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第六章
40. 決着
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今度はクロードから二通の手紙を受け取った王は、それぞれに印璽の紋様と署名とを確認すると表情を険しくした。
「ご覧のようにすでに開封済みです。陛下が中を改めて下さっても構いません」
公爵同様にクロードは一礼して部屋の中央へと戻る。
王は便箋を取り出すと順番に目を落とし、ほどなくしてその顔に苦渋の色を浮かべた。
「にわかには信じられぬ。いや――しかし」
今度は部屋の最奥から入口側、ほぼ正反対の位置にいるスタンレー公爵を見やる。
おそらくは一通はロゼリエッタが離宮から立ち去るきっかけになった、あの手紙なのだと思った。もう一通に関しては全く見当もつかない。
文面など知るはずもないロゼリエッタや、そもそもが何の文書なのかすら想像もつかない貴族たちは釣られるかのように王の動きを追った。
「スタンレー公爵。この手紙に書かれていることも事実なのか」
「あいにくと、何が書かれているのか私には分かりかねます」
スタンレー公爵の答えに王は忌々しげに眉を寄せる。
彼が知らないはずがない。そう判断しての問いかけだと公爵が分からないはずもないだろうに嘯いた。
その態度はさすがに王の不興を買ったらしい。王は怒りを隠すこともせず公爵を睨めつける。
「クロード・グランハイムが王太子暗殺を企てたと名乗り出ねば、ロゼリエッタ・カルヴァネス嬢が犯人だという証拠と共に告発する――。ここに、貴公が王太子に宛てた文書と、それを受けて王太子がクロードに宛てた文書が揃っている。本当に貴公がこのような文書を書いたのか」
ロゼリエッタはクロードを見た。
彼がマーガス暗殺の犯人だと嘘の供述をしたのは、本当にロゼリエッタの為だったのだ。
そんな優しさなんか、いらなかったのに。
「恐れながら、印璽の意匠には細やかな図を用いておりますが、複製することは決して不可能ではございません。何より私個人がマーガス王太子殿下に手紙をお出しできるような身にございませんので、何のお話か分かりかねます」
「確かにそなたの申し分に一理はある。だが先刻、そなたは"ロゼリエッタ嬢の手紙"を証拠として提出したばかりだ。そなたの言い分が通るなら、ロゼリエッタ嬢にも再考の余地があるということではあるまいか」
ロゼリエッタは咄嗟に王へと嘆願した。
「どうか紙とペンをご用意してはいただけないでしょうか。皆様がご納得いただけるまで、私の筆跡の鑑定をお願い致します」
しばし思案し、王は頷く。そして貴族たちにロゼリエッタとスタンレー公爵、二人分の筆記具を貸すように命じた。
「スタンレー公爵はこちらに」
公爵の座る傍聴人用の席にはテーブルがない。長テーブルに座る貴族の一人が立ち上がると席を譲った。ロゼリエッタは席を移らず、筆記具を持って来た別の貴族からそのまま手渡される。
スタンレー公爵は微動だにしなかった。筆跡の鑑定を拒否するという意思表示だろう。レミリアが不快そうに美しい顔をしかめた。
「どうなさったの、スタンレー公爵。まさか印璽だけでなく筆跡も似せられていると仰りたいの?」
「その可能性も当然ございましょう」
「これ以上、陛下やマーガス殿下を愚弄なさるのはおやめなさい。どちらにしろ、フランツ王弟殿下が逮捕された時点で全ては終わっていたのよ。あなたにもう逃げ場などありません」
「愚弄など滅相もございません」
公爵は立ち上がり、長テーブルに視線を向ける。
ひどく緩慢な動作で歩を進め、けれどすぐに立ち止まった。
「く、くく……! っははははは!」
