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おまけ話色々
冷たい雨は降り止まない(本編30話「止まない雨の中で」辺りのカイル視点)
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大嫌いだと言われた。
名前を呼んですらくれなかった。
何よりも、泣かせてしまった。
その表情が可愛くて愛しくて、わざと困らせたことも何度かある。困った顔をして、それから受け入れてくれるのが嬉しかった。
だけど自分は、婚約者がいるのにアリシアにちょっかいを出す不誠実な男に見えていたのだろうか。
説明を言い訳だと思われるほど信用されてはいなかったのだろうか。
分かっている。
そもそも、再会した時に初対面の振りをした自分が悪い。
アリシアは覚えていてくれた。
それが彼女にとってはちっぽけな思い出かもしれなくても、忘れないでいてくれた。
なのにカイルは、それを自分の都合だけでなかったことにした。
初恋の女の子の前で格好つけたい、その一心の為だけに。
『王子がついたそのたった一つの小さな嘘が、いつかお嬢様に嫌われる事態に繋がりそうで心配になります』
『どうかくれぐれも、お嬢様に誠実な態度を取られますよう』
ディアスに言われた言葉を思い出す。
あれはもっともな忠告だった。
ハプスグラネダ領に滞在している一年の間に、好きになってもらえると思っていた。それから想いを返してもらえて王都に連れて帰るなり、このままハプスグラネダ領で一緒に暮らすなり、できると思った。
良く笑ってくれるようになったアリシアを見て、それは叶えられるのだと希望にた。
それなのに。
最初に何よりも大切なことを言わずにいたカイルを、アリシアは許してはくれなかった。
無理もないことだ。
けれど積み重ねた思い出ができてしまった今、アリシアを手放すことなんて絶対にできない。
カイルだけに何度も笑いかけてくれた。ずっと欲しかったものを屈託なく与えてくれた。
面と向かってではないとは言え、カイルが好きだと言ってくれた。
固く閉ざされた門の向こうに逃げ込んだアリシアの姿はもう見えず、彼女からの強い拒絶だけがそこに残った。
「何かあったのですか」
沈んだ顔で戻って来たカイルにディアスが気遣わし気な声をかけた。
カイルは軽く首を振って答える。
「――俺とはもう会わないと。大嫌いだと、そう言われた」
「そうですか」
ディアスはそれ以上は何も言わなかった。カイルは自嘲気味な笑みを浮かべ尋ねる。
「それだけか?」
「それだけ、とは?」
「お前のことだから、もっと説教してくるかと思った」
「ご忠告はこれまでに何度も進言させていただきましたから。それでいいと王子が判断されての結果ですし、私の口からこれ以上申し上げるべきことは何もありません」
「……そうだな」
詰られる方がまだマシだった。
ディアスも分かっていて、詰らないでいるのだ。
「では今度の夜会が終わりましたら、失恋したことですし王都にお戻りになられますか」
失恋、の二文字にカイルの心臓が冷える。
「――いや、まだ帰らない。アリシアが夜会に来てくれなかったとしても……当初の予定通り一年いるよ」
「そうですか」
以前みたいに接することを許してもらえなくなったとしても、王都に戻れば二度と会えない。
だからと言ってカイルが他の誰かと結婚することもないが、ハプスグラネダ領にいたら、違う男――それはあのハンスなのだろうか――が隣にいたとしても笑っているアリシアの姿をまだ見られる。
あの笑顔を自分だけのものにできなかったことに胸が痛み続けても。
だけど、冬になったら泉に星を見に行くという約束は果たせるだろうか。
カイルはアリシアに会えるならそれだけでいい。だがアリシアは一緒に行きたいと思わないかもしれない。いや、思ってはくれないだろう。
好きでもない男と夜、二人きりで星を見に行くなんて普通はしない。
