15 / 33
15 お仕え事と、はみ出た時間
しおりを挟む
午前で国王陛下の私的な反省会は終わり、午後からは王城の一室にて公的な対策会議が開かれた。
カテリナは、ダンスの相手を決めるのに偉い人たちが集まって会議を開かないといけないなんて大変だなぁと思ったが、事は精霊との約束で、国の命運をかけたものなのだから、そろそろ真剣に考えようというのだ。
陛下も周囲も、わりとアリーシャがダンスの相手を引き受けてくれると信じ切っていた。ところが降臨祭もじきに折り返し地点となって今回の事態、焦らないといったら嘘になる。
国王陛下と二人の弟妹殿下、主要な大臣や将軍が集まる会議室のすぐ外で、カテリナは直立不動で待機しながらも心の中では陛下の次なるお相手のことで頭がいっぱいだった。
どうして今まで気づかなかったのか不思議だが、ローリー夫人は陛下の元婚約者で、今も私的な話を打ち明ける特別な相手だ。ご結婚はされているがご夫君はすでに二年間行方不明で、あとこれが何より大事なことだが、最後のダンスの相手は「最愛の人」であればそれでいい。
マリアンヌ王妹殿下が選んだ三人の姫君のうち二人目、それはローリー夫人に違いない。最後の一人がどなたかわからないのは気がかりだが、この際時間もないことだし、傍目に見ても好意を抱いているローリー夫人にダンスのお相手をお願いしてはどうか。
そうだ、それがいいと確信を持ってうなずいていたカテリナに、騎士団長の随行で来ていたウィラルドが声をかけた。
「カティはいつから休暇を取るんだ?」
問題はローリー夫人にダンスの相手を申し込むのを、どう陛下に提案するかだ。ボードゲームを組み立てるように熱く考えていたカテリナは、ちょっと思考が交錯して首をひねった。
カテリナの脳裏に浮かんだのは、若い頃に奥様を亡くされて現在独り身である騎士団長が、ローリー夫人に求婚しているという噂だった。
「だめです。戦いに勝つまでは休暇は取れません」
騎士団長もライバルだと、カテリナは燃えたぎる目でウィラルドを見上げた。ウィラルドは一歩たじろいだものの、そこは数日前まで上官だった経験で、カテリナが何かにこだわって熱意を燃やしているのはわかった。
ウィラルドはまあまあ、とカテリナをたしなめて言う。
「何の戦いかはわからないけど、降臨祭は国民の祝日だろう? この五日間休みなしじゃないか。近衛兵だって交代で休みを取ってるんだから、カティもそろそろ休暇をもらえないか訊いてみたらどうだ?」
ウィラルドはカテリナが直属の上司である国王陛下に遠慮しているのなら、自分が上官を通じて話をしてみようかとまで提案した。
それは今の彼の仕事ではなく、カテリナを心配しての提案だと気づいて、カテリナは素直に頭を下げた。
「すみません。気を遣っていただいて」
「そ、そりゃ気にするさ。降臨祭が終わったら、また一緒に仕事をするんだし」
ウィラルドが慌てて告げた言葉に、カテリナは感傷的な気持ちになった。
性別を偽って働くことに限界を感じ始めていて、降臨祭が終わったら騎士をやめようと思っていることを口にするなら、今のような気もした。
先回りして突っ込む割に時々潔すぎるくらいにあきらめがいい。国王陛下にも言われたように、カテリナは今までの自分にしがみつくつもりはない。
でもカテリナが決めても決めなくても、あと半分で降臨祭の終わりがやって来る。ギュンターの下で働くことの終わりは確実にやって来るのを考えたとき、なんだか子どもがわがままを言うように抵抗したくなった。
どうしてなんだろうと思ったとき、会議が終わったらしく扉が開いて、王族に大臣たち、国の中枢を担う方々が出てきた。カテリナは慌てて壁に張り付いて敬礼を取った。
カテリナが壁と一体化してお見送りをする中、王弟シエルと王妹マリアンヌが何事か小声で言い交わして、カテリナの方を見やった気がした。カテリナは壁が首を傾げては変だと思ってもちろん微動だにしなかったが、そのときには二人は後から出てきた国王陛下の方を振り向いていた。
「カティ」
ギュンターに呼ばれて駆け寄ると、なぜか彼は難しい顔でカテリナを見て言った。
「調子でも悪いのか?」
「いいえ。どうしてですか?」
国王陛下のダンスの相手を検討する会議だったはずなのに、どうして真っ先に自分の体調のことを尋ねるのか不思議に思ってカテリナが問い返すと、ギュンターはばつが悪そうな顔をした。
「ならいいが。マリアンヌが、きちんとカティに休暇を取らせろと」