弾かれたように笑い、右手で顔を覆う。
「陛下! 今すぐ公爵の身柄の確保を……!」
あきらかに様子がおかしい。突然の変貌に状況が飲み込めないロゼリエッタの隣で、レミリアが父王に助けを求める。すぐさま衛兵が動き出した。
しかし、スタンレー公爵の方が早かった。
「逃げてロゼ!」
狂気に染まった笑みを浮かべて公爵が近寄って来る。
レミリアが悲鳴のような声でロゼリエッタの名を呼んだ。
公爵の目当てがどちらかは分からない。でも逃げたら確実に、後ろにいるレミリアに危害が及んでしまう。だからロゼリエッタはじっと動かなかった。
もちろん恐怖はある。動けない、と言った方がいいのかもしれない。
その一方で、信じてもいた。
テーブルを飛び越える影がある。
それは公爵から庇うようにロゼリエッタの前に降り立った。
「クロード様……」
やっぱり、助けに来てくれた。
いつも背中ばかり見ていた。
振り向いてくれないことが寂しくて悲しくて、だけどいつだって残酷なまでに優しかった。
「母親同様に、婚約者を自分の身勝手で捨てた男が今さら偽善者ぶるか」
「わたくしは決して、捨てられてなどおりません!」
嘲笑うスタンレー公爵にロゼリエッタは叫んでいた。ロゼリエッタからの反論をまるで想定してはいなかったのか、公爵が驚いたような目を向ける。
もしかしたら、ある意味ではいちばん公爵に反撃をくわえられることなのかもしれない。
そう思うと次の言葉も、それを口にする勇気も奥底から湧き上がって来るようだった。
「クロード様とわたくしは同じ道を共に歩めなくなってしまっただけ。いいえ。最初から道は分かたれていたのです」
「――ロゼ」
背中を向けたまま、クロードが名を呼ぶ。
「君はもう、守ってくれなくてもいいと言った。でも、僕は――僕の世界に大きな光を与えてくれた小さな女の子を、君だけを守りたいんだ。その為なら、僕はどうなろうと何だって良かった」
ずっと、自分は簡単に切り捨てられる存在なのだと思っていた。
でも本当は違う。違っていると、思いたかった。
そうして、嘘でもいいから大切だと、傍にいて欲しいと言って欲しくて、なのにいちばん大切な言葉だけを飲み込んでいた。最初から大きくすれ違っていたのだ。
「世間知らずな貴族子女が口先だけの言葉に騙されて、可哀想に」
公爵は笑みを消さず、けれど感情のこもらない声で誰にともなく呟く。それはロゼリエッタに向けたものなのかもしれないし、あるいは過去の公爵自身に向けて言っているのかもしれなかった。
おそらくはマチルダを愛していたのだろう。
想いが先か、婚約が先かは分からない。
ただ心から愛していた。でも悲しいことにマチルダは公爵に同じ想いを抱かなかった。
ロゼリエッタにも痛いほど分かる。それは本当に本当に、悲しいことだ。
公爵は笑みを歪め、上着の内側に右手を差し入れる。
その手が次に現れた時、鈍い銀色に光る何かが握られていた。下から親指を滑らせると、剣呑な輝きを放つ刃が剥き出しになった。
「近寄るな!」
ようやく公爵の背後に回り込んだ衛兵を牽制するようにナイフをかざす。
「貴様の目の前でロゼリエッタ嬢を切り裂いてやろうと思っていたが――母親と再会させてあげた方が良さそうだ」
そして姿勢を低くし、ナイフを構えて走った。クロードはロゼリエッタを庇ったままだ。避けないと公爵も分かっている。だから正面から挑めるのだ。
しかしそれでも、レミリアの護衛を務めるクロードとの彼我の差は埋められるものではなかった。
クロードの右手が公爵の手首付近を下から薙ぎ払う。
嫌な音を立てて握り込む公爵の手が緩んだ。床に落ちたナイフをクロードがすぐさま衛兵の方に蹴り飛ばす。
鮮やかな、一瞬の動きだった。
「ロゼ、怪我はしていない?」
しているはずがない。
