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チュート殿下 89 発見!ピンクのお花畑!!

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「う~ん……」

 乙女ゲームの王道で、主人公と言えばピンクなんだけど……。

 今更だけど、キールが遠慮しないで鑑定をすれば、どこまでも本人の能力などのプライバシーを暴くことができるが、この世界の鑑定はそこまで親切ではないらしいし、人物の鑑定をすることができるのは、主に魔道具を使ってのことになるようで、通りすがりの人を鑑定するなんてことはできないのだ。

 冒険者ギルドの優秀なあのカードでも、本人の能力に関しては表示できる項目は少なく、わざわざ出身国を表示するようなことに使われたりはしないのだ。

 もしかしたら、入園式の際に空中を漂っていたキールが目にしたかもしれない色について聞いてみる。

「あの会場の中で、ピンク色の何かを目にしなかった?」

 教室の前では偉そうな教師がこの学園の説明をしているが、そのようなことはこの教室に居る者ならばみんな知っているよ、ということを偉そうに話している最中だ。

 俺の周りにはしっかり結界が張られ、ついでに防音結界も張られていることから、外の音は聞こえても中から音は漏れないようになっている。この中のことは、それでなくても認識阻害がきいていて良くは見えない。

 長い机の端に行儀悪く座ってるキールは、あの時に見たものを思い出すように少し目を閉じると、すぐに記憶にヒットしたところがあったのか、いたずらを思いついたような表情を浮かべて俺を見る。

「いたよ!ピンクの髪の毛の女!すっごいピンクではなかったが、あの髪の色はこの世界でも目にすることのできない色だな」

 やっぱり居たんだ……。ピンク……。

 俺は魔法で髪の色とか目の色とか変えちゃっているけど、基本的には染めるとかコンタクトのような物も考え方もないうえに、この国では特に纏う色に意味を持っているから、魔法を使っても変ることはできないことになっている、というか俺以外はできないと思う。

 ピンクって一般的でない色は、どの属性の色なのか?

 もしかしたら、弱い火属性の赤系の色と、金色になりえないほどの弱い光属性の色が混ざって、うっすいピンクにでもなったのか?

「新入生の中では、一番演壇から離れたところに座っているクラス?その中でやけに不服そうな顔をして座っている女が居たからよく覚えてる」

 よほどその女の様子がおもしろかったのか、思い出し笑いを浮かべながら観察した結果を教えてくれた。

「流石に、鑑定はしてないが、あの女はおかしかったからついしばらく観察をしてしまった」

 この学園はゲームであることからもわかる様に、日本の色を濃く投影してしっかりと制服があったりする。

 日本の高校の制服とはさすがに違って、英国の魔法学園の方の色を濃く映していて、魔法使い用のローブと呼ばれる上着が採用されている。その中に着るものは基本自由とされているのだが、推奨服とか標準服と呼ばれるものがあり、毎朝のおしゃれに疲れた人はそれを着ていれば大丈夫というものだ。

 普段授業を受ける時に、流石にローブの下の自由な服装に、ドレスを着てくるものはなく、いくら上級貴族の子女でも授業を受けやすいような推奨服に近い服を着てくる。

 今日のような式典においても、ドレスまでは着てきたものは見えなかったが、制服とみなされている推奨服に少し手を加えたり、標準よりも使う生地を高級にすることなどで差別化を図ったりするものだ。

「その女、ローブの下の制服?そのスカートの丈がやたらと短かったんだよ。座ると太ももまで見えるの。それまで、みんなローブで下の服装までわからなかったのが、椅子に座ってローブの前が開いたら下の服が見えるだろ?自分以外のだれも足をさらけ出している奴が見当たらなくて、焦ってローブを書き合わせようとしてたけど、なかなか全部は隠せなくて周りから白い目で見られていたよ」

 この世界の女性は足をさらすということをしない。それは身分が上がるほど顕著で、この国の女の子は10歳の精霊契約が済んだ後は短くてもふくらはぎが隠れるくらいの長さのスカートを着るし、それ以上の年齢になれば貴族の女性であれば足首は隠すことがエチケットとされていて、平民の女性でもふくらはぎが隠れるくらいの長さを着るのがふつうであるから、この学園の制服でもふくらはぎを隠すくらいの長さは最低あり、膝上のスカート丈なんてこの世界の常識的に考えることができない長さなのだ。

「そうだ、思い出した。ゲームの中での制服姿は、なぜか普段の服装と関係なく、日本の高校の制服と同じように膝上の短いスカートを着たスチルだった……」

 つまり、膝上丈の服を着ていたってことは……ヤバイ!ピンクのお花畑かもしれない……。

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