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第3章 心が繋がる時

14. 魔法の謎と自分なりの解答

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 ようやく家に帰り着いて、そのままベッドに突っ伏した。
 結局、あの後昼食と晩餐までサブマスの家でご馳走になってしまった。メリーベルさんの体調が気になったが、どうやらメリーベルさんは魔力の回復に関しては何か技能を持っているようで、ある意味サブマスさんやエリーナさんよりも回復が早かったように思う。
(……疲れた)
 カルラ達に言われるまま、現状で思いつく注意点、念話に関しては本人達で実地訓練してみたほうが良いらしいこと、そして…
(サブマスとエリーナさんの魔力総量について…か…)
 実際のところ、エリーナさんの方が、サブマスよりもま2割程度魔力が多い。でも、エリーナさんは魔法適性がとても低いと言われたらしく、適性がある属性の初級の魔法をひとつずつしか使えないらしいのだ。あまりにも不思議だったのでエリーナさんに魔法を使ってみてもらったのだが、確かに中級と言われる魔法を打とうとしても発動しなかった。でも、不思議なことに紋様を使った土壌改善の効果がある植物の成長促進術(初級)を教えてみたところ、すぐに習得できたし、かなりの時間持続して使えそうだと言う。そして、間近で見て気づいたことがひとつあった。
(魔法を使うときの、一度に出せる魔力の放出量が違うかもしれないな…)
 サブマス達が普段使っている魔法は、1回の魔力を大きくドカンと出してから操作する必要があるように見える。
(多分、初級魔法の時でソフトボールくらいの大きさを一気に出す感じ…中級だとバスケットボールくらいかな?)
 こう言っては何だけど、時間をかけて詠唱して、一生懸命魔力を練り上げて…という作業をしてまで魔力を高めているのにそのやり方では、魔力の効率としては悪いと思う。紋様を使うと、だいたいその3分の1くらいの魔力で済む気がする。
(まあ、それは今は置いとくとして…)
 エリーナさんは、一度に出せる魔力の放出量が、サブマスやメリーベルさんと比べると小さい上に遅い。敢えて言うなら『細い』と言うべきか。同じ量の水を汲んで、バケツをひっくり返すか、注ぎ口を付けてチョロチョロ注ぐか。それだけの事ではあるのだが、おそらくそれだと今使われている魔法では中級とされるものは使えないだろう。訓練して放出量を増やすか……
(使える魔法を作るか……?)
 そこまで考えて、思わずむくりと起き上がった。
「そう、そうだよね…使えないなら、何とかしようと思うはず…」
 疑問と自分の中の仮説が浮かんでは組み合わさってさまざまな形を取り始める。私はそのままベッドに胡座を組むような形で座り込み、書き付けとアイテムボックスの中身を見比べた。
そして、レイヴァーンの歴史の事を書いてある本を片っ端から読んでいく。そして、それらの大体の内容を書き出しながら、時系列に…正しくは、時系列だと思う順に並べていく。
(そう、アイテムボックスの中身、この場合は、私が今使っている紋様を使った魔法は……)

◇◇◇

「…さま、主様!主様ってば!」
「は、はい!」
 ガバリと起き上がると、外は明るくなっていた。
「主様、今日はメリーベルさんとお約束してましたよね?」
「えっ? もうその日⁉︎」
 確か、約束したのはあれから1週間後だったはずだ。
「はい!」
 カルラはちょっとプリプリ怒っているようだ。
「ごめんね、ちょっと夢中になりすぎたみたい」
「そうですの!」
「一緒にご飯食べましょうだよ」
「主様、ご飯食べてる間に髪を結います!」
 ほかの精霊達もワラワラと近くにやってきた。
「それで…」
 カルラは小さくため息をつくと、私の顔を覗き込む。
「主様、謎は解けたんですか?」
「うーん…」
 その言い回しが可愛らしくて、撫で撫でしてしまう。
「解けたとは言えないけれど…ちょっとだけね、わかった事もあるかな」
 朝ごはんのサラダを用意してあるテーブルについて、アイテムボックスからミルクやパンを出すと、カルミアとカルスが私のコーヒーを温めて持ってきてくれた。おそらく、待っている間に一度冷めてしまったのだろう。お礼を言って受け取り、ひとくち口に含んだ。深煎りコーヒー豆のいい香りが鼻腔に抜けていくのを感じつつ、精霊達に声をかける。
「今日は、神殿に行ってからサブマスの家に行くよ」
 昨日行き着いた答えを、なんとなくセカイさんに報告したくなったのだ。答えが帰ってくるわけでは無いけれど……その行き着いて良かったのか悪かったのか、セカイさんに尋ねてみたくなったのだ。
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