クロードに半ば見惚れていたロゼリエッタは我に返って何度も頷いた。
だけどもう、このとても素敵な人は自分の婚約者じゃない。
そう思うと胸が痛んだ。
スタンレー公爵は両肩を床につける体勢で無理やり抑え込まれた。必死の抵抗で顔を上げ、クロードを憎々しげに睨みつける。彼に、そして彼の母マチルダに、耳を塞ぎたくなるほどの罵声をいくつも投げつけた。
誰しもが口を閉ざすよう国王が命じるの待って顔を向ける。
王が立ち上がった。
同時に閉ざされていた扉が開かれる。姿を見せたのはマーガスだった。彼は真っすぐに王の元に歩み寄って片膝をつく。
「このような神聖な場への闖入にて大変失礼致します。現国王であり我が父でもあるグスタフ・リエドリア・アーネスト・フォン・ラディンベルドより、この私マーガス・フォン・ラディンベルドが正式に王位の譲渡を受けましたことを急ぎご報告に参りました」
マーガスの言葉に場の空気が一転して騒めきたった。国王はそれを右手を掲げることだけで粛清し、立つようにとマーガスを促す。それから静かな、しかし良く通る声で問いかけた。
「グスタフ陛下は病に臥せっているという話だったが、そのご容態に異変でも?」
「いいえ。どちらかと言えば体調は良くなって来ております。しかし代わりに、我が国の王家そのものが病魔に蝕まれつつあります故、腐った細胞を取り除かねばならないとご決断をされたのです」
「なるほど。事情はあい分かった。してこの場に乗り込んで来たのは王位を継いだ報告だけではあるまい」
「国王になるとは言え、私などまだまだ若輩の身。陛下にも国王が何たるものか、ご指導いただければ幸いにございます。その先駆けとして――」
マーガスの目が、衛兵二人がかりで未だ抑え込まれているスタンレー公爵に向けられる。
感情の読み取れない表情と声で用件を告げた。
「前王弟フランツから、アレックス・スタンレー公爵と共謀して王位簒奪を狙っていたとの証言も得ましたので、公爵の身柄の引き渡しを要求致します」
「ご覧のようにすでに開封済みです。陛下が中を改めて下さっても構いません」
公爵同様にクロードは一礼して部屋の中央へと戻る。
王は便箋を取り出すと順番に目を落とし、ほどなくしてその顔に苦渋の色を浮かべた。
「にわかには信じられぬ。いや――しかし」
今度は部屋の最奥から入口側、ほぼ正反対の位置にいるスタンレー公爵を見やる。
おそらくは一通はロゼリエッタが離宮から立ち去るきっかけになった、あの手紙なのだと思った。もう一通に関しては全く見当もつかない。
文面など知るはずもないロゼリエッタや、そもそもが何の文書なのかすら想像もつかない貴族たちは釣られるかのように王の動きを追った。
「スタンレー公爵。この手紙に書かれていることも事実なのか」
「あいにくと、何が書かれているのか私には分かりかねます」
スタンレー公爵の答えに王は忌々しげに眉を寄せる。
彼が知らないはずがない。そう判断しての問いかけだと公爵が分からないはずもないだろうに嘯いた。
その態度はさすがに王の不興を買ったらしい。王は怒りを隠すこともせず公爵を睨めつける。
「クロード・グランハイムが王太子暗殺を企てたと名乗り出ねば、ロゼリエッタ・カルヴァネス嬢が犯人だという証拠と共に告発する――。ここに、貴公が王太子に宛てた文書と、それを受けて王太子がクロードに宛てた文書が揃っている。本当に貴公がこのような文書を書いたのか」
ロゼリエッタはクロードを見た。
彼がマーガス暗殺の犯人だと嘘の供述をしたのは、本当にロゼリエッタの為だったのだ。
そんな優しさなんか、いらなかったのに。
「恐れながら、印璽の意匠には細やかな図を用いておりますが、複製することは決して不可能ではございません。何より私個人がマーガス王太子殿下に手紙をお出しできるような身にございませんので、何のお話か分かりかねます」
