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secret sleep2⚘眠らせないで。

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 綺羅星きらぼし春月しゅんげつの光に照らされた綺麗な紫色の髪。

 5代目総長鬼雪おにゆきと背中に書かれた紫の字を金色で囲った黒の特攻服。

 黒のバイクに乗ったそらくんがいた。

 え……そらくん?
 なんで――――。

「ひええっ、すいませんでしたぁ!!」
 酔っ払いのおじさんはパッと腕を離すと慌てて逃げていく。

 そらくんは路肩にバイクを停め、かっこよく降りる。

 これは、夢?

そらくん…なの?」

「あぁ。暴走族鬼雪おにゆきの総長やってるって言ったろ?」

「どうしてここに?」
「マンション、高校の近くだって…」

「あぁ、詳しく言ってなかったな」
「マンションの近くに駅があって、高校まで一区間で行けるんだよ」

「それだったら歩きとか自転車とかの方が早く着くんじゃ…」

「それが電車のが早いんだわ」
「だから昨日、駅に着いて階段上がろうとしたらお前が見えた」

 そうだったんだ…。

「今日は?」

「1時間くらいかけてここまで来て仲間とこの地域のトップ3の族潰してきたら偶然お前を見かけて」
「ちなみに俺達はまだ全国トップ2だけどな」
「一人で何やってんだよ」

「眠れなくてジュースを買いに…」

「それだけ?」
「少しだけ右の頬腫れてる」

 私の両目が潤む。

 なんで、気づいちゃうの?

「お袋にやられたのか?」

「…助けてくれてありがとう。私、帰るね」

「どこに?」

「……どこだろ」

 そらくんは私を前から抱き締める。

 懐かしい香りがして、涙が止まらなかった。

 それからしばらく泣いて落ち着くと。

 ガコン、ガコンッ。
 そらくんが炭酸入りグレープジュースを2つ自動販売機で買う。

雪乃ゆきの、口の中に髪の毛入ってる」

「え」

「今だけでも結んだら?」

「でもゴムが…」

「輪ゴムでいい?」

「あ、うん」

 そらくんはズボンのポケットから輪ゴムを取り出す。
「はい」

「ありがとう」
 私は輪ゴムを受け取ると髪を後ろでポニーテールにする。

「…昔もヤバかったけどマジかよ。美女か」

「え?」

「なんでもねぇ」
 そらくんは自動販売機から炭酸入りグレープジュースを2つ取り出す。

「ん、雪乃ゆきのの分」

「あ、ありがとう」

 プシュッ。
 私達は自動販売機の前で炭酸入りグレープジュースを飲む。
 すると物凄い爆音が響いた。

 え、何!?

 しゅるっ。
 そらくんはポニーテールの輪ゴムを外す。

「やっぱ、こっちのがいい」

 だよね、ポニーテールはやっぱり似合わないよね…。

 黒いバイクの眩しい光が近づいてくる。

 あ、同じクラスの…。

「さすが総長、やるね」
 黒髪で右耳に玉のピアス。
 鬼雪おにゆきの黒い特攻服を着崩した霧生耀きりゅうようくん。

「一人だけずりぃ。俺達出し抜いて女と酒かよ」
 銀髪で左耳に輪のピアス。
 鬼雪おにゆきのパーカー風の黒い特攻服を羽織った飛岡春ひおかしゅんくん。

花城はなしろさん、だっけ? おはよ」
 金髪でふわロングの毛先がピンク。
 前髪パッツンに触覚を垂らし、
 鬼雪おにゆきの黒い特攻服を着崩して大人びた桜木美青さくらぎみおちゃん。

「酒じゃねぇわ」
 そらくんはしゅんくんに言う。

「えー、どーだかな?」

「お、お、お、おはよう」
 私が挨拶を返すと、

 美青みおちゃんは笑う。
「あははっ、めっちゃキョドってる」

 笑顔キラキラしてる……。
 そらくんが仲間って言ってたの、ほんとうだったんだ…。

「あ、そうそう、花城はなしろちゃん」
「昨日の赤ヤンキー、俺らがシメといたからさ、もう大丈夫だよ」
 耀ようくんはにっこりと笑う。

「え、シメ…」

「おま…余計なこと言うんじゃねぇよ」
 そらくんが注意する。

「あ、あの、皆さんも暴走族鬼雪おにゆきに?」

「そうだよ。そら、紹介よろしく」

耀よう、自分で言えよ。めんどくせぇな」
「ナンバー2が耀ようで、ナンバー3がしゅん美青みおは姫役だ」

「姫役…とは?」
 私が尋ねると、

「暴走族にはそれぞれ総長が見初めた『姫』と呼ばれる女の子が1人だけいて」
「姫役になる子は総長の彼女なことが多いけど」
美青みおそらに力を認められて姫役になったんだよ」
 耀ようくんが代わりに説明する。

「そ、そうなんだ…」

 付き合ってる訳じゃないんだ…ホッ…。

 ホッ?
 なんで私、ホッとして…?

 そらくんに力を認められるなんて、凄いな…。

「じゃあ、そろそろ帰るわ」

 そらくんは私の頭をぽんぽんする。
「また高校でな」

「うん」

 そらくんは黒のバイクにまたがるとエンジンをかける。
 そらくんに続いてバイクが走って行った。

 また、そらくんに助けてもらっちゃったな。
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