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第一章
2. 婚約者の想い人
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夜会の場となる大広間に足を踏み入れるとクロードの姿を見た人々から感嘆の溜め息が沸き起こり、そして落胆の吐息に変わる。
普段は一人で参列している彼が、今日はロゼリエッタを連れているせいだろう。
ましてや今日は王女主催の夜会である為か、年若い招待客が多い。半年前の夜会よりもあからさまに無遠慮な視線が自分に集まるのを感じ、ロゼリエッタは今すぐ帰りたい気持ちになった。
顔を寄せ合った令嬢たちがひそひそと囁く声には、クロードの名が何度も出て来る。
そこにロゼリエッタの名が混じらないのは良いことなのか、悪いことなのか。突き刺さる視線と、絶妙に聞こえよがしな大きさの声から察するに後者なのだろう。――察したくもないことだけれど。
「おいで、ロゼ。人がたくさんいるから手を繋いで歩こう」
ロゼリエッタは全く予想もしていなかった申し出に、思わずクロードの顔と差しのべられた手とを見比べた。クロードのエスコートで夜会に出た回数自体少ないけれど、こんなことは初めての経験だ。
子供扱いされているのか淑女扱いされているのか分からない。助けを求めるよう後ろに控えるアイリを振り返ると、自分のことのように嬉しそうな顔で強く頷かれた。手を取った方が良い。そう言っているようだ。
「どうしたの? 僕と手は繋ぎたくない?」
「そ、そんなことはないです」
このままではクロードに恥をかかせてしまう。ロゼリエッタは意を決し、大きな掌に自分の指先を重ね合わせた。
手袋越しに指が触れた瞬間、周りの声は耳に入って来なくなった。
人々が急にお喋りをやめたなどということはなく、何かを話しているのは口の動きで分かる。けれど、音そのものが遮断されていた。
ああ、これは、まるで。
「魔法みたい」
「え?」
クロードが訝しげに形の良い眉をひそめるのを見て、思ったことがそのまま口に出ていたことに気がつく。
でも、言ってしまったものはしょうがない。ロゼリエッタは自分を奮い立たせるように微笑むと、夢の中にいるような気持ちで言葉を続けた。
「クロード様が手を繋いで下さったら、まるで魔法がかかったみたいに周りの方々の声が聞こえなくなりました」
「声が聞こえなくなったのは君にとって良いこと?」
「はい。クロード様の声だけがとても良く聞こえます」
「――そう、か」
何か失言をしてしまっただろうか。
クロードの反応に良からぬものを感じたロゼリエッタは、子供じみた言葉はやっぱり言うべきではなかったと後悔した。そこへ一際人目を引く美しい女性が二人の方へ歩いて来るのを見て、さらに心を冷やして行く。
彼女に気がついたから反応が鈍くなったに違いない。
繋がれた指に、ロゼリエッタは無意識のうちに力を込めた。するとクロードの指先がわずかに動く。さりげなさを装って離すつもりでいたのにできなくなった。そう言われている気がしてしまう。
(――あの方は)
女性の進行方向にいる人々が立ち塞がってしまうことのないよう道を開けるから、みるみる彼女とロゼリエッタたちとの距離が縮まって行く。
何も言わずとも、貴族たちが自主的に道を譲る相手などそう多くはない。そして彼女はそんな数少ない人物に与する一人だ。
この国の第一王女レミリア。
クロードと同じ年で、彼の主でもある。
ストロベリーブロンドの長い髪を緩く巻き、目にも鮮やかな真紅のドレスに身を包む姿はまさに大輪のバラを思わせた。持って生まれた王女としての自信と誇りとが、よりいっそうの輝きを与えている。
レミリアはロゼリエッタの前に立ち、涼やかな瞳に親しみをこめた笑みを浮かべた。