「確かにそなたの申し分に一理はある。だが先刻、そなたは"ロゼリエッタ嬢の手紙"を証拠として提出したばかりだ。そなたの言い分が通るなら、ロゼリエッタ嬢にも再考の余地があるということではあるまいか」
ロゼリエッタは咄嗟に王へと嘆願した。
「どうか紙とペンをご用意してはいただけないでしょうか。皆様がご納得いただけるまで、私の筆跡の鑑定をお願い致します」
しばし思案し、王は頷く。そして貴族たちにロゼリエッタとスタンレー公爵、二人分の筆記具を貸すように命じた。
「スタンレー公爵はこちらに」
公爵の座る傍聴人用の席にはテーブルがない。長テーブルに座る貴族の一人が立ち上がると席を譲った。ロゼリエッタは席を移らず、筆記具を持って来た別の貴族からそのまま手渡される。
スタンレー公爵は微動だにしなかった。筆跡の鑑定を拒否するという意思表示だろう。レミリアが不快そうに美しい顔をしかめた。
「どうなさったの、スタンレー公爵。まさか印璽だけでなく筆跡も似せられていると仰りたいの?」
「その可能性も当然ございましょう」
「これ以上、陛下やマーガス殿下を愚弄なさるのはおやめなさい。どちらにしろ、フランツ王弟殿下が逮捕された時点で全ては終わっていたのよ。あなたにもう逃げ場などありません」
「愚弄など滅相もございません」
公爵は立ち上がり、長テーブルに視線を向ける。
ひどく緩慢な動作で歩を進め、けれどすぐに立ち止まった。
「く、くく……! っははははは!」
弾かれたように笑い、右手で顔を覆う。
「陛下! 今すぐ公爵の身柄の確保を……!」
あきらかに様子がおかしい。突然の変貌に状況が飲み込めないロゼリエッタの隣で、レミリアが父王に助けを求める。すぐさま衛兵が動き出した。
しかし、スタンレー公爵の方が早かった。
「逃げてロゼ!」
狂気に染まった笑みを浮かべて公爵が近寄って来る。
レミリアが悲鳴のような声でロゼリエッタの名を呼んだ。
公爵の目当てがどちらかは分からない。でも逃げたら確実に、後ろにいるレミリアに危害が及んでしまう。だからロゼリエッタはじっと動かなかった。
もちろん恐怖はある。動けない、と言った方がいいのかもしれない。
その一方で、信じてもいた。
テーブルを飛び越える影がある。
それは公爵から庇うようにロゼリエッタの前に降り立った。
「クロード様……」
やっぱり、助けに来てくれた。
いつも背中ばかり見ていた。
振り向いてくれないことが寂しくて悲しくて、だけどいつだって残酷なまでに優しかった。
「母親同様に、婚約者を自分の身勝手で捨てた男が今さら偽善者ぶるか」
「わたくしは決して、捨てられてなどおりません!」
嘲笑うスタンレー公爵にロゼリエッタは叫んでいた。ロゼリエッタからの反論をまるで想定してはいなかったのか、公爵が驚いたような目を向ける。
もしかしたら、ある意味ではいちばん公爵に反撃をくわえられることなのかもしれない。
そう思うと次の言葉も、それを口にする勇気も奥底から湧き上がって来るようだった。
「クロード様とわたくしは同じ道を共に歩めなくなってしまっただけ。いいえ。最初から道は分かたれていたのです」
「――ロゼ」
背中を向けたまま、クロードが名を呼ぶ。
「君はもう、守ってくれなくてもいいと言った。でも、僕は――僕の世界に大きな光を与えてくれた小さな女の子を、君だけを守りたいんだ。その為なら、僕はどうなろうと何だって良かった」
ずっと、自分は簡単に切り捨てられる存在なのだと思っていた。
でも本当は違う。違っていると、思いたかった。
そうして、嘘でもいいから大切だと、傍にいて欲しいと言って欲しくて、なのにいちばん大切な言葉だけを飲み込んでいた。最初から大きくすれ違っていたのだ。
