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secret sleep9⚘一緒に住まねぇか?

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「え!?」

そらの彼女になった!?!?」

 10分後。中庭で美青みおちゃんとあかりちゃんの驚きの声が上がった。

「うん、文化祭2日目の日に倒れた後、保健室で…」

 美青みおちゃんとあかりちゃんは目を見張る。

「マジ!?」

「ついにかぁ~」

「でもそらくん、ポニテの美女の彼女いるみたい…」

「ゆきのん、何言ってるの!?」

「あの写メ、雪乃ゆきのでしょ!?」

 あかりちゃんと美青みおちゃんに続けてそう言われた私は驚かずにはいられない。

「えぇ!? 私!?!?」
「冗談だよね!?!?」

「冗談じゃない!」
雪乃ゆきの、朝、電車でポニテしてなかった?」
 美青みおちゃんは真剣に尋ねる。

「してたけど…」

そらに壁ドンは?」

「されてたけど…」

「ほら、やっぱり雪乃ゆきのじゃん!」

「で、でも電車で今後ポニテ、俺の前以外禁止なってそらくんに言われて…」


「それは美女だからだよ!!!!!」


 美青みおちゃんとあかりちゃんは同時に力んで言うと、ゼーハー、ゼーハーと荒い息を整える。

「えぇ!?」
「じゃ、じゃあ、さっき、“俺の彼女”ってそらくんが言ったのは…」


雪乃ゆきのが彼女だって私達に報告してくれたってことだよ!」


 美青みおちゃんが必死にそう言うと、

 私の頬にぽろぽろと暖かな涙がこぼれ落ちる。

 ふたりはそんな私をぎゅっと抱き締めた。

「ゆきのん、良かったね」
 満面の笑みのあかりちゃんに、

「おめでと」
 優しく微笑む美青みおちゃん。

 こんなの、もっと泣いちゃうよ。

「でも私、りゅうくんの…」

「文化祭の打ち上げで耀ようから聞いた」
雪乃ゆきの、中2の夏の一部の記憶失ってるんだってね……」
「あの時は本当にごめんね、そんなことも知らずに胸倉掴んだりして…」

「ううん、美青みおちゃんは悪くないよ」
「私の方こそ、今まで内緒にしててごめんなさい…」

「ゆきのん、頭痛は大丈夫?」

「うん、もう大丈夫。ぜんぶ思い出したから」

 答えると、あかりちゃんは驚く。

「え、ぜんぶって…」

「あかりちゃん、美青みおちゃん、私ね」

 呼びかけると、私は力なく笑う。

「今年のクリスマスイヴにりゅうくんの姫になるんだぁ」

「だから…それまで友達でいてくれると嬉しい」

雪乃ゆきの、何言ってんの!?」
 美青みおちゃんはブチ切れる。

「そうだよ! 離れる訳ないよ!!」
 あかりちゃんも強くそう宣言した。

 え……。

「ゆきのんって、私と同じしずくが丘中出身だよね?」

「うん、小5の夏にそらくんと義兄妹にはなったけど」
「小学校はそらくんとあかりちゃんとは違うとこ通ってて」
「中学から一緒だよ」

「そうだよね」
「私、そらの幼馴染で、今までいろんな子と関わってきたけど」

 あかりちゃんは切なげで傷ついた顔を浮かべた。

「彼氏が出来たり、立場とか環境とか変わったらみんな離れていった……」

 私は複雑な気持ちになる。

「ゆきのんのことは同中だったけどマンモス中で」
「クラスも一度も同じになったことなかったから高校で初めて同クラになって知って」

「正直、こんなふうに友達になるなんて思いもしなかったし」
美青みおとゆきのんの秘密知って動揺もしたけど」

 あかりちゃんの両目から、ぽろぽろ、と涙が零れ落ちていく。

「離れたいなんて思わなかった」

「だから私から離れるなんて絶対にない」
美青みおも離れたりしない」

 あかりちゃんは揺らぎのない目で私を見つめる。


「ゆきのんと私達は何があっても仲間ともだちのままだよ」


 私は泣きながら笑う。
「あかりちゃん、ありがとう」
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