「久し振りね、ロゼ。来てくれてありがとう」
「お招き下さいましてありがとうございます、レミリア王女殿下」
淑女の礼をして、ロゼリエッタも笑みを返す。
はつらつと健康的な美しさに満ちたレミリアは、同性のロゼリエッタから見ても魅力的な存在だった。彼女のようになれたらと何度思ったか分からないほどだ。
胸がちくりと痛みはじめた。
レミリアに仕えるようになってから、クロードは少しずつロゼリエッタと距離を置くようになったように思う。
今日みたいに贈られたドレスを着るロゼリエッタを褒めてくれたり、エスコートをしてくれたりと、表面上の変化はない。でも、ずっとクロードを見つめ続けているから、些細な態度の変化が分かってしまう。
そしてクロードがレミリアに向ける目が、主君へのそれとは全く違う色と熱を帯びていることにも気がついてしまったのだ。――肯定されるのが怖くて、彼の想いを確認したことはないけれど。
「でもあなたのお話自体はクロードからよく聞いているのよ」
ロゼリエッタの心臓がどきりと跳ねた。
クロードはどんな風にロゼリエッタのことをレミリアに話しているのだろう。
答えを聞いてみたい。
でも同じくらいの強さで知りたくない気持ちもあった。もし、婚約者ではなく可愛い妹のような存在だと語っていたら、縋れるものが何もなくなってしまう。
ねえ?と同意を求めるようにクロードへ悪戯っぽい視線を向ける。
ともすれば子供じみた仕草も大人びた容姿のレミリアがすると、とても魅惑的で様になった。
一方のクロードはかすかに眉尻を下げた。三歳年上のクロードはいつだって頼もしくて頼りがいがあった。なのに、こんな困ったような顔は初めて見る。
レミリアが羨ましい。
彼女はどれだけ、ロゼリエッタが知らないクロードを知っているのだろう。
クロードはどれだけ、ロゼリエッタには見せない表情をレミリアには見せているのだろう。
だけどロゼリエッタは美しいバラにはなれない。
せっかく両親が花々の女王たる"バラ"をその名に冠してくれていても、ロゼリエッタは気高く咲き誇るバラとは縁遠かった。彼女を知る者は皆が等しく、慎ましく咲く他の花の名を挙げるだろう。
でも、それでも構わなかった。たとえ小さな白詰草であったとしても、その花の存在を受け入れてくれる人がいる。ただ、そんな人々の中に愛する婚約者がいない。それだけだ。
それにレミリアは隣国の王太子マーガスと婚約している。成人を迎える半年後に隣国へ輿入れすることも、彼女が幼い頃から決められていた。
だからクロードがどれだけ強くレミリアを想ったところで、ロゼリエッタのそれと同じように決して報われることはない。
その事実だけがロゼリエッタをかろうじて支えていた。
「ロゼ? 来たばかりだし、少し座ろうか」
「まあ、それは気が利かないことをしてしまったわ」
名を呼ばれたことで畏れ多くも王女相手に値踏みの目を向けている自分に気がつき、ロゼリエッタは自己嫌悪の念に駆られて俯いた。
だから、クロードはレミリアに心惹かれるのだ。
好きな人の幸せを心から願うことの出来ない醜いロゼリエッタを、好きになってもらえるはずがない。
「せっかく夜会に二人で来たのに、体調が悪くて楽しめなかったら意味がないものね」
押し黙っているのは体調が悪いからではなかった。
心が萎んでしまったことが原因だ。
でもレミリアに、あなたのせいなんて言えるはずもない。
――笑わなきゃ。
今この場を笑顔で乗り切れたら、次にレミリアと会う機会は当分先だ。そうしたら、明日からまた、何も気がついてないふりをしてクロードに笑いかけられる。
だけど現実はロゼリエッタのそんな儚い決意さえも容赦なく、粉々に打ち砕きたいらしかった。
「クロード、こんな時に申し訳ないのだけれど後で少しよろしいかしら? 西門で少し問題があったみたいなの」
「畏まりました」
「ごめんなさいね」
どうして?