「世間知らずな貴族子女が口先だけの言葉に騙されて、可哀想に」
公爵は笑みを消さず、けれど感情のこもらない声で誰にともなく呟く。それはロゼリエッタに向けたものなのかもしれないし、あるいは過去の公爵自身に向けて言っているのかもしれなかった。
おそらくはマチルダを愛していたのだろう。
想いが先か、婚約が先かは分からない。
ただ心から愛していた。でも悲しいことにマチルダは公爵に同じ想いを抱かなかった。
ロゼリエッタにも痛いほど分かる。それは本当に本当に、悲しいことだ。
公爵は笑みを歪め、上着の内側に右手を差し入れる。
その手が次に現れた時、鈍い銀色に光る何かが握られていた。下から親指を滑らせると、剣呑な輝きを放つ刃が剥き出しになった。
「近寄るな!」
ようやく公爵の背後に回り込んだ衛兵を牽制するようにナイフをかざす。
「貴様の目の前でロゼリエッタ嬢を切り裂いてやろうと思っていたが――母親と再会させてあげた方が良さそうだ」
そして姿勢を低くし、ナイフを構えて走った。クロードはロゼリエッタを庇ったままだ。避けないと公爵も分かっている。だから正面から挑めるのだ。
しかしそれでも、レミリアの護衛を務めるクロードとの彼我の差は埋められるものではなかった。
クロードの右手が公爵の手首付近を下から薙ぎ払う。
嫌な音を立てて握り込む公爵の手が緩んだ。床に落ちたナイフをクロードがすぐさま衛兵の方に蹴り飛ばす。
鮮やかな、一瞬の動きだった。
「ロゼ、怪我はしていない?」
しているはずがない。
クロードに半ば見惚れていたロゼリエッタは我に返って何度も頷いた。
だけどもう、このとても素敵な人は自分の婚約者じゃない。
そう思うと胸が痛んだ。
スタンレー公爵は両肩を床につける体勢で無理やり抑え込まれた。必死の抵抗で顔を上げ、クロードを憎々しげに睨みつける。彼に、そして彼の母マチルダに、耳を塞ぎたくなるほどの罵声をいくつも投げつけた。
誰しもが口を閉ざすよう国王が命じるの待って顔を向ける。
王が立ち上がった。
同時に閉ざされていた扉が開かれる。姿を見せたのはマーガスだった。彼は真っすぐに王の元に歩み寄って片膝をつく。
「このような神聖な場への闖入にて大変失礼致します。現国王であり我が父でもあるグスタフ・リエドリア・アーネスト・フォン・ラディンベルドより、この私マーガス・フォン・ラディンベルドが正式に王位の譲渡を受けましたことを急ぎご報告に参りました」
マーガスの言葉に場の空気が一転して騒めきたった。国王はそれを右手を掲げることだけで粛清し、立つようにとマーガスを促す。それから静かな、しかし良く通る声で問いかけた。
「グスタフ陛下は病に臥せっているという話だったが、そのご容態に異変でも?」
「いいえ。どちらかと言えば体調は良くなって来ております。しかし代わりに、我が国の王家そのものが病魔に蝕まれつつあります故、腐った細胞を取り除かねばならないとご決断をされたのです」
「なるほど。事情はあい分かった。してこの場に乗り込んで来たのは王位を継いだ報告だけではあるまい」
「国王になるとは言え、私などまだまだ若輩の身。陛下にも国王が何たるものか、ご指導いただければ幸いにございます。その先駆けとして――」
マーガスの目が、衛兵二人がかりで未だ抑え込まれているスタンレー公爵に向けられる。
感情の読み取れない表情と声で用件を告げた。
「前王弟フランツから、アレックス・スタンレー公爵と共謀して王位簒奪を狙っていたとの証言も得ましたので、公爵の身柄の引き渡しを要求致します」
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