先ほど元上司にも指摘された休暇のことを今の上司にも指摘されると、なんだか悪いことをしているような気持ちになってくる。
カテリナは迷ったが、ひとまずうなずいて言った。
「どうにか間を縫って休みを取ります」
カテリナから約束したものの、ギュンターはすでに自分の頭の中でカテリナの労務管理を見直しているようで、「とりあえず戻るか」と言った。
陛下の自室に戻った後、いつものように書面仕事を言いつけられたが、陛下の仕事の進捗状況は目に見えて悪かった。時々上の空で何か仕事ではないことを考えているようで、カテリナは心配になった。
「陛下こそ、体調でも悪いのでは」
そっと席を立って陛下の執務机に近寄ると、ギュンターははっと考え事から目覚めた顔でカテリナを見やった。
「そうじゃない。四六時中いたら心配になるのは当然だ」
ギュンターは言い訳するように告げて、決めたくはないが決めざるをえない仕事の前にいつもそうするように、ブロンドの髪を手でかき混ぜて言った。
「今日はもう帰っていい。あと、明日は休みを取っていい」
唐突な休暇命令にカテリナは戸惑ったが、確かにそろそろ夕食の時間で、カテリナの勤務時間は終わりだった。上官から仕事の終わりを命じられた以上、退出しないわけにもいかない。
日が落ちて夕方の涼しい風が窓から入り込んできていた。カテリナは書類を片付けてカバンを肩から下げると、椅子から立ち上がる。
失礼しますと言いかけて、またこちらを難しい顔で見ている陛下と目が合った。
なぜかはわからない沈黙、精霊が通り過ぎたような時間が流れて、先に口を開いたのはカテリナだった。
「陛下はどなたに最後のダンスを申し込むおつもりなのですか?」
勤務時間はもう終了していて、訊かれていないことを訊くのも仕事の域を超えてしまうことで、しかもこの場合は陛下の感情にも触れるかもしれない危うさがあった。
「君には関係……」
案の定陛下も反発しようとしたが、彼は一度息をついて前言を覆した。
「……関係ない、はずはないか。君はそのためにここで働いているんだからな」
あまり大声では言えないと言われて、カテリナはそろそろと陛下に歩み寄った。
そこはいつも報告をする陛下の机の前ではなく、陛下の机の隣で、陛下はちょっと屈めとまで言った。カテリナは言う通りに身を屈めて、内緒話の距離にまで至る。
ギュンターは思案するように黙ってから、声をひそめて切り出す。
「会議で私は、最後のダンスの相手はローリー夫人に頼むつもりでいると提案したんだ」
こくんとカテリナが素直にうなずくと、ギュンターは目を伏せて首を横に振る。
「だが妹のマリアンヌが、「今陛下の御心にある方とは違いますが、よろしいのでしょうか」と言った」
カテリナは息を呑んで目を瞬かせて、思わず問い返す。
「そうなのですか?」
「いや、私は嘘をついたつもりはない。ローリー夫人がふさわしいと本心から思った。ただ……」
ギュンターは言葉に詰まって沈黙した。彼自身も自分が言いかけた言葉の続きを迷っているようだったが、ふいにこぼした言葉は本音に近いものに聞こえた。
「違うと、マリアンヌに言い返すこともできなかった」
深く息をついてから、ギュンターは窓の外を見やった。
「マリアンヌは、「ローリー夫人にダンスを申し込む前に、もう一人だけ陛下に会っていただきたい令嬢がいらっしゃいます」と言うんだ」
ギュンターはふとカテリナを見て笑う。
「降臨祭は残り何日だと思う? たった数日で最愛の人になるなんて可笑しい。それこそ精霊の、性質の悪いいたずらだと思うが」
それはカテリナも初めてマリアンヌから話を聞いたときから思っていた。王妃にふさわしい方ならとっくの昔に陛下に引き合わされていて、長い付き合いの後、来るべくして最愛の人となっているはずだと。
まさか降臨祭の十日間でなければ出会えない人なのだろうか。そんなことをちらと思って、カテリナも思考が迷路に入った。
「ローリー夫人の方にも準備が必要だ。私は明日にでも、ローリー夫人にダンスを申し込もうと考えているが」
同意しようとして、カテリナはギュンターの目に映る感情に気づいた。
遠いところを探すようなギュンターの瞳に、アリーシャやローリー夫人に寄せる好意はない。まだ出会ってもいない令嬢を愛するはずもないのだから、それは当然のことだ。
でもヴァイスラントに住む者なら誰でも精霊の奇跡を心のどこかで信じている。幸運と出会う日を、誰もが望んでいる。
カテリナが奇跡を否定できないまま沈黙に身を任せると、ノックの音が聞こえた。