反射的に口からこぼれそうになった言葉を懸命に飲み込む。
クロードへというよりもロゼリエッタに向けて謝罪するレミリアを見ては、何も口を出すことができなかった。
聞き分けの良い婚約者を演じなければいけないロゼリエッタは、まだ子供だという何よりの証だ。なのに中途半端に大人になっているせいで、ここで自分の気持ちを押し通すのはわがままだと理解してしまっている。
子供のままだったら嫌われることもなく、クロードは今日は自分とだけ過ごすのだと勇ましく堂々と言えただろうか。
でも言ったところで、それこそ子供扱いを受けて優しく言い包められることになるだけだ。
「行こうロゼ。ではレミリア殿下、また後ほど」
そうして手を引かれて歩きはじめる。手を繋いだままでいるけれど、もう先程までのような、くすぐったく甘いときめきは感じない。
まるで身も心も、冷たい海の底に沈んでしまったみたいだった。
普段は一人で参列している彼が、今日はロゼリエッタを連れているせいだろう。
ましてや今日は王女主催の夜会である為か、年若い招待客が多い。半年前の夜会よりもあからさまに無遠慮な視線が自分に集まるのを感じ、ロゼリエッタは今すぐ帰りたい気持ちになった。
顔を寄せ合った令嬢たちがひそひそと囁く声には、クロードの名が何度も出て来る。
そこにロゼリエッタの名が混じらないのは良いことなのか、悪いことなのか。突き刺さる視線と、絶妙に聞こえよがしな大きさの声から察するに後者なのだろう。――察したくもないことだけれど。
「おいで、ロゼ。人がたくさんいるから手を繋いで歩こう」
ロゼリエッタは全く予想もしていなかった申し出に、思わずクロードの顔と差しのべられた手とを見比べた。クロードのエスコートで夜会に出た回数自体少ないけれど、こんなことは初めての経験だ。
子供扱いされているのか淑女扱いされているのか分からない。助けを求めるよう後ろに控えるアイリを振り返ると、自分のことのように嬉しそうな顔で強く頷かれた。手を取った方が良い。そう言っているようだ。
「どうしたの? 僕と手は繋ぎたくない?」
「そ、そんなことはないです」
このままではクロードに恥をかかせてしまう。ロゼリエッタは意を決し、大きな掌に自分の指先を重ね合わせた。
手袋越しに指が触れた瞬間、周りの声は耳に入って来なくなった。
人々が急にお喋りをやめたなどということはなく、何かを話しているのは口の動きで分かる。けれど、音そのものが遮断されていた。
ああ、これは、まるで。
「魔法みたい」
「え?」
クロードが訝しげに形の良い眉をひそめるのを見て、思ったことがそのまま口に出ていたことに気がつく。
でも、言ってしまったものはしょうがない。ロゼリエッタは自分を奮い立たせるように微笑むと、夢の中にいるような気持ちで言葉を続けた。
「クロード様が手を繋いで下さったら、まるで魔法がかかったみたいに周りの方々の声が聞こえなくなりました」
「声が聞こえなくなったのは君にとって良いこと?」
「はい。クロード様の声だけがとても良く聞こえます」
「――そう、か」
何か失言をしてしまっただろうか。
クロードの反応に良からぬものを感じたロゼリエッタは、子供じみた言葉はやっぱり言うべきではなかったと後悔した。そこへ一際人目を引く美しい女性が二人の方へ歩いて来るのを見て、さらに心を冷やして行く。
彼女に気がついたから反応が鈍くなったに違いない。
繋がれた指に、ロゼリエッタは無意識のうちに力を込めた。するとクロードの指先がわずかに動く。さりげなさを装って離すつもりでいたのにできなくなった。そう言われている気がしてしまう。
(――あの方は)
女性の進行方向にいる人々が立ち塞がってしまうことのないよう道を開けるから、みるみる彼女とロゼリエッタたちとの距離が縮まって行く。
何も言わずとも、貴族たちが自主的に道を譲る相手などそう多くはない。そして彼女はそんな数少ない人物に与する一人だ。
この国の第一王女レミリア。
クロードと同じ年で、彼の主でもある。
ストロベリーブロンドの長い髪を緩く巻き、目にも鮮やかな真紅のドレスに身を包む姿はまさに大輪のバラを思わせた。持って生まれた王女としての自信と誇りとが、よりいっそうの輝きを与えている。
レミリアはロゼリエッタの前に立ち、涼やかな瞳に親しみをこめた笑みを浮かべた。
「久し振りね、ロゼ。来てくれてありがとう」
「お招き下さいましてありがとうございます、レミリア王女殿下」
淑女の礼をして、ロゼリエッタも笑みを返す。
はつらつと健康的な美しさに満ちたレミリアは、同性のロゼリエッタから見ても魅力的な存在だった。彼女のようになれたらと何度思ったか分からないほどだ。
胸がちくりと痛みはじめた。
レミリアに仕えるようになってから、クロードは少しずつロゼリエッタと距離を置くようになったように思う。
今日みたいに贈られたドレスを着るロゼリエッタを褒めてくれたり、エスコートをしてくれたりと、表面上の変化はない。でも、ずっとクロードを見つめ続けているから、些細な態度の変化が分かってしまう。
そしてクロードがレミリアに向ける目が、主君へのそれとは全く違う色と熱を帯びていることにも気がついてしまったのだ。――肯定されるのが怖くて、彼の想いを確認したことはないけれど。
「でもあなたのお話自体はクロードからよく聞いているのよ」
ロゼリエッタの心臓がどきりと跳ねた。
クロードはどんな風にロゼリエッタのことをレミリアに話しているのだろう。
答えを聞いてみたい。
でも同じくらいの強さで知りたくない気持ちもあった。もし、婚約者ではなく可愛い妹のような存在だと語っていたら、縋れるものが何もなくなってしまう。
ねえ?と同意を求めるようにクロードへ悪戯っぽい視線を向ける。
ともすれば子供じみた仕草も大人びた容姿のレミリアがすると、とても魅惑的で様になった。
一方のクロードはかすかに眉尻を下げた。三歳年上のクロードはいつだって頼もしくて頼りがいがあった。なのに、こんな困ったような顔は初めて見る。
レミリアが羨ましい。
彼女はどれだけ、ロゼリエッタが知らないクロードを知っているのだろう。
クロードはどれだけ、ロゼリエッタには見せない表情をレミリアには見せているのだろう。
だけどロゼリエッタは美しいバラにはなれない。
せっかく両親が花々の女王たる"バラ"をその名に冠してくれていても、ロゼリエッタは気高く咲き誇るバラとは縁遠かった。彼女を知る者は皆が等しく、慎ましく咲く他の花の名を挙げるだろう。
でも、それでも構わなかった。たとえ小さな白詰草であったとしても、その花の存在を受け入れてくれる人がいる。ただ、そんな人々の中に愛する婚約者がいない。それだけだ。
それにレミリアは隣国の王太子マーガスと婚約している。成人を迎える半年後に隣国へ輿入れすることも、彼女が幼い頃から決められていた。
だからクロードがどれだけ強くレミリアを想ったところで、ロゼリエッタのそれと同じように決して報われることはない。
その事実だけがロゼリエッタをかろうじて支えていた。
「ロゼ? 来たばかりだし、少し座ろうか」
「まあ、それは気が利かないことをしてしまったわ」
名を呼ばれたことで畏れ多くも王女相手に値踏みの目を向けている自分に気がつき、ロゼリエッタは自己嫌悪の念に駆られて俯いた。
だから、クロードはレミリアに心惹かれるのだ。
好きな人の幸せを心から願うことの出来ない醜いロゼリエッタを、好きになってもらえるはずがない。
「せっかく夜会に二人で来たのに、体調が悪くて楽しめなかったら意味がないものね」
押し黙っているのは体調が悪いからではなかった。
心が萎んでしまったことが原因だ。
でもレミリアに、あなたのせいなんて言えるはずもない。
――笑わなきゃ。
今この場を笑顔で乗り切れたら、次にレミリアと会う機会は当分先だ。そうしたら、明日からまた、何も気がついてないふりをしてクロードに笑いかけられる。
だけど現実はロゼリエッタのそんな儚い決意さえも容赦なく、粉々に打ち砕きたいらしかった。
「クロード、こんな時に申し訳ないのだけれど後で少しよろしいかしら? 西門で少し問題があったみたいなの」
「畏まりました」
「ごめんなさいね」
どうして?
反射的に口からこぼれそうになった言葉を懸命に飲み込む。
クロードへというよりもロゼリエッタに向けて謝罪するレミリアを見ては、何も口を出すことができなかった。
聞き分けの良い婚約者を演じなければいけないロゼリエッタは、まだ子供だという何よりの証だ。なのに中途半端に大人になっているせいで、ここで自分の気持ちを押し通すのはわがままだと理解してしまっている。
子供のままだったら嫌われることもなく、クロードは今日は自分とだけ過ごすのだと勇ましく堂々と言えただろうか。
でも言ったところで、それこそ子供扱いを受けて優しく言い包められることになるだけだ。
「行こうロゼ。ではレミリア殿下、また後ほど」
そうして手を引かれて歩きはじめる。手を繋いだままでいるけれど、もう先程までのような、くすぐったく甘いときめきは感じない。
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