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チュート殿下 111 落ち着いたところでの考察2 

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 魔法についてはなんだかんだ結局チートに拍車がかかって、俺自身もそうであるが、特にキールに関してはリミッターを解除したら、この世界の神様がかわいそうなぐらいにはなってしまうだろうから、その点に関してはあまり考えないことにして、これからの来し方行く末をまじめに考えなければなぁ、とリビングでだらけながら庭を見つめている。

 学園に通わないことをマーシュたちに宣言をして、そのことを学園の上層部にもうまい具合に伝えてもらってから1週間。そろそろだらけ切っている事にも疲れてきてしまった今日この頃だ。

 学園内のことについては、しっかりとキールの魔法で、くまなく監視カメラも真っ青なほどに張り巡らされた情報網によって、知りたい情報は逆に学園に通っている時よりも手に取る様にわかるようになっている。

 情報について取捨選択するのはもちろんキールで、彼の使っている魔法だからなのか、俺にはわからない方法ですべての事象についてしっかりと確認は取っているようだ……凄すぎて開いた口が塞がらないとはこのことか……。

 そのことについても、深く考えるのはやめた。

 俺がガッコに通わなくなっても、とりあえずこの1週間は取り立てて何か問題が起こるということもなく、どちらかと言えば逆に、俺の居たSクラスは皆のびのびとしているという事実があったりなかったり……。

 ってなことも、ちょっぴり俺が沈んでいる原因でもあるのだ。

「あんなクラスメイトたちの笑顔見たことなかったもんなぁ……」

 認識阻害の関係もあってこちらからもあまり見ることがなかった彼らの今の素の様子に、ちょこっとだけ打ちひしがれていたりする。

 気持ちを持ちあげるためにも、身近なくだらないことに心を向けることはやめて、これからの建設的なことを考えるように気持ちを切り替えることにした。

 学校に行くこともなくなり、それなりのレポートや進級がかかる試験については仕方がないとしても、この身が時間的にも拘束されることがなくなるということは、その時間を有効に使うことができるということだ。

 以前少しだけかじった冒険者もどきのことも、今度は思い切りできるということ……。

 あの時よりも空間的な移動に関してはもっともっと自由度が増したから、この国にとらわれることなく、それこそどこまでも移動することができるのかもしれない。

 空高く飛んだ時に見た地の果てまでも、確かめることができるかもしれない。

 そのような事を考えると、途端に気持ちも浮き立った。

 この世界の国々は、その移動手段が未発達のためか、殆どが陸地をのろのろと進むのみの馬車移動に頼っている。

 水の中にも魔獣と呼ばれる者がいるらしく、航路に関してもそれほど発達しているとは聞いていない。

 この国の中でも詳しく描かれているとされる、軍事的な目的で使われる地図にも、この国の周辺の極一部しか記載されていないことはすでに確認済み。

 魔法が使える世界で、あまりにも未発達なところが所々偏在するのは、やはりこの世界を創造した存在が意図してそのように作り上げているからなのか……。

 とにかく歪なところを上げればきりがないのは、一言でいえば乙女ゲームの世界だからで片付いてしまうところが情けなく感じてしまうのは、俺が文明がここよりもずーと進んでいた前世の世界のことを覚えていることに他ならないのだろうが……。

 最近学園に行かなければならなかったことからすっかりご無沙汰していた冒険者活動を早速再開しようか。

 学園内のことについては、そう大した動きがあることは考えられないので、このまま様子を見ることにして、王城関係のことについては、これから俺の学園内のことも大抵報告が言っているだろうから、もしかすると何かしら動きがあるかもしれない。

 少しだけ……そう、ほんの少しだけ能力の一部を開放したから、そのことに気付いた王城のそれなりに敏感な賢い者が、何かしらの行動をとってくるかもしれない。

 自分たちの役に立ちそうなことには鼻が利く者こそが上級貴族と呼ばれる者達だ、何もしないでいるとも思えない。
 
 王様父親たちの行動から、俺のことをごみ屑か何かとみなし、見ないふりをしていた輩も、きちんと見る目を持っているか、持っていなくても鼻が利けば、これまでのように離宮にほっとかれた王子様のまま居られるなんて思ってはいない。

 ただ、今更利用されることなんて「死んでもイヤ!」な俺とすれば、これまで同様物理的にも接触を持たれないように、この離宮の要塞化を強化するだけだ。

 



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