たった一つの約束もカイルの手元からなくなってしまった。
寒いだけで好きではなかった冬が初めて楽しみになっていた。
笑顔のアリシアが傍にいてくれる。それだけで何よりも温かい気持ちになれるのに、それすらも得られなくなってしまった。
初めての恋も、それ以外のことも、アリシアがたくさん教えてくれた。
そのせめてものお返しに、たくさん笑顔にしてあげたかった。自分の手で幸せにしてあげたいと強く願った。
好きで、大好きで、誰よりも愛しくて。
なのにその強すぎる想いを失おうとしている。
「アリシア、お願いだから……俺の話を聞いて欲しい」
「夜会の日まで、何もお話できないのではなかったのですか」
何とか会えたアリシアは手を振りほどいた。
「お戯れはどうぞ、もうおしまいになさって下さい。私は王都に住まわれるような、貴族の社交に慣れ親しんだご令嬢方とは違います。これ以上の殿下の火遊びにはお付き合いできません」
カイルの目の前が真っ暗になる。
「戯れとか火遊びとか、俺が今までアリシアに言って来たこと全てが、ふざけて言ってるものだって思ってるってこと?」
あんなこと、遊びで言えるわけがない。少しでも触れたくて、抱きしめて口づけたくなるのを必死に堪えて、想いを伝えて来たつもりだ。
今だって、どんなに抱きしめたいと思っているのか、アリシアは知らない。
それともこの場で、アリシアを強く抱きしめてしまってもいいのか。
「婚約者のご令嬢がいらっしゃるのを黙って、他の令嬢をその気にさせるお遊びは楽しいことかとお察し致します。ましてやそれが田舎貴族の娘とあらば、駆け引きに不慣れで一挙手一投足に踊らされる姿はさぞや退屈な田舎暮らしを送られる殿下のお心をお慰めしたことでしょう」
閉ざされたアリシアの心はカイルに開かれることはない。
冷たい雨も、止むことはなかった。
どうしてもアリシアと話がしたくて家を訪ねれば、熱を出して寝ているとジェームズに言われた。
無理を言って部屋に通してもらい、ベッドの脇に腰を降ろす。
何日も高熱が続いていると聞いたからうなされていたりしないか心配だったが、良く眠っているようだ。
けれど。
もしこのまま、目覚めなかったら。
熱が彼女の全ての体力を奪って行ってしまったら。
そう考えるといてもたってもいられず、額に置かれたタオルを何度も取り替えた。
「アリシア……お願いだから、俺の傍からいなくならないで」
ふいにアリシアが甘えるように頬を擦り寄せて来る。
兄なのかと勘違いしていたし、訂正したら拒絶されるのが目に見えていてカイルも思い込みを正さなかった。
それでも、思ってもみなかった彼女の行動に指先が歓喜に震える。だがその反応が迷惑なものだと思ってしまったらしい。アリシアの頬が離れて行く。
違う。そうじゃないんだ。
カイルは慌ててアリシアを追って頬を撫でた。高熱が出ているのに汗で濡れた肌はどこかひんやりとしていて、どきりとする。
カイルはかぶりを振った。
何かしていないと不安は消えないままで、再び冷たい水にタオルを浸しては強く絞る作業を繰り返す。
「ありが、と……」
弱々しい声でアリシアがお礼を告げた。
「どういたしまして、俺の可愛いアリシア」
愛しくてたまらない。
アリシアの呼吸が落ち着いて眠りに落ちるまで、ひたすら頬を撫でてはタオルを変えた。
本当は、毎日でもアリシアの看病に行きたい。
だがそれは帰り際に先手を打ったジェームズによって、やんわりと断られてしまった。
第三王子であるカイルにそこまでのことはさせられない、それが彼の言い分だ。
もしカイルがアリシアの恋人だったなら、第三王子でも看病を許されただろうか。
婚約者だったら。
夫だったら。
いつだって傍にいられただろうか。
「アリシア……君に、会いたいよ」
想いが自然と唇をついて出る。
会いたい。
傍にいたい。
会って欲しい。
傍にいさせて欲しい。
