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素肌の重なり 2  ★☆

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 数日前に無理やりに暴いた時は乾ききっていた秘所は、今や甘く蕩けている。アドルフォードの指を濡らし、奥に欲しいとさらにあけすけにねだった。

「ひ、あぁ……っ!」

 蜜を絡めた指で敏感な突起に触れると、フィオレンツィアは高い啼き声をあげて鋭く反応を示した。
 でもこんなに蜜に塗れているのは媚薬のせいだ。
 アドルフォードを許して受け入れてくれているわけではない。

 それでも、触れたかった。

「お兄様、も……」

 フィオレンツィアの手がたどたどしくネクタイを緩め、シャツのボタンを外して行く。だが上の三つしか外せなくてシャツを引っ張り出そうとする。癇癪を起こしたような子供っぽい仕草が可愛くて、こんな状況なのに愛おしさから笑みがこぼれた。

「フィオレア、シャツを引っ張らないで」
「だって」
「僕も脱ぐから。それでいい?」

 自分の手で脱がせたいのか、どこか不満そうにしながらも小さく頷く。
 フィオレンツィアの肌を少しずつ曝して行くのは好きだが、自分のなど時間をかけたいものではない。まずはネクタイを抜き取ってシャツを脱ぎ、手早くトラウザーズと下穿きも脱ぎ捨てた。

 好奇心に満ちたフィオレンツィアの視線を感じる。媚薬の効果が切れた後、果たして彼女はどれだけのことを覚えているのだろうか。
 全部忘れてしまってもいいけれど、少しでも幸せな記憶が多く残って欲しい。

 アドルフォードの下半身はもちろん、瑞々しい肢体を前に臨戦態勢に入っている。雄々しく立ち上がり、先端には先走りの体液を滲ませていた。
 もう何度も期待させては裏切っている。今日に至ってはいよいよ本懐・・を遂げさせてやれそうな雰囲気だが、当然それはできない。だが、いつもよりは良い目を見せられるだろう。

「おに、さま……」
「いい子だね」

 フィオレンツィアの頭を優しく撫でながら再び唇を重ねる。首筋に縋りつく細い腕の熱さに、素肌同士の触れ合いを強く感じた。
 心地良い。
 もっと早くから、身体は繋げられなくてもこうしていたら良かった。

 自分でも抑制が効かなくなってしまう前に。
 フィオレンツィアが信頼のこもった目を向けていてくれている間に。
 決して純潔は奪わないからと、素肌を重ねていたら良かった。

 耳を甘くみ、首筋に軽く吸いつく。先程指で愛撫をくわえたのとは反対の乳首を口に含みながら、もどかしげに擦り合わされる足の間に手を伸ばした。
 蜜口に人差し指を差し込むと華奢な腰が跳ねる。すぐに中指と薬指も忍ばせると切ない悲鳴があがった。

「あっ、あ……っ! きもち、い、お兄様ぁ……っ」

 掌で桃色の蕾を押しつぶしながら指の抜き差しを繰り返す。
 中は熱く狭くきつい。ここに自分の昂るものを収めることができたら、どれだけ満たされることだろう。代わりに指でざらりとした場所を擦れば、小さな身体は大きな絶頂を迎えて力を失った。

 膝を開かせ、間に自分の身体を割り込ませる。
 フィオレンツィアと目が合った。
 期待と、不安が混じった表情をしている。おそらくはアドルフォードも同じ表情をしているに違いない。

「大丈夫だよ。今はまだ最後までは、しない」

 初めてフィオレンツィアの素肌に触れた時も同じようなことを言った。
 いつだって自分は彼女の肌に触れたくて、言い包める為の言い訳をしている。その身も心も、自分一人だけのものにしたくてたまらなかった。

 アドルフォードはしとどに濡れそぼる秘裂に剛直を押し当てた。
 そのままフィオレンツィアの膝裏に手を添え、緩やかに律動をはじめる。重く湿った水音が部屋中に響くまで、さほどの時間を必要とはしなかった。

「ん、あ……っ」

 甘く蕩けながら蜜を滴らせる小さな口の上を自らのものが滑る度、その胎内に挿入したくてたまらなくなる。
 今ならフィオレンツィアに破瓜の痛みを与えることだってないだろう。

 もう傷つけたくない。
 泣きながら嫌いだと拒絶されたくない。

 だが、ちゃんとした同意もなく純潔を奪ってしまえば、もっと傷つける。

「フィオレア。僕の可愛い小さな花」
「に……さま……もっと、もっと」

 溶けあって重なることを望むよう、フィオレンツィアは自ら足をさらに広げた。アドルフォードの背中にしがみつき、ぎこちなく腰を揺らす。その度に濡れた性器同士が擦れ、淫らな水音を奏でた。

「あ、ふあぁ……っ! 兄様、お兄様ぁ」

 腕の中に強く掻き抱き、獣のように本能のまま揺すり立てる。
 本当に、一つの身体になっているような気さえした。

「あっ、あ、いっちゃ、あ――!」
「――っ!」

 ひときわ切ない啼き声をあげてフィオレンツィアが華奢な身体をのけぞらせる。
 内側から込み上げて来るものに任せ、アドルフォードは身体を震わせた。
 白濁した青くさい体液が、白い腹部を濡らす。

 初めてフィオレンツィアの無垢な身体を汚した。
 その奥深くにではないが、初めてフィオレンツィアに吐精した。

 自分の手で事務的に処理していた時とは比較にならないほどの量に、得も言われぬ高揚感と征服感が湧き上がって来る。
 それはすぐさま目に見える形となって表れた。精を放つ前とほぼ同じ大きさと硬さとを取り戻して屹立する。

 まだ足りない。
 ――もっと。

「お兄様……もっと、欲しいの。もっと触れて……」

 極上の媚薬は、なおも淫らに、それでいて楚々とアドルフォードを誘った。

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