気づけば陛下のずいぶん近くまで来ていたことに気づいて、慌てて隅の机まで駆け戻る。
「入ってきなさい」
ギュンターが外向きの顔をまとって、いつものように穏やかに返事をすると、その人は扉を開いて入ってきた。
「陛下、折り入ってお話を聞いていただけるかしら。……カティさんも、一緒にいらして」
現れたローリー夫人はどこか哀しい表情で、二人に告げたのだった。
カテリナは、ダンスの相手を決めるのに偉い人たちが集まって会議を開かないといけないなんて大変だなぁと思ったが、事は精霊との約束で、国の命運をかけたものなのだから、そろそろ真剣に考えようというのだ。
陛下も周囲も、わりとアリーシャがダンスの相手を引き受けてくれると信じ切っていた。ところが降臨祭もじきに折り返し地点となって今回の事態、焦らないといったら嘘になる。
国王陛下と二人の弟妹殿下、主要な大臣や将軍が集まる会議室のすぐ外で、カテリナは直立不動で待機しながらも心の中では陛下の次なるお相手のことで頭がいっぱいだった。
どうして今まで気づかなかったのか不思議だが、ローリー夫人は陛下の元婚約者で、今も私的な話を打ち明ける特別な相手だ。ご結婚はされているがご夫君はすでに二年間行方不明で、あとこれが何より大事なことだが、最後のダンスの相手は「最愛の人」であればそれでいい。
マリアンヌ王妹殿下が選んだ三人の姫君のうち二人目、それはローリー夫人に違いない。最後の一人がどなたかわからないのは気がかりだが、この際時間もないことだし、傍目に見ても好意を抱いているローリー夫人にダンスのお相手をお願いしてはどうか。
そうだ、それがいいと確信を持ってうなずいていたカテリナに、騎士団長の随行で来ていたウィラルドが声をかけた。
「カティはいつから休暇を取るんだ?」
問題はローリー夫人にダンスの相手を申し込むのを、どう陛下に提案するかだ。ボードゲームを組み立てるように熱く考えていたカテリナは、ちょっと思考が交錯して首をひねった。
カテリナの脳裏に浮かんだのは、若い頃に奥様を亡くされて現在独り身である騎士団長が、ローリー夫人に求婚しているという噂だった。
「だめです。戦いに勝つまでは休暇は取れません」
騎士団長もライバルだと、カテリナは燃えたぎる目でウィラルドを見上げた。ウィラルドは一歩たじろいだものの、そこは数日前まで上官だった経験で、カテリナが何かにこだわって熱意を燃やしているのはわかった。
ウィラルドはまあまあ、とカテリナをたしなめて言う。
「何の戦いかはわからないけど、降臨祭は国民の祝日だろう? この五日間休みなしじゃないか。近衛兵だって交代で休みを取ってるんだから、カティもそろそろ休暇をもらえないか訊いてみたらどうだ?」
ウィラルドはカテリナが直属の上司である国王陛下に遠慮しているのなら、自分が上官を通じて話をしてみようかとまで提案した。
それは今の彼の仕事ではなく、カテリナを心配しての提案だと気づいて、カテリナは素直に頭を下げた。
「すみません。気を遣っていただいて」
「そ、そりゃ気にするさ。降臨祭が終わったら、また一緒に仕事をするんだし」
ウィラルドが慌てて告げた言葉に、カテリナは感傷的な気持ちになった。
性別を偽って働くことに限界を感じ始めていて、降臨祭が終わったら騎士をやめようと思っていることを口にするなら、今のような気もした。
先回りして突っ込む割に時々潔すぎるくらいにあきらめがいい。国王陛下にも言われたように、カテリナは今までの自分にしがみつくつもりはない。
でもカテリナが決めても決めなくても、あと半分で降臨祭の終わりがやって来る。ギュンターの下で働くことの終わりは確実にやって来るのを考えたとき、なんだか子どもがわがままを言うように抵抗したくなった。
どうしてなんだろうと思ったとき、会議が終わったらしく扉が開いて、王族に大臣たち、国の中枢を担う方々が出てきた。カテリナは慌てて壁に張り付いて敬礼を取った。
カテリナが壁と一体化してお見送りをする中、王弟シエルと王妹マリアンヌが何事か小声で言い交わして、カテリナの方を見やった気がした。カテリナは壁が首を傾げては変だと思ってもちろん微動だにしなかったが、そのときには二人は後から出てきた国王陛下の方を振り向いていた。
「カティ」
ギュンターに呼ばれて駆け寄ると、なぜか彼は難しい顔でカテリナを見て言った。
「調子でも悪いのか?」
「いいえ。どうしてですか?」
国王陛下のダンスの相手を検討する会議だったはずなのに、どうして真っ先に自分の体調のことを尋ねるのか不思議に思ってカテリナが問い返すと、ギュンターはばつが悪そうな顔をした。
