
周りの者は、打算!打算!打算、だけだ!!」
「リオン貴様…。」
「俺は悪くない!俺はカレンを愛していた!周りも同情していた!
だがカレンが何の役にたつ?!カレンは俺が義理で置いた役立たずの愛妾でいなければならない!
良心を大事にしたら俺はカレンを失う!
カレンを大事にしたら国を失う、ラミアもラキも失うんだっっ!!!!!
カレンが嘆くのは、俺を愛している証だっ!!
だからこれでいいんだっっ!!」
「…結局、お前が欲張ったせいか。欲張って思考停止したのか。」
リオネルは自分勝手な愚かさに悲しくなった。
本音か分からないが、リオンは全てを手に入れようとして、自分を正当化するたびに歪んでいったのか。
周りがチヤホヤしたのも愚かさに拍車をかけたのだろう。
「もう、これ以上愚かさを曝さないでくれ。」
リオネルは追い詰めたリオンに踏み入んだ。
「さらばだ。愚かで憎い、俺のなれ果てよ。」
「っうわぁぁぁ!!!」
リオンは浮かぶ城から足を踏み外し、霧の中へ消えていった。
「カレン……幸せに。」
リオネルも、その後を追って城から飛び降りた。
あとには何事も無かったように城が残された。
周りの者も絶句している。
サージェスが水晶を持って進み出た。
「では王族同士、積もる話でもしてもらいましょうか!」
水晶が光るとリオンは知らない場所にいた。
岩の上に建つ城のようだ。
「オラクル国へようこそ、スート王。
あれは転移の水晶だ。ここにはあんたと俺しかいないよ。」
目の前にはリオネルだけがいた。
気持ち悪い程自分にそっくりだ。
しかし、それはそれで……。
「カレンは俺のそっくりさんと結婚するほど俺が好きだったか。素直じゃないなぁ。」
ニヤニヤと勘違いしているがリオネルは不快だ。
「どこまでお目出度い頭をしているんだ。カレンはお前を憎んでいるよ。彼女にとって俺はおしつけられた、形式だけの王配だ。」
リオネルは剣を抜いた。
リオンは眉をしかめる。
「リオネル殿とやら、本気か?戦争になるぞ。」
「戦争?なりませんよ。」
「俺に成り代わるつもりか?」
「死んでもごめんだ。」
リオネルはリオンを睨みつけ切りつけた。
リオンもすかさず腰の剣を抜いて応戦した。
剣と剣がぶつかる。
「お前は、自分がおかしいことに気付かないのか?あれだけカレンに酷い事をして、なぜまだ愛されていると思えるんだ?!」
「酷い?普通に扱ったろうが。カレンが俺を愛しているのは当たり前の事だ。」
リオンは本気で分からないという顔をする。
ああ、早くこいつを殺さなければ。
リオネルは記憶の中のカレンを思う。
―愛してる。
お前がいなければ生きていけないくらい、愛してる。
そのお前を、未来の俺が傷つけたなんて、なんの冗談だ?
憎い、自分が憎い、憎悪で殺せたら良いのに。
こうして真っ当な思考のある俺がここに居る事は、神の最後の慈悲だろう。
ラミアをぞんざいにしろとは言わない。
でも、カレンをぞんざいに扱うなんてあり得ない。
ラミアの方が大切になったなら、せめてカレンに別れを告げれば良かったのだ。
リオンの記憶は酷いものばかり。
吐き気がする。
暖かい未来を信じていたのに、何故自分はこんな事になっている?
「俺はっ!!なんでそうなってしまったんだ!!」
リオネルが堪えきれずに涙する。
リオンが気味悪くそれを見る。
「貴様はなんだ!気味の悪い!!」
「俺は神の慈悲。お前が亡くした良心だ!」
リオネルの剣が速くなる、リオンが追い付け無くなっていく。
「良心だと?!そんなものが何の役に立つ!
周りの者は、打算!打算!打算、だけだ!!」
「リオン貴様…。」
「俺は悪くない!俺はカレンを愛していた!周りも同情していた!
だがカレンが何の役にたつ?!カレンは俺が義理で置いた役立たずの愛妾でいなければならない!
良心を大事にしたら俺はカレンを失う!
カレンを大事にしたら国を失う、ラミアもラキも失うんだっっ!!!!!
カレンが嘆くのは、俺を愛している証だっ!!
だからこれでいいんだっっ!!」
「…結局、お前が欲張ったせいか。欲張って思考停止したのか。」
リオネルは自分勝手な愚かさに悲しくなった。
本音か分からないが、リオンは全てを手に入れようとして、自分を正当化するたびに歪んでいったのか。
周りがチヤホヤしたのも愚かさに拍車をかけたのだろう。
「もう、これ以上愚かさを曝さないでくれ。」
リオネルは追い詰めたリオンに踏み入んだ。
「さらばだ。愚かで憎い、俺のなれ果てよ。」
「っうわぁぁぁ!!!」
リオンは浮かぶ城から足を踏み外し、霧の中へ消えていった。
「カレン……幸せに。」
リオネルも、その後を追って城から飛び降りた。
あとには何事も無かったように城が残された。
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