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1.朝食はトーストに……

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序章のころ。転生したばかりの頃の、やや「疲れた感」が残っている頃のリッカです。
 
—————————————————————

 朝は好きなだけ寝ている、と思ってはいたものの、なんとなく朝には目ざめるようになっていた。

 リッカはいつもの通り無言のままベッドから降りて、素足にスリッパを履いてペタペタと窓辺に近づいた。カーテンは面倒なのでつけていないため、朝日が刺すほど差し込みそうではあるのだが、山の中であり、あたりは鬱蒼とした木々の中。木々の間から程よい光が差し込んでいる。
「はぁ……いい天気だね」
 つぶやく言葉にあまり意味はない。ただの独り言だ。
(応える声が無いことにも慣れてきたのかもしれない……?)
 時折感じるこの感覚が、おそらく前世のものなのだろうということも、だいぶ客観的になりつつある。
「寂しい……? それとも、気楽?」
 バタバタと朝の支度をしていたのかもしれない、と言う感覚も、どこか他人を見ているようだ。と、お腹が小さく鳴った。
「何食べようかな」

 見た目は平屋の小さなログハウスではあるが、寝室、4人がけのダイニングセットが置いてあるリビング、簡易ではあるがデスクがある部屋、お風呂にトイレなどの水まわりなども整っている。
 電化製品が無いところを除けば、キャンプ場のバンガローに近いのかもしれない。
 ペタペタと廊下を歩いてダイニングに腰掛けると、肘をつきながらアイテムボックスの文字盤を眺める。
「食パン、トースト……あ、生食パンなんてのもあるんだ。すごい種類……」
 最近になって『詳細を見る機能』などに気づいて色々と分かってきたことも多い。
(もしかして……何処其処の生食パンとかもあるのかも)
「まあ、今度でいいか」
 皿、カップ。そしてトースト、バター、多分インスタントのコーヒー。
 これにしようと意思を決めた途端に目の前に一瞬で現れる。
(便利すぎる……)
 何処かのセットかと思えるほどの完璧な配置。それぞれほんわりと湯気が頬を撫でる。

 何も考えずサクリとトーストに齧り付いて、半分ほど食べ進めた時。
「サラダ……食べようかな」
 アイテムボックスの中にあるのは、コンビニやスーパーよりも多いだろうサラダの種類。
「セカイさん、これなんでアイテムボックスに入れようと思ったのかな」
(いやむしろ……なんで知ってるの?)
 本日はラディッシュのサラダにした。
「そろそろ旬だものね」

 アイテムボックスの中には旬なんてないかもしれないけれど。

———————————————

本日の朝食メニュー

アイテムボックスより、
トースト(多分スーパーによくあるタイプの6枚切食パンをトーストしたもの。こんがり)
バター(5gくらいにカットされたもの)
コーヒー(多分インスタント。多め。250ccくらい)
ラディッシュのサラダ(カップ一杯分くらいのミニサラダ)
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