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第二章 排除装置の破壊と闘気の存在
28話 転送魔法陣
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――第1層(上層)
ロフルたちが修行に明け暮れている時、
上層に住むセレナスは深夜に一人、転送魔法陣を調べていた。
「くそ……どういった原理で10歳と認識しているんだ」
すると、後方から一人の男性がやってきた。
セレナスは調査に必死でその男の存在に気がついていなかった。
「おい。そこで何をしている」
その言葉でセレナスははっと振り返った。
(ワイズ・A・モーンブレイズ ……厄介な奴に見つかってしまった)
「申し訳ありません。この辺りに落とし物をしてしまいまして……」
セレナスは深々と頭を下げた。
神徒には明確な階級の差があった。
それはミドルネーム、S・A・B・Cで差別化されており、
自身より高位の人には基本的に逆らう事は出来ない。
「そうか。何を落としたんだ?」
その問いに対して、セレナスはさっとポケットから取り出した物を見せた。
「これです。見つかって本当に良かった」
セレナスが見せたのは、祭壇の記述を明記する為の黒いペンだった
「お前……そんな大事な物を! 大切にしまっておけ。それを落とすなんて考えられんな……」
ワイズもフロストハート家の使命を知っている。
黒いペンは代々伝わるもので本当に大切なものである。
「お恥ずかしい話です……申し訳ありません。では私はこれで」
そういってセレナスはその場から退散しようとした。
しかし、
「まて、お前……転送魔法陣に触れたな?」
と呼び止められた。
「いえ、触れたつもりは……」
するとワイズはセレナスの胸ぐらをつかみ、
「ふざけるな。我々を誰だと思っている。微かな違いにも気づくんだよ」
と強く言った。
「本当に申し訳ありません。ペンを拾う時に少し触れたかもしれません……」
ワイズは本当だな? とセレナスに言った。
それに対し、すぐに間違いありませんと答えた。
「まぁ良い……ここへはもう近づくな。次発見したら承知しないぞ」
とワイズはセレナスに忠告した。
それに対しセレナスは静かに返事をし、また深々と頭を下げるのであった。
・・・
「モーンブレイズ家も結局管理しているだけで、転送魔法陣の仕組みは一切知らないだろう……やはりSの者に聞くしか……」
なんとかその場を離れたセレナスはそう呟いた。
だが、通常B階級の者が二つ上のS階級の者に質問する事はほぼ不可能である。
質問はおろか会う事すら許されない状況。このままでは何もする事は出来ない。
それはセレナス自身の重々承知している事実であった。
「僕がSの者と話すにはまずはモーンブレイズに取り入り、A経由で接触するほかない」
セレナスはそう呟いて闇に消えていった。
・・・
・・
・
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ロフルたちが修行に明け暮れている時、
上層に住むセレナスは深夜に一人、転送魔法陣を調べていた。
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すると、後方から一人の男性がやってきた。
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「おい。そこで何をしている」
その言葉でセレナスははっと振り返った。
(ワイズ・A・モーンブレイズ ……厄介な奴に見つかってしまった)
「申し訳ありません。この辺りに落とし物をしてしまいまして……」