「ならいいが。マリアンヌが、きちんとカティに休暇を取らせろと」
先ほど元上司にも指摘された休暇のことを今の上司にも指摘されると、なんだか悪いことをしているような気持ちになってくる。
カテリナは迷ったが、ひとまずうなずいて言った。
「どうにか間を縫って休みを取ります」
カテリナから約束したものの、ギュンターはすでに自分の頭の中でカテリナの労務管理を見直しているようで、「とりあえず戻るか」と言った。
陛下の自室に戻った後、いつものように書面仕事を言いつけられたが、陛下の仕事の進捗状況は目に見えて悪かった。時々上の空で何か仕事ではないことを考えているようで、カテリナは心配になった。
「陛下こそ、体調でも悪いのでは」
そっと席を立って陛下の執務机に近寄ると、ギュンターははっと考え事から目覚めた顔でカテリナを見やった。
「そうじゃない。四六時中いたら心配になるのは当然だ」
ギュンターは言い訳するように告げて、決めたくはないが決めざるをえない仕事の前にいつもそうするように、ブロンドの髪を手でかき混ぜて言った。
「今日はもう帰っていい。あと、明日は休みを取っていい」
唐突な休暇命令にカテリナは戸惑ったが、確かにそろそろ夕食の時間で、カテリナの勤務時間は終わりだった。上官から仕事の終わりを命じられた以上、退出しないわけにもいかない。
日が落ちて夕方の涼しい風が窓から入り込んできていた。カテリナは書類を片付けてカバンを肩から下げると、椅子から立ち上がる。
失礼しますと言いかけて、またこちらを難しい顔で見ている陛下と目が合った。
なぜかはわからない沈黙、精霊が通り過ぎたような時間が流れて、先に口を開いたのはカテリナだった。
「陛下はどなたに最後のダンスを申し込むおつもりなのですか?」
勤務時間はもう終了していて、訊かれていないことを訊くのも仕事の域を超えてしまうことで、しかもこの場合は陛下の感情にも触れるかもしれない危うさがあった。
「君には関係……」
案の定陛下も反発しようとしたが、彼は一度息をついて前言を覆した。
「……関係ない、はずはないか。君はそのためにここで働いているんだからな」
あまり大声では言えないと言われて、カテリナはそろそろと陛下に歩み寄った。
そこはいつも報告をする陛下の机の前ではなく、陛下の机の隣で、陛下はちょっと屈めとまで言った。カテリナは言う通りに身を屈めて、内緒話の距離にまで至る。
ギュンターは思案するように黙ってから、声をひそめて切り出す。
「会議で私は、最後のダンスの相手はローリー夫人に頼むつもりでいると提案したんだ」
こくんとカテリナが素直にうなずくと、ギュンターは目を伏せて首を横に振る。
「だが妹のマリアンヌが、「今陛下の御心にある方とは違いますが、よろしいのでしょうか」と言った」
カテリナは息を呑んで目を瞬かせて、思わず問い返す。
「そうなのですか?」
「いや、私は嘘をついたつもりはない。ローリー夫人がふさわしいと本心から思った。ただ……」
ギュンターは言葉に詰まって沈黙した。彼自身も自分が言いかけた言葉の続きを迷っているようだったが、ふいにこぼした言葉は本音に近いものに聞こえた。
「違うと、マリアンヌに言い返すこともできなかった」
深く息をついてから、ギュンターは窓の外を見やった。
「マリアンヌは、「ローリー夫人にダンスを申し込む前に、もう一人だけ陛下に会っていただきたい令嬢がいらっしゃいます」と言うんだ」
ギュンターはふとカテリナを見て笑う。
「降臨祭は残り何日だと思う? たった数日で最愛の人になるなんて可笑しい。それこそ精霊の、性質の悪いいたずらだと思うが」
それはカテリナも初めてマリアンヌから話を聞いたときから思っていた。王妃にふさわしい方ならとっくの昔に陛下に引き合わされていて、長い付き合いの後、来るべくして最愛の人となっているはずだと。
まさか降臨祭の十日間でなければ出会えない人なのだろうか。そんなことをちらと思って、カテリナも思考が迷路に入った。
「ローリー夫人の方にも準備が必要だ。私は明日にでも、ローリー夫人にダンスを申し込もうと考えているが」
同意しようとして、カテリナはギュンターの目に映る感情に気づいた。
遠いところを探すようなギュンターの瞳に、アリーシャやローリー夫人に寄せる好意はない。まだ出会ってもいない令嬢を愛するはずもないのだから、それは当然のことだ。
でもヴァイスラントに住む者なら誰でも精霊の奇跡を心のどこかで信じている。幸運と出会う日を、誰もが望んでいる。
カテリナが奇跡を否定できないまま沈黙に身を任せると、ノックの音が聞こえた。
気づけば陛下のずいぶん近くまで来ていたことに気づいて、慌てて隅の机まで駆け戻る。
「入ってきなさい」
ギュンターが外向きの顔をまとって、いつものように穏やかに返事をすると、その人は扉を開いて入ってきた。
「陛下、折り入ってお話を聞いていただけるかしら。……カティさんも、一緒にいらして」
現れたローリー夫人はどこか哀しい表情で、二人に告げたのだった。
0
お気に入りに追加
80
あなたにおすすめの小説
妹に呪われてモフモフにされたら、王子に捕まった
秋月乃衣
恋愛
「お姉様、貴女の事がずっと嫌いでした」
満月の夜。王宮の庭園で、妹に呪いをかけられた公爵令嬢リディアは、ウサギの姿に変えられてしまった。
声を発する事すら出来ず、途方に暮れながら王宮の庭園を彷徨っているリディアを拾ったのは……王太子、シオンだった。
※サクッと読んでいただけるように短め。
そのうち後日談など書きたいです。
他サイト様でも公開しております。
【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!
楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。
(リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……)
遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──!
(かわいい、好きです、愛してます)
(誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?)
二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない!
ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。
(まさか。もしかして、心の声が聞こえている?)
リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる?
二人の恋の結末はどうなっちゃうの?!
心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。
✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。
✳︎小説家になろうにも投稿しています♪
勘当されたい悪役は自由に生きる
雨野
恋愛
難病に罹り、15歳で人生を終えた私。
だが気がつくと、生前読んだ漫画の貴族で悪役に転生していた!?タイトルは忘れてしまったし、ラストまで読むことは出来なかったけど…確かこのキャラは、家を勘当され追放されたんじゃなかったっけ?
でも…手足は自由に動くし、ご飯は美味しく食べられる。すうっと深呼吸することだって出来る!!追放ったって殺される訳でもなし、貴族じゃなくなっても問題ないよね?むしろ私、庶民の生活のほうが大歓迎!!
ただ…私が転生したこのキャラ、セレスタン・ラサーニュ。悪役令息、男だったよね?どこからどう見ても女の身体なんですが。上に無いはずのモノがあり、下にあるはずのアレが無いんですが!?どうなってんのよ!!?
1話目はシリアスな感じですが、最終的にはほのぼの目指します。
ずっと病弱だったが故に、目に映る全てのものが輝いて見えるセレスタン。自分が変われば世界も変わる、私は…自由だ!!!
主人公は最初のうちは卑屈だったりしますが、次第に前向きに成長します。それまで見守っていただければと!
愛され主人公のつもりですが、逆ハーレムはありません。逆ハー風味はある。男装主人公なので、側から見るとBLカップルです。
予告なく痛々しい、残酷な描写あり。
サブタイトルに◼️が付いている話はシリアスになりがち。
小説家になろうさんでも掲載しております。そっちのほうが先行公開中。後書きなんかで、ちょいちょいネタ挟んでます。よろしければご覧ください。
こちらでは僅かに加筆&話が増えてたりします。
本編完結。番外編を順次公開していきます。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!
【完結】溺愛?執着?転生悪役令嬢は皇太子から逃げ出したい~絶世の美女の悪役令嬢はオカメを被るが、独占しやすくて皇太子にとって好都合な模様~
うり北 うりこ
恋愛
平安のお姫様が悪役令嬢イザベルへと転生した。平安の記憶を思い出したとき、彼女は絶望することになる。
絶世の美女と言われた切れ長の細い目、ふっくらとした頬、豊かな黒髪……いわゆるオカメ顔ではなくなり、目鼻立ちがハッキリとし、ふくよかな頬はなくなり、金の髪がうねるというオニのような見た目(西洋美女)になっていたからだ。
今世での絶世の美女でも、美意識は平安。どうにか、この顔を見られない方法をイザベルは考え……、それは『オカメ』を装備することだった。
オカメ狂の悪役令嬢イザベルと、
婚約解消をしたくない溺愛・執着・イザベル至上主義の皇太子ルイスのオカメラブコメディー。
※執着溺愛皇太子と平安乙女のオカメな悪役令嬢とのラブコメです。
※主人公のイザベルの思考と話す言葉の口調が違います。分かりにくかったら、すみません。
※途中からダブルヒロインになります。
イラストはMasquer様に描いて頂きました。
ぽっちゃりな私は妹に婚約者を取られましたが、嫁ぎ先での溺愛がとまりません~冷酷な伯爵様とは誰のこと?~
柊木 ひなき
恋愛
「メリーナ、お前との婚約を破棄する!」夜会の最中に婚約者の第一王子から婚約破棄を告げられ、妹からは馬鹿にされ、貴族達の笑い者になった。
その時、思い出したのだ。(私の前世、美容部員だった!)この体型、ドレス、確かにやばい!
この世界の美の基準は、スリム体型が前提。まずはダイエットを……え、もう次の結婚? お相手は、超絶美形の伯爵様!? からの溺愛!? なんで!?
※シリアス展開もわりとあります。
魔力なしと虐げられた令嬢は孤高の騎士団総長に甘やかされる
橋本彩里(Ayari)
恋愛
五歳で魔力なしと判定され魔力があって当たり前の貴族社会では恥ずかしいことだと蔑まれ、使用人のように扱われ物置部屋で生活をしていた伯爵家長女ミザリア。
十六歳になり、魔力なしの役立たずは出て行けと屋敷から追い出された。
途中騎士に助けられ、成り行きで王都騎士団寮、しかも総長のいる黒狼寮での家政婦として雇われることになった。
それぞれ訳ありの二人、総長とミザリアは周囲の助けもあってじわじわ距離が近づいていく。
命を狙われたり互いの事情やそれにまつわる事件が重なり、気づけば総長に過保護なほど甘やかされ溺愛され……。
孤高で寡黙な総長のまっすぐな甘やかしに溺れないようにとミザリアは今日も家政婦業に励みます!
※R15については暴力や血の出る表現が少々含まれますので保険としてつけています。
【完結】傷物令嬢は近衛騎士団長に同情されて……溺愛されすぎです。
早稲 アカ
恋愛
王太子殿下との婚約から洩れてしまった伯爵令嬢のセーリーヌ。
宮廷の大広間で突然現れた賊に襲われた彼女は、殿下をかばって大けがを負ってしまう。
彼女に同情した近衛騎士団長のアドニス侯爵は熱心にお見舞いをしてくれるのだが、その熱意がセーリーヌの折れそうな心まで癒していく。
加えて、セーリーヌを振ったはずの王太子殿下が、親密な二人に絡んできて、ややこしい展開になり……。
果たして、セーリーヌとアドニス侯爵の関係はどうなるのでしょう?
二度目の結婚は異世界で。~誰とも出会わずひっそり一人で生きたかったのに!!~
すずなり。
恋愛
夫から暴力を振るわれていた『小坂井 紗菜』は、ある日、夫の怒りを買って殺されてしまう。
そして目を開けた時、そこには知らない世界が広がっていて赤ちゃんの姿に・・・!
赤ちゃんの紗菜を拾ってくれた老婆に聞いたこの世界は『魔法』が存在する世界だった。
「お前の瞳は金色だろ?それはとても珍しいものなんだ。誰かに会うときはその色を変えるように。」
そう言われていたのに森でばったり人に出会ってしまってーーーー!?
「一生大事にする。だから俺と・・・・」
※お話は全て想像の世界です。現実世界と何の関係もございません。
※小説大賞に出すために書き始めた作品になります。貯文字は全くありませんので気長に更新を待っていただけたら幸いです。(完結までの道筋はできてるので完結はすると思います。)
※メンタルが薄氷の為、コメントを受け付けることができません。ご了承くださいませ。
ただただすずなり。の世界を楽しんでいただけたら幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる