【R18版】ねえティーナ、知っていて?

瀬月 ゆな

文字の大きさ
上 下
9 / 33
恋(ティエラディアナ視点)

薄闇の中で照らす光  ☆

しおりを挟む
「こうして、ティーナが俺のシャツを着ているのを初めて見た時、あまりにも可愛くて、どうにかしたい欲が生まれて、どうにかなりそうだった」
「だからジークはあの時……」

 あの夜、ジークハルトの傍で眠りたいと言った時、妙な間があったことをティエラディアナは思い出す。
 ティエラディアナがジークハルトの心を揺らせていたのだ。とても嬉しくて、誇らしくすらある。

「うん。だけど家に置いてやる代わりに身体を要求しているんだと思われたくなかった」
「私もなの。ずっと、ジークに触れて欲しくて……でも、はしたないって嫌われたくなくて」
「そんなことでティーナを嫌いになったりはしないよ」
「……うん」

 表情まではよく見えないがジークハルトが笑う気配がして、その大好きな表情を鮮明に思い描きながらティエラディアナも微笑んだ。
 胸を焦がす熱とは別の、穏やかな熱が広がる。素肌を曝そうとしている今、ジークハルトへの愛おしさを身体中で感じていた。

「待ちに待った夜が今夜なら、明かりを落とさなければ良かった」
「でも、薄闇にジークの金色の髪は淡く光って見えるわ」

 それを証明する為に一寸の迷いもなくジークハルトの髪に触れ、優しく梳く。指の間をさらさらと流れ落ちる癖のない髪の感触が心地いい。

「目が慣れたせいもあるのかもだけど……」
「そうだね。ティーナの髪も、ベッドに満月の光が差し込んでいるみたいだ」

 ジークハルトはティエラディアナの髪を一房取ると自分の方へ引き寄せ、口づけた。慈しむように撫でた後で耳から首筋をなぞり、シャツへと滑らせるといちばん上まで留められたボタンを外していく。その手が少しぎこちないのは、細かなところはよく見えないせいだろうか。それとも、緊張や不安を少なからず抱いているせい?
 ボタンが一つ、また一つと外されるにつれシャツの合わせ目がたわみ、ひんやりとした夜の空気に触れる素肌が増える。それでも熱を冷ますには至らなくてなすがままに任せていると、やがて足のつけ根付近にジークハルトの指の気配を感じてわずかに息を吞む。他意があるわけではなく、いちばん下のボタンがその辺りにあるせいだ。
 全てのボタンが外れたらしく、シャツの裾が腰のラインに沿って動いた。

「ティーナ。――今ならまだ、俺も止めてあげられる。このまま進めて、後悔しない?」

 シャツを脱がせる準備を終えたうえでジークハルトが再び問いかける。
 ティエラディアナはラドグリス侯爵家の、上位貴族の娘だ。まして未婚の状態であればこの行為は決して褒められたものではない。
 でも淑女の鑑だと誰かに褒められたとして、それが何になるというのだろう。少なくともティエラディアナには何の価値も見出せないことだ。
 
 はっきりと、迷いなく答える。

「後悔しないわ。私がそうしたいって決めたのだもの」
「それならいいんだ」

 ジークハルトはティエラディアナの背中を支えながら、片手ずつシャツから袖を抜いた。脱がせたシャツをベッドの横に投げ捨てるように落とし、ショーツを身に着けただけのティエラディアナを横たえる。何も纏わない肌にシーツに触れるのは初めてで、けれどやっぱり熱を帯びた身体を冷ますどころか、これから特別なことが起こるのだと心を煽った。

「ティーナは可愛いね」
「見えない、のに?」
「今は見えないけどティーナが可愛いのはもう知ってるし、俺が想像するよりずっと綺麗なのも知ってる」

 柔らかなふくらみを両手で包み込まれ、ティエラディアナの腰が跳ねた。
 やわやわと揉まれる度に細くしなやかな指が埋められ、身体にじんわりとした熱が宿った。
 顔を寄せたジークハルトがティエラディアナの耳朶から首筋、鎖骨を順に啄む。
 明るい場所でのじゃれ合いの最中だったならきっと、くすぐったいと無邪気に笑っていたに違いない。今はくすぐったさの中に甘やかな、それでいてどこかむず痒いような様々な感覚がひしめいている。

「ぁ……っ」
「可愛い声を聴かせて」

 押し殺した声をあげると、ジークハルトは促すように右側の乳首を親指と人差し指でつまんだ。小さな突起を捩り合わせ、弾く。

「あっ、ぁ……! ゃ……、それ、だめ……」
「こうされるのは嫌い?」
「ち、が……」

 咄嗟に首を振り、自分の反応に羞恥を覚えてさらに強く振った。
 切なさにただ泣きたくなる。初めての感覚をどう受け止めたらいいのか分からず、戸惑いが隠せない。
 ジークハルトの思うまま揉まれるふくらみは形を様々に変え、先端を優しく引っかかれると強い感覚が背筋を駆け抜けて行く。

「ジーク……。ぁっ……ぁ……!」
「可愛いね。もっと、可愛い声を聴きたい」

 ティエラディアナの細い両手首をシーツに縫い留め、ふくらみの輪郭に沿って舌先でなぞりあげた。頂上で色づく部分を確かめるように舌を這わせ、もどかしさからティエラディアナが思わず身動ぎすると乳首を口に含む。すっかり硬く尖った桃色の小さなそれを、熱く濡れたざらつく舌で丹念に転がしては舐り、時には軽く歯を立てた。

「ふ、ぁ、ぁ……っ!」

 自分でも初めて聞く甘えたような声が、切なさに押し上げられて唇から勝手にこぼれる。
 お腹の奥が熱い。そして同時に悟る。身体に火が灯ったようで、もう戻れない。
 触れられるだけでこんなになってしまうなんて知らなかった。

「あ……!」

 濡れた音を立てて乳首を吸い上げられて背中がのけぞる。
 ふくらみを揉みしだかれ、指と口で乳首に異なる刺激を与えられて下腹部が疼いた。すでに未知の感覚を受け止めきれずに翻弄されはじめているのに、愛されているのだという実感も同時に湧き上がって来る。ジークハルトの仕草が、いつもと同じ――あるいはそれ以上に優しいものだからだ。

「ジーク、から、だ……熱い、の……。私……っ、ぁ、ひぅ……っ」

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話

よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。 「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。

巨乳令嬢は男装して騎士団に入隊するけど、何故か騎士団長に目をつけられた

狭山雪菜
恋愛
ラクマ王国は昔から貴族以上の18歳から20歳までの子息に騎士団に短期入団する事を義務付けている いつしか時の流れが次第に短期入団を終わらせれば、成人とみなされる事に変わっていった そんなことで、我がサハラ男爵家も例外ではなく長男のマルキ・サハラも騎士団に入団する日が近づきみんな浮き立っていた しかし、入団前日になり置き手紙ひとつ残し姿を消した長男に男爵家当主は苦悩の末、苦肉の策を家族に伝え他言無用で使用人にも箝口令を敷いた 当日入団したのは、男装した年子の妹、ハルキ・サハラだった この作品は「小説家になろう」にも掲載しております。

離宮に隠されるお妃様

agapē【アガペー】
恋愛
私の妃にならないか? 侯爵令嬢であるローゼリアには、婚約者がいた。第一王子のライモンド。ある日、呼び出しを受け向かった先には、女性を膝に乗せ、仲睦まじい様子のライモンドがいた。 「何故呼ばれたか・・・わかるな?」 「何故・・・理由は存じませんが」 「毎日勉強ばかりしているのに頭が悪いのだな」 ローゼリアはライモンドから婚約破棄を言い渡される。 『私の妃にならないか?妻としての役割は求めない。少しばかり政務を手伝ってくれると助かるが、後は離宮でゆっくり過ごしてくれればいい』 愛し愛される関係。そんな幸せは夢物語と諦め、ローゼリアは離宮に隠されるお妃様となった。

【R18】深層のご令嬢は、婚約破棄して愛しのお兄様に花弁を散らされる

奏音 美都
恋愛
バトワール財閥の令嬢であるクリスティーナは血の繋がらない兄、ウィンストンを密かに慕っていた。だが、貴族院議員であり、ノルウェールズ侯爵家の三男であるコンラッドとの婚姻話が持ち上がり、バトワール財閥、ひいては会社の経営に携わる兄のために、お見合いを受ける覚悟をする。 だが、今目の前では兄のウィンストンに迫られていた。 「ノルウェールズ侯爵の御曹司とのお見合いが決まったって聞いたんだが、本当なのか?」」  どう尋ねる兄の真意は……

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

番から逃げる事にしました

みん
恋愛
リュシエンヌには前世の記憶がある。 前世で人間だった彼女は、結婚を目前に控えたある日、熊族の獣人の番だと判明し、そのまま熊族の領地へ連れ去られてしまった。それからの彼女の人生は大変なもので、最期は番だった自分を恨むように生涯を閉じた。 彼女は200年後、今度は自分が豹の獣人として生まれ変わっていた。そして、そんな記憶を持ったリュシエンヌが番と出会ってしまい、そこから、色んな事に巻き込まれる事になる─と、言うお話です。 ❋相変わらずのゆるふわ設定で、メンタルも豆腐並なので、軽い気持ちで読んで下さい。 ❋独自設定有りです。 ❋他視点の話もあります。 ❋誤字脱字は気を付けていますが、あると思います。すみません。

処理中です...