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 ルーファスは静かに長く息を吐きながらレティーナを深々と貫くと、頬を濡らす涙を拭った。
 優しくされるとさらに涙が溢れてしまう。それを見たルーファスが困ったような表情を見せる。彼を困らせているのが自分だけだと思うと少し嬉しい。そして、困った顔も格好いい。好き。

「このまま、別の意味で啼かせ続けたくなる」

 どこか剣呑に響く言葉の意味を尋ねるより先に、ルーファスが動きだした。
 レティーナの細い腰を支え、ざらつく胎内を形成するたくさんの襞を一枚ずつ確認するように熱杭全体を擦りつけながら穿った。
 ゆっくりとした優しい動きに、硬く閉ざされた隘路も少しずつ開かれて行く。じわじわとお腹の奥から湧き上がって来る切なさは蜜を潤ませ、ルーファスの抽送を手助けした。

「あっ、あ……っ! 殿下だめ、壊れちゃ……」
「気持ち良すぎて壊れちゃう?」

 何度も首を縦に振って答えると硬く尖ったままの乳首を再び口に含まれた。

「乳首を吸われるのは気持ちいい?」
「ん、ぅ……。きもち、い……です……」

 素直に答えたのに、かり、と軽く歯を立てられる。

「ひぁっ!」
「吸われる以外のことをされても気持ちがいいみたいだけど」

 はしたないくらい淫らな反応を示しているのを見抜かれ、咎められてレティーナは羞恥と懺悔とで涙を滲ませた。

「な、舐められたり……歯を立てられても、気持ちよくなって……、ごめ……なさ……」
「ああもう、君は……っ!」

 何かを振り払うように首を振り、ルーファスは右手でふくらみを包み込んだ。人差し指と中指の間に乳首を挟まれ、甘い期待がレティーナに芽生える。

 どちらかの指を少しずらすだけで触れるのに。
 触れてもらえるのに。
 身動ぎしたい。
 でも、恥ずかしくて動けない。

「っふ……。殿下……あの、わたくし……」
「気持ちいいのは、口でされた時だけ? こうして指でつままれたり、引っかかれたり、弾かれたりされても気持ちよくない?」

 ルーファスは口にしたことと同じ行動を取りながら尋ねる。
 乳首に様々な刺激を受けてレティーナは腰を跳ねさせた。

「あっ、ぁ……! 全部、ぁ……、気持ちいい……です」
「君の胸が、こんなに大きくていやらしいなんて知らなかった」
「殿下が……して下さってる、から……」
「僕がしてるから?」

 レティーナは頷いた。
 自分でもこんなにはしたない身体だと知らなかった。でも、今こんなにも淫らになっているのはルーファスに触れられているからだ。それが今までとの唯一の違いなのだから疑いようもなかった。

「殿下だから、気持ちい……」
「僕だけ?」
「ん……っ。殿下が、いい。殿下だけに、して欲し……」
「それは光栄だね」

 嘘じゃない。
 ルーファスに触れられてからはなおさらに、他の誰かに触れられるなんて考えられず、考えたくもなかった。

 ゆるゆると奥を穿ちながら、ルーファスはレティーナの胸に顔を埋めた。
 ふくらみに吸いつき、まろやかな輪郭に沿って舐めあげる。ずっと硬く尖ったままの乳首を舌で弾いては転がして弄んだ。

「あ、あ……っ。ん……」

 もどかしくて腰が揺れる。無意識に背中をのけぞらせて乳首をルーファスの口元に押しつけた。とうとう自分から動いてねだってしまう。

「やっぱり吸われるのがいちばん好き?」
「ん……。好き、です……」
「じゃあさっきみたいに、僕に吸って欲しいっておねだりしてみて」
「私の胸……吸って、下さい……」

 はしたないと思うより先に満たして欲しい気持ちが強くて促されるままねだれば、ちゅくりと水音をあげながら吸われる。レティーナは歓喜に喘ぎながらルーファスの髪に指を絡めて優しく梳いた。
 呆れたような、諦めたような笑みを浮かべてルーファスは乳首に歯を立てる。

「この期に及んでも君は僕のことを乳飲み子みたいに扱いたくて仕方ないみたいだけど、僕も立派な男なんだって本当に分かってる?」
「ひぁ……っ!」
「今だって君の純潔を奪った男は、何故か君が子供扱いしたくてたまらないこの僕だ」

 言葉だけでなく身体に分からせるように最奥を抉られ、レティーナの思考がほんの一瞬だけ真っ白に染まった。
 狂おしいまでの昂りが下腹部に渦巻き、どこに逃せばいいものなのかまるで分からずに戸惑う。その間にもルーファスは打ちつける腰の速度を上げ、柔らかく綻んだ媚肉を熱杭で擦った。大きく長い得物が抜き差しされる度に切っ先で突かれ、えらのように大きく張り出した部分と熱杭そのものの段差とが襞をめくるように刺激し、容赦ないほどに快楽を教え込んで来る。

「ぁ、あ……! そんな、動いたら……っ。だめぇ……っ」

 許しを乞うても聞き入れてもらえる気配すらない。
 レティーナの身体はどんどん開かれ、蜜壺は咥えこまされたルーファスの形に馴染んで行く。激しく揺さぶられる動きに合わせて上下するふくらみが掴まれ、左胸の乳首だけがまたしてもルーファスの口に迎え入れられた。右胸の乳首はそのまま親指と人差し指とでよじるようにつままれ、ひたすらに捏ねられる。

「だめ……。で、んか……ぁ……。何か、来ちゃ……」
「いいよ。一緒に、いこう」

 ルーファスは身を起こすと右手でレティーナの頬を包み込んだ。
 優しいその仕草だけでも胸がいっぱいなのに、そっと唇が重なった。

「ぁ……」

 わずかに開いた唇を割って舌が入って来る。突然の出来事に驚くレティーナの舌を搦め取った。

「ん、ん……。ん――!」

 ずるい。
 こんなの、ずるい。

(殿下……好き。初めて会った時からずっと、大好き)

 唇を塞がれて声を出せない代わりに、初めての口づけに歓喜する身体が蜜壺を激しく収縮させる。
 ルーファスもまた切っ先を最奥に押しつけ、熱い精を胎内に何度も注ぎ込んだ。びゅくびゅくと叩きつけられる度に腰が跳ねる。
 本当に、ルーファスの子供を産めたらいいのに。

 吐精が終わり、唇も、身体もゆっくりと離れて行く。

「が、願望を叶えて下さって、ありがとうございました……っ」

 レティーナは初めての行為に息を荒げながらも着崩れたドレスを直してベッドを降りた。足のつけ根に滴る、どろりと濃く熱い液体に自分のしでかしたことを実感させられる。大丈夫だとは思うけれど、ルーファスに迷惑をかけないように後で避妊薬をちゃんと飲まなくては。

「わたくし、今日のことは絶対に他言しませんから……」

 望んでいたこと以上のすごいこと・・・・・もたくさんされてしまったけれど。
 レティーナは何とか淑女の礼をすると部屋を飛び出して行った。

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