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チュート殿下 120 この世界の理に 8
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朝だ。
今まで体験したことがないほど爽やかな朝だ。
あの国以外でも今まで何度か朝を迎えたことはあったが、とにかくなぜだか今までとは何かが違う朝なのだ。
俺のことがわかってしまうキールと同じ様に、俺ももしかしなくてもキールの心持がわかっているのかもしれない。意識していなかっただけで。
だから今のこのすっきりした気持は、自分だけでなくキールの心根も含まれたものなのかもしれないなぁ、と思いつつ、隣のベッドに寝ているキールの様子を窺う。
『そう言えば寝ているキールの姿とか、記憶にないかもしれない』
昨日の夜寝てしまった時間が早かったようで、窓の外の朝日もこれからが本番という色合いに見える。
ゆっくりと音を立てないようにキールの寝ているはずのベッドの方に体を向ける。
キールの存在は俺にとってあまりにも近すぎて、人だとかそうじゃないとか全く意識するものでは無かったが、きっちり人として存在しているキールは、今までとは違うもの。
俺に対しての話し方も、年上でランクも上の冒険者であれば俺の方が敬語で話しかけなければいけないはずなのに、「他に人が居なければ今まで通りに」と、やたら丁寧な侍従モードを変えない。
それに反論するのも子供っぽいので、「キールはキールだし」と自分の中で折り合いをつけた。それは言葉遣いだけではなく、その存在に対してだということは、目が覚めた瞬間すんなりと認められたことだ。
段々と明るくなりつつある部屋の中で、隣のベッドの上にこちらに背を向けているキールの後ろ頭が見える。
寝息は聞き取ることはできない。
「生きているよね?……」
心の声はしっかりと唇に乗っていたようで……。
「……生きてますよ。この状態がそうであると言うのなら……」
そう、音もなく振り返るキールと目が合った。
寝転がったままのキールも珍しいな。
まだ俺も起きたばかりで思考も寝ぼけているのか、意味も無い変な方向に思考が転がっていく……。
起き上がって朝の支度を始める。この宿は風呂も洗面所も付いているので、洗面用の水がわざわざ用意されるのを待つ事無くすぐに動けるので、俺としてはこっちの方が楽だ。
流石に朝風呂とまではいかないから、洗面所で顔を洗うだけにする。
いつの間にか背後にキールが立っていて顔を拭く布を持っていた。
なぜかキールはすでにしっかりと外出できる準備ができている。
「……なんかずるい……」
こいつ汗かいたりしないのか?そう言えばトイレとか……?
『何変な事考えてるのですか……確かに実体を持った以上排せつ物に関しては同じようにした方がいいのかなぁ……必要はないけど……』
ふむふむと考えるようなそぶりを見せながらわざわざ念話で聞いてくるところはやっぱりキールであった、変わっていないところに安心した。
アミュレット王国の中では、キールは一種のバグ。あくまでも俺のスキルの一つとして存在しているから、誰にでも見える所謂実体化をしても、人間というか生物としての営みとして必要な呼吸とか排泄とか睡眠や食事だって、全く必要ではなかったようだ……。
俺がそのようなことを全く意識していなかったので、言われるまで全く気付かなかった。
だからあの国以外では、人間として存在できるということで、随分と喜んでいたキールも、きちんとした?人間として生活していくうえで、普通の姿を取るのであれば、食事や睡眠はもちろんのこと、排せつや汗をかくこと等も、行った方がいいのか、ということになったのだ。
……必要のないことをわざわざする必要もないのでは?
と俺は考えてしまうのだが、俺以外の人間が居るとことでそれらのことを全く行わなかったら流石におかしく思われるか知れないが、それはその時に考えればいいような気がした。
「俺と二人きりの間は別に考えなくてもいいのではないか?じっくり腰を据えるようなことがあれば、不都合もあるだろうが、どうせ一泊すれば次の街に向かうのだろう?」
すでに荷物もすべてキールのストレージにしまってしまった。何も荷物を持っていないと冒険者としておかしいかもしれないから、簡単な装備は携えているけど。
今まで体験したことがないほど爽やかな朝だ。
あの国以外でも今まで何度か朝を迎えたことはあったが、とにかくなぜだか今までとは何かが違う朝なのだ。
俺のことがわかってしまうキールと同じ様に、俺ももしかしなくてもキールの心持がわかっているのかもしれない。意識していなかっただけで。
だから今のこのすっきりした気持は、自分だけでなくキールの心根も含まれたものなのかもしれないなぁ、と思いつつ、隣のベッドに寝ているキールの様子を窺う。
『そう言えば寝ているキールの姿とか、記憶にないかもしれない』
昨日の夜寝てしまった時間が早かったようで、窓の外の朝日もこれからが本番という色合いに見える。
ゆっくりと音を立てないようにキールの寝ているはずのベッドの方に体を向ける。
キールの存在は俺にとってあまりにも近すぎて、人だとかそうじゃないとか全く意識するものでは無かったが、きっちり人として存在しているキールは、今までとは違うもの。
俺に対しての話し方も、年上でランクも上の冒険者であれば俺の方が敬語で話しかけなければいけないはずなのに、「他に人が居なければ今まで通りに」と、やたら丁寧な侍従モードを変えない。
それに反論するのも子供っぽいので、「キールはキールだし」と自分の中で折り合いをつけた。それは言葉遣いだけではなく、その存在に対してだということは、目が覚めた瞬間すんなりと認められたことだ。
段々と明るくなりつつある部屋の中で、隣のベッドの上にこちらに背を向けているキールの後ろ頭が見える。
寝息は聞き取ることはできない。
「生きているよね?……」
心の声はしっかりと唇に乗っていたようで……。
「……生きてますよ。この状態がそうであると言うのなら……」
そう、音もなく振り返るキールと目が合った。
寝転がったままのキールも珍しいな。
まだ俺も起きたばかりで思考も寝ぼけているのか、意味も無い変な方向に思考が転がっていく……。
起き上がって朝の支度を始める。この宿は風呂も洗面所も付いているので、洗面用の水がわざわざ用意されるのを待つ事無くすぐに動けるので、俺としてはこっちの方が楽だ。
流石に朝風呂とまではいかないから、洗面所で顔を洗うだけにする。
いつの間にか背後にキールが立っていて顔を拭く布を持っていた。
なぜかキールはすでにしっかりと外出できる準備ができている。
「……なんかずるい……」
こいつ汗かいたりしないのか?そう言えばトイレとか……?
『何変な事考えてるのですか……確かに実体を持った以上排せつ物に関しては同じようにした方がいいのかなぁ……必要はないけど……』
ふむふむと考えるようなそぶりを見せながらわざわざ念話で聞いてくるところはやっぱりキールであった、変わっていないところに安心した。
アミュレット王国の中では、キールは一種のバグ。あくまでも俺のスキルの一つとして存在しているから、誰にでも見える所謂実体化をしても、人間というか生物としての営みとして必要な呼吸とか排泄とか睡眠や食事だって、全く必要ではなかったようだ……。
俺がそのようなことを全く意識していなかったので、言われるまで全く気付かなかった。
だからあの国以外では、人間として存在できるということで、随分と喜んでいたキールも、きちんとした?人間として生活していくうえで、普通の姿を取るのであれば、食事や睡眠はもちろんのこと、排せつや汗をかくこと等も、行った方がいいのか、ということになったのだ。
……必要のないことをわざわざする必要もないのでは?
と俺は考えてしまうのだが、俺以外の人間が居るとことでそれらのことを全く行わなかったら流石におかしく思われるか知れないが、それはその時に考えればいいような気がした。
「俺と二人きりの間は別に考えなくてもいいのではないか?じっくり腰を据えるようなことがあれば、不都合もあるだろうが、どうせ一泊すれば次の街に向かうのだろう?」
すでに荷物もすべてキールのストレージにしまってしまった。何も荷物を持っていないと冒険者としておかしいかもしれないから、簡単な装備は携えているけど。
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