ジェームズは代わりに、何があってもアリシアを夜会に連れて行くと約束してくれた。今はその言葉を信じて、その言葉だけに縋るしかない。
けれど、それでも、彼女が苦しい思いをしている時にいちばん近くにいたかった。
名前を呼んですらくれなかった。
何よりも、泣かせてしまった。
その表情が可愛くて愛しくて、わざと困らせたことも何度かある。困った顔をして、それから受け入れてくれるのが嬉しかった。
だけど自分は、婚約者がいるのにアリシアにちょっかいを出す不誠実な男に見えていたのだろうか。
説明を言い訳だと思われるほど信用されてはいなかったのだろうか。
分かっている。
そもそも、再会した時に初対面の振りをした自分が悪い。
アリシアは覚えていてくれた。
それが彼女にとってはちっぽけな思い出かもしれなくても、忘れないでいてくれた。
なのにカイルは、それを自分の都合だけでなかったことにした。
初恋の女の子の前で格好つけたい、その一心の為だけに。
『王子がついたそのたった一つの小さな嘘が、いつかお嬢様に嫌われる事態に繋がりそうで心配になります』
『どうかくれぐれも、お嬢様に誠実な態度を取られますよう』
ディアスに言われた言葉を思い出す。
あれはもっともな忠告だった。
ハプスグラネダ領に滞在している一年の間に、好きになってもらえると思っていた。それから想いを返してもらえて王都に連れて帰るなり、このままハプスグラネダ領で一緒に暮らすなり、できると思った。
良く笑ってくれるようになったアリシアを見て、それは叶えられるのだと希望にた。
それなのに。
最初に何よりも大切なことを言わずにいたカイルを、アリシアは許してはくれなかった。
無理もないことだ。
けれど積み重ねた思い出ができてしまった今、アリシアを手放すことなんて絶対にできない。
カイルだけに何度も笑いかけてくれた。ずっと欲しかったものを屈託なく与えてくれた。
面と向かってではないとは言え、カイルが好きだと言ってくれた。
固く閉ざされた門の向こうに逃げ込んだアリシアの姿はもう見えず、彼女からの強い拒絶だけがそこに残った。
「何かあったのですか」
沈んだ顔で戻って来たカイルにディアスが気遣わし気な声をかけた。
カイルは軽く首を振って答える。
「――俺とはもう会わないと。大嫌いだと、そう言われた」
「そうですか」
ディアスはそれ以上は何も言わなかった。カイルは自嘲気味な笑みを浮かべ尋ねる。
「それだけか?」
「それだけ、とは?」
「お前のことだから、もっと説教してくるかと思った」
「ご忠告はこれまでに何度も進言させていただきましたから。それでいいと王子が判断されての結果ですし、私の口からこれ以上申し上げるべきことは何もありません」
「……そうだな」
詰られる方がまだマシだった。
ディアスも分かっていて、詰らないでいるのだ。
「では今度の夜会が終わりましたら、失恋したことですし王都にお戻りになられますか」
失恋、の二文字にカイルの心臓が冷える。
「――いや、まだ帰らない。アリシアが夜会に来てくれなかったとしても……当初の予定通り一年いるよ」
「そうですか」
以前みたいに接することを許してもらえなくなったとしても、王都に戻れば二度と会えない。
だからと言ってカイルが他の誰かと結婚することもないが、ハプスグラネダ領にいたら、違う男――それはあのハンスなのだろうか――が隣にいたとしても笑っているアリシアの姿をまだ見られる。
あの笑顔を自分だけのものにできなかったことに胸が痛み続けても。
だけど、冬になったら泉に星を見に行くという約束は果たせるだろうか。
カイルはアリシアに会えるならそれだけでいい。だがアリシアは一緒に行きたいと思わないかもしれない。いや、思ってはくれないだろう。
好きでもない男と夜、二人きりで星を見に行くなんて普通はしない。
たった一つの約束もカイルの手元からなくなってしまった。
寒いだけで好きではなかった冬が初めて楽しみになっていた。
笑顔のアリシアが傍にいてくれる。それだけで何よりも温かい気持ちになれるのに、それすらも得られなくなってしまった。
初めての恋も、それ以外のことも、アリシアがたくさん教えてくれた。
そのせめてものお返しに、たくさん笑顔にしてあげたかった。自分の手で幸せにしてあげたいと強く願った。
好きで、大好きで、誰よりも愛しくて。
なのにその強すぎる想いを失おうとしている。
「アリシア、お願いだから……俺の話を聞いて欲しい」
「夜会の日まで、何もお話できないのではなかったのですか」
何とか会えたアリシアは手を振りほどいた。
「お戯れはどうぞ、もうおしまいになさって下さい。私は王都に住まわれるような、貴族の社交に慣れ親しんだご令嬢方とは違います。これ以上の殿下の火遊びにはお付き合いできません」
カイルの目の前が真っ暗になる。
「戯れとか火遊びとか、俺が今までアリシアに言って来たこと全てが、ふざけて言ってるものだって思ってるってこと?」
あんなこと、遊びで言えるわけがない。少しでも触れたくて、抱きしめて口づけたくなるのを必死に堪えて、想いを伝えて来たつもりだ。
今だって、どんなに抱きしめたいと思っているのか、アリシアは知らない。
それともこの場で、アリシアを強く抱きしめてしまってもいいのか。
「婚約者のご令嬢がいらっしゃるのを黙って、他の令嬢をその気にさせるお遊びは楽しいことかとお察し致します。ましてやそれが田舎貴族の娘とあらば、駆け引きに不慣れで一挙手一投足に踊らされる姿はさぞや退屈な田舎暮らしを送られる殿下のお心をお慰めしたことでしょう」
閉ざされたアリシアの心はカイルに開かれることはない。
冷たい雨も、止むことはなかった。
どうしてもアリシアと話がしたくて家を訪ねれば、熱を出して寝ているとジェームズに言われた。
無理を言って部屋に通してもらい、ベッドの脇に腰を降ろす。
何日も高熱が続いていると聞いたからうなされていたりしないか心配だったが、良く眠っているようだ。
けれど。
もしこのまま、目覚めなかったら。
熱が彼女の全ての体力を奪って行ってしまったら。
そう考えるといてもたってもいられず、額に置かれたタオルを何度も取り替えた。
「アリシア……お願いだから、俺の傍からいなくならないで」
ふいにアリシアが甘えるように頬を擦り寄せて来る。
兄なのかと勘違いしていたし、訂正したら拒絶されるのが目に見えていてカイルも思い込みを正さなかった。
それでも、思ってもみなかった彼女の行動に指先が歓喜に震える。だがその反応が迷惑なものだと思ってしまったらしい。アリシアの頬が離れて行く。
違う。そうじゃないんだ。
カイルは慌ててアリシアを追って頬を撫でた。高熱が出ているのに汗で濡れた肌はどこかひんやりとしていて、どきりとする。
カイルはかぶりを振った。
何かしていないと不安は消えないままで、再び冷たい水にタオルを浸しては強く絞る作業を繰り返す。
「ありが、と……」
弱々しい声でアリシアがお礼を告げた。
「どういたしまして、俺の可愛いアリシア」
愛しくてたまらない。
アリシアの呼吸が落ち着いて眠りに落ちるまで、ひたすら頬を撫でてはタオルを変えた。
本当は、毎日でもアリシアの看病に行きたい。
だがそれは帰り際に先手を打ったジェームズによって、やんわりと断られてしまった。
第三王子であるカイルにそこまでのことはさせられない、それが彼の言い分だ。
もしカイルがアリシアの恋人だったなら、第三王子でも看病を許されただろうか。
婚約者だったら。
夫だったら。
いつだって傍にいられただろうか。
「アリシア……君に、会いたいよ」
想いが自然と唇をついて出る。
会いたい。
傍にいたい。
会って欲しい。
傍にいさせて欲しい。
ジェームズは代わりに、何があってもアリシアを夜会に連れて行くと約束してくれた。今はその言葉を信じて、その言葉だけに縋るしかない。
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