1 / 33
恋(ティエラディアナ視点)
見てくれだけは美しいもの
しおりを挟む
「ねえティーナ、知っていて?」
かすかな衣擦れの音と共に聞こえる女の涼やかな声に、ティーナ――ティエラディアナは読みかけの本から顔を上げた。
正面に置かれた一人がけのソファーにいつの間にか、完成された絵画さながらの空気を纏った母が腰を下ろしている。彼女は右手首にはめた細い金のブレスレットをしなやかな指先で弄び、誰しもが陶然と見惚れるほどに華やかな笑みを浮かべた。
母の白く華奢な手首で心許なさげに揺れるブレスレットは、今年十九歳になるティエラディアナが身につけるならいざ知らず、成熟しきった大人の女性である母を飾り立てるには些か幼すぎるデザインに見える。
だが、母にとってはそれがお気に入りの品らしい。ティエラディアナは謂れを知らないが、片時も外すことなく大切に扱っていることだけは確かだ。
ティエラディアナは母へ一瞥を与え、繊細な模様が刻まれたガラステーブルに手を伸ばした。
野ばらが描かれた、お気に入りのティーカップを口元に運ぶ。淡いオレンジ色に揺らめく紅茶を一口含めば、母譲りの愛らしい顔がしかめられた。
カップに注がれた紅茶はすっかり冷めてしまっている。温かい時はとても優雅で芳醇な香りを立てていたのだが、今はほとんどが飛んでしまってわずかに香るだけだ。何か月も待ってようやく取り寄せてもらったのに、本に夢中になりすぎてあまり楽しむことができなかった。
ひどく残念で、思わず溜め息がこぼれる。それを自分への反応とでも捉えたのか、母は眉を吊り上げた。
「貴女のお父様はまた、あの女のところに行っているのよ。あの、若いというだけで何の地位も後ろ盾もない、舞台女優風情のところにね」
隠し切れない憎悪のこもった吐息をつくと母はまだ美しい顔を歪め、美しい声を怒りと屈辱に震わせて執拗に、この場にはいない〝あの女〟を罵倒し続ける。どす黒い感情を執拗なまでに塗り込めた悪意の塊を吐き出す姿はとても醜く、貴族たちの手本となるべく名門に連なる存在なのかと眉をひそめさせずにはいられなかった。
それが他ならぬ自分の母親だということを認めたくなくて、ティエラディアナは意識を逸らす。
類稀なる美貌を引き立てる見事なプラチナブロンドと雪のように白い肌から、若かりし頃の母は〝社交界に咲いた可憐な白百合〟と称されていたことは有名な話だ。実家の侯爵家も由緒ある家系とあれば、多少の下心が秘められているとは言えダンスの誘いや求婚を申し出る殿方が後を絶たなかったのも十分頷ける。
それが今やどうだろう。
面立ちは十九歳の娘がいるとは思えないほど、娘時代の儚げな雰囲気を未だ残した美人であることには変わりない。だが見てくれの問題ではなかった。口を開けば〝夫を寝取った泥棒猫〟を悪し様に罵る内面が醜くなってしまっている。
「それだけではないのよ、ねえティーナ。知っていて? 貴女のお父様はね、またあの女に我がラドグリス家の大事な財産の一部を勝手に貢いだらしいのよ。入り婿の分際で名門ラドグリス家の財産に私欲で手をつけるなんて、恥ずかしいと思わないのかしらね? もしわたくしが貴女のお父様と同じ立場ならとてもとても、そんな恥知らずで恩知らずな浅ましい振る舞いはできはしないのだけれど、彼のご実家の伯爵家はそういった恩や礼節といったことを一切気になさらない家風なのかしら?」
紅茶の本来の味を楽しむことができず、ティエラディアナは残念な気持ちで再び本へに視線を落とした。
十五歳のある日、母の兄――つまりはラドグリス侯爵家当主であり、ティエラディアナの伯父にあたる人物が「大人になろうとしているティーナも、事実を知っておいた方がいい」と教えてくれたことが脳裏を過る。
結婚相手に何ら困ってはいなかった〝可憐な白百合〟ことシェラフィリアだが、その結婚相手にはアインザック伯爵家の四男坊であるミハエル――彼がもちろんティエラディアナの父親だ――を選んだ。
二人は恋愛結婚ではない。シェラフィリアが、自分に全く見向きもしなかったミハエルに腹を立て、家柄の差に物を言わせて我儘を通したものだった。
ミハエルがシェラフィリアを口説かなかったことにはちゃんとした理由がある。当時のミハエルにはすでに、ごく一部の人間しか存在を知らない恋人がいたのだ。世間に公表こそしていなくとも、アインザック家と相手方の家との間では結婚の話も内々に進められていた。
しかし、そこにシェラフィリアの横やりが入った。アインザック家は地位こそ伯爵位に就いているが、元は商人の家系であり、いわば成り上がりだ。そんなアインザック家が格上の、王都でも屈指の権勢を誇る名門ラドグリス家からの申し出を断れるはずもない。ラドグリス家の機嫌を損ねることは自殺行為に等しかった。
そうして横恋慕ですらない子供じみた略奪は、シェラフィリアの一目惚れからはじまった世紀の大熱愛などと偽りの姿を与えられた。これまで誰の誘いにも靡くことのなかった白百合が前触れもなく婚約したという話は瞬く間に社交界を駆け抜け、長きに渡って暇な貴族たちの関心を独占したものだ。
たった一枚の薄皮を捲ればそこに愛など最初から全く存在しない。けれど高位貴族の令嬢の高慢な気まぐれだけで、婚姻が結ばれたのだった。
母は父を入り婿としてラドグリス侯爵家に迎えたものの、この家はあくまでも分家だ。母の兄が継いだ本家はさらに揺るぎない土壌を築き上げている。
この家を存続させる必要はない。
それでも母は子を望んだようで、当初はなかなか子宝にも恵まれなかったが結婚して五年後には一人娘のティエラディアナが生まれ、夫婦間に男女の恋愛感情はなくとも家族としての愛情なら芽生えるかと思われた。現にティエラディアナを中心に、仲睦まじい家族の体裁は形成されつつあったのだ。
――ただしその幸せな家族の姿も、所詮は見てくれの話である。
ミハエルはティエラディアナに対し、最低限の務めは果たしてはいた。
ティエラディアナの誕生日は家族三人で過ごし、プレゼントも直接手渡しで贈ってくれる。だが、そのプレゼントの傾向がある年を境にがらりと変わった。
いわゆる、年頃の少女が好みそうな品々。まともな会話もなかった父がそんな気の利いたプレゼントを選べるはずがなかった。
では、選んでいるのは誰なのか。
薄氷の上にかろうじて築かれていたに過ぎなかった家族の風景に最初の亀裂が入ったのは、ティエラディアナが十四歳の時だった。
かすかな衣擦れの音と共に聞こえる女の涼やかな声に、ティーナ――ティエラディアナは読みかけの本から顔を上げた。
正面に置かれた一人がけのソファーにいつの間にか、完成された絵画さながらの空気を纏った母が腰を下ろしている。彼女は右手首にはめた細い金のブレスレットをしなやかな指先で弄び、誰しもが陶然と見惚れるほどに華やかな笑みを浮かべた。
母の白く華奢な手首で心許なさげに揺れるブレスレットは、今年十九歳になるティエラディアナが身につけるならいざ知らず、成熟しきった大人の女性である母を飾り立てるには些か幼すぎるデザインに見える。
だが、母にとってはそれがお気に入りの品らしい。ティエラディアナは謂れを知らないが、片時も外すことなく大切に扱っていることだけは確かだ。
ティエラディアナは母へ一瞥を与え、繊細な模様が刻まれたガラステーブルに手を伸ばした。
野ばらが描かれた、お気に入りのティーカップを口元に運ぶ。淡いオレンジ色に揺らめく紅茶を一口含めば、母譲りの愛らしい顔がしかめられた。
カップに注がれた紅茶はすっかり冷めてしまっている。温かい時はとても優雅で芳醇な香りを立てていたのだが、今はほとんどが飛んでしまってわずかに香るだけだ。何か月も待ってようやく取り寄せてもらったのに、本に夢中になりすぎてあまり楽しむことができなかった。
ひどく残念で、思わず溜め息がこぼれる。それを自分への反応とでも捉えたのか、母は眉を吊り上げた。
「貴女のお父様はまた、あの女のところに行っているのよ。あの、若いというだけで何の地位も後ろ盾もない、舞台女優風情のところにね」
隠し切れない憎悪のこもった吐息をつくと母はまだ美しい顔を歪め、美しい声を怒りと屈辱に震わせて執拗に、この場にはいない〝あの女〟を罵倒し続ける。どす黒い感情を執拗なまでに塗り込めた悪意の塊を吐き出す姿はとても醜く、貴族たちの手本となるべく名門に連なる存在なのかと眉をひそめさせずにはいられなかった。
それが他ならぬ自分の母親だということを認めたくなくて、ティエラディアナは意識を逸らす。
類稀なる美貌を引き立てる見事なプラチナブロンドと雪のように白い肌から、若かりし頃の母は〝社交界に咲いた可憐な白百合〟と称されていたことは有名な話だ。実家の侯爵家も由緒ある家系とあれば、多少の下心が秘められているとは言えダンスの誘いや求婚を申し出る殿方が後を絶たなかったのも十分頷ける。
それが今やどうだろう。
面立ちは十九歳の娘がいるとは思えないほど、娘時代の儚げな雰囲気を未だ残した美人であることには変わりない。だが見てくれの問題ではなかった。口を開けば〝夫を寝取った泥棒猫〟を悪し様に罵る内面が醜くなってしまっている。
「それだけではないのよ、ねえティーナ。知っていて? 貴女のお父様はね、またあの女に我がラドグリス家の大事な財産の一部を勝手に貢いだらしいのよ。入り婿の分際で名門ラドグリス家の財産に私欲で手をつけるなんて、恥ずかしいと思わないのかしらね? もしわたくしが貴女のお父様と同じ立場ならとてもとても、そんな恥知らずで恩知らずな浅ましい振る舞いはできはしないのだけれど、彼のご実家の伯爵家はそういった恩や礼節といったことを一切気になさらない家風なのかしら?」
紅茶の本来の味を楽しむことができず、ティエラディアナは残念な気持ちで再び本へに視線を落とした。
十五歳のある日、母の兄――つまりはラドグリス侯爵家当主であり、ティエラディアナの伯父にあたる人物が「大人になろうとしているティーナも、事実を知っておいた方がいい」と教えてくれたことが脳裏を過る。
結婚相手に何ら困ってはいなかった〝可憐な白百合〟ことシェラフィリアだが、その結婚相手にはアインザック伯爵家の四男坊であるミハエル――彼がもちろんティエラディアナの父親だ――を選んだ。
二人は恋愛結婚ではない。シェラフィリアが、自分に全く見向きもしなかったミハエルに腹を立て、家柄の差に物を言わせて我儘を通したものだった。
ミハエルがシェラフィリアを口説かなかったことにはちゃんとした理由がある。当時のミハエルにはすでに、ごく一部の人間しか存在を知らない恋人がいたのだ。世間に公表こそしていなくとも、アインザック家と相手方の家との間では結婚の話も内々に進められていた。
しかし、そこにシェラフィリアの横やりが入った。アインザック家は地位こそ伯爵位に就いているが、元は商人の家系であり、いわば成り上がりだ。そんなアインザック家が格上の、王都でも屈指の権勢を誇る名門ラドグリス家からの申し出を断れるはずもない。ラドグリス家の機嫌を損ねることは自殺行為に等しかった。
そうして横恋慕ですらない子供じみた略奪は、シェラフィリアの一目惚れからはじまった世紀の大熱愛などと偽りの姿を与えられた。これまで誰の誘いにも靡くことのなかった白百合が前触れもなく婚約したという話は瞬く間に社交界を駆け抜け、長きに渡って暇な貴族たちの関心を独占したものだ。
たった一枚の薄皮を捲ればそこに愛など最初から全く存在しない。けれど高位貴族の令嬢の高慢な気まぐれだけで、婚姻が結ばれたのだった。
母は父を入り婿としてラドグリス侯爵家に迎えたものの、この家はあくまでも分家だ。母の兄が継いだ本家はさらに揺るぎない土壌を築き上げている。
この家を存続させる必要はない。
それでも母は子を望んだようで、当初はなかなか子宝にも恵まれなかったが結婚して五年後には一人娘のティエラディアナが生まれ、夫婦間に男女の恋愛感情はなくとも家族としての愛情なら芽生えるかと思われた。現にティエラディアナを中心に、仲睦まじい家族の体裁は形成されつつあったのだ。
――ただしその幸せな家族の姿も、所詮は見てくれの話である。
ミハエルはティエラディアナに対し、最低限の務めは果たしてはいた。
ティエラディアナの誕生日は家族三人で過ごし、プレゼントも直接手渡しで贈ってくれる。だが、そのプレゼントの傾向がある年を境にがらりと変わった。
いわゆる、年頃の少女が好みそうな品々。まともな会話もなかった父がそんな気の利いたプレゼントを選べるはずがなかった。
では、選んでいるのは誰なのか。
薄氷の上にかろうじて築かれていたに過ぎなかった家族の風景に最初の亀裂が入ったのは、ティエラディアナが十四歳の時だった。
29
お気に入りに追加
188
あなたにおすすめの小説
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
婚約解消から5年、再び巡り会いました。
能登原あめ
恋愛
* R18、シリアスなお話です。センシティブな内容が含まれますので、苦手な方はご注意下さい。
私達は結婚するはずだった。
結婚を控えたあの夏、天災により領民が冬を越すのも難しくて――。
婚約を解消して、別々の相手と結婚することになった私達だけど、5年の月日を経て再び巡り合った。
* 話の都合上、お互いに別の人と結婚します。白い結婚ではないので苦手な方はご注意下さい(別の相手との詳細なRシーンはありません)
* 全11話予定
* Rシーンには※つけます。終盤です。
* コメント欄のネタバレ配慮しておりませんのでお気をつけください。
* 表紙はCanvaさまで作成した画像を使用しております。
ローラ救済のパラレルのお話。↓
『愛する人がいる人と結婚した私は、もう一度やり直す機会が与えられたようです』
燻らせた想いは口付けで蕩かして~睦言は蜜毒のように甘く~
二階堂まや
恋愛
北西の国オルデランタの王妃アリーズは、国王ローデンヴェイクに愛されたいがために、本心を隠して日々を過ごしていた。 しかしある晩、情事の最中「猫かぶりはいい加減にしろ」と彼に言われてしまう。
夫に嫌われたくないが、自分に自信が持てないため涙するアリーズ。だがローデンヴェイクもまた、言いたいことを上手く伝えられないもどかしさを密かに抱えていた。
気持ちを伝え合った二人は、本音しか口にしない、隠し立てをしないという約束を交わし、身体を重ねるが……?
「こんな本性どこに隠してたんだか」
「構って欲しい人だったなんて、思いませんでしたわ」
さてさて、互いの本性を知った夫婦の行く末やいかに。
+ムーンライトノベルズにも掲載しております。
冷徹義兄の密やかな熱愛
橋本彩里(Ayari)
恋愛
十六歳の時に母が再婚しフローラは侯爵家の一員となったが、ある日、義兄のクリフォードと彼の親友の話を偶然聞いてしまう。
普段から冷徹な義兄に「いい加減我慢の限界だ」と視界に入れるのも疲れるほど嫌われていると知り、これ以上嫌われたくないと家を出ることを決意するのだが、それを知ったクリフォードの態度が急変し……。
※王道ヒーローではありません
【掌編集】今までお世話になりました旦那様もお元気で〜妻の残していった離婚受理証明書を握りしめイケメン公爵は涙と鼻水を垂らす
まほりろ
恋愛
新婚初夜に「君を愛してないし、これからも愛するつもりはない」と言ってしまった公爵。
彼は今まで、天才、美男子、完璧な貴公子、ポーカーフェイスが似合う氷の公爵などと言われもてはやされてきた。
しかし新婚初夜に暴言を吐いた女性が、初恋の人で、命の恩人で、伝説の聖女で、妖精の愛し子であったことを知り意気消沈している。
彼の手には元妻が置いていった「離婚受理証明書」が握られていた……。
他掌編七作品収録。
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します
「Copyright(C)2023-まほりろ/若松咲良」
某小説サイトに投稿した掌編八作品をこちらに転載しました。
【収録作品】
①「今までお世話になりました旦那様もお元気で〜ポーカーフェイスの似合う天才貴公子と称された公爵は、妻の残していった離婚受理証明書を握りしめ涙と鼻水を垂らす」
②「何をされてもやり返せない臆病な公爵令嬢は、王太子に竜の生贄にされ壊れる。能ある鷹と天才美少女は爪を隠す」
③「運命的な出会いからの即日プロポーズ。婚約破棄された天才錬金術師は新しい恋に生きる!」
④「4月1日10時30分喫茶店ルナ、婚約者は遅れてやってきた〜新聞は星座占いを見る為だけにある訳ではない」
⑤「『お姉様はズルい!』が口癖の双子の弟が現世の婚約者! 前世では弟を立てる事を親に強要され馬鹿の振りをしていましたが、現世では奴とは他人なので天才として実力を充分に発揮したいと思います!」
⑥「婚約破棄をしたいと彼は言った。契約書とおふだにご用心」
⑦「伯爵家に半世紀仕えた老メイドは伯爵親子の罠にハマり無一文で追放される。老メイドを助けたのはポーカーフェイスの美女でした」
⑧「お客様の中に褒め褒めの感想を書ける方はいらっしゃいませんか? 天才美文感想書きVS普通の少女がえんぴつで書いた感想!」
私は5歳で4人の許嫁になりました【完結】
Lynx🐈⬛
恋愛
ナターシャは公爵家の令嬢として産まれ、5歳の誕生日に、顔も名前も知らない、爵位も不明な男の許嫁にさせられた。
それからというものの、公爵令嬢として恥ずかしくないように育てられる。
14歳になった頃、お行儀見習いと称し、王宮に上がる事になったナターシャは、そこで4人の皇子と出会う。
皇太子リュカリオン【リュカ】、第二皇子トーマス、第三皇子タイタス、第四皇子コリン。
この4人の誰かと結婚をする事になったナターシャは誰と結婚するのか………。
※Hシーンは終盤しかありません。
※この話は4部作で予定しています。
【私が欲しいのはこの皇子】
【誰が叔父様の側室になんてなるもんか!】
【放浪の花嫁】
本編は99話迄です。
番外編1話アリ。
※全ての話を公開後、【私を奪いに来るんじゃない!】を一気公開する予定です。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
【R18】愛され総受け女王は、20歳の誕生日に夫である美麗な年下国王に甘く淫らにお祝いされる
奏音 美都
恋愛
シャルール公国のプリンセス、アンジェリーナの公務の際に出会い、恋に落ちたソノワール公爵であったルノー。
両親を船の沈没事故で失い、突如女王として戴冠することになった間も、彼女を支え続けた。
それから幾つもの困難を乗り越え、ルノーはアンジェリーナと婚姻を結び、単なる女王の夫、王配ではなく、自らも執政に取り組む国王として戴冠した。
夫婦となって初めて迎えるアンジェリーナの誕生日。ルノーは彼女を喜ばせようと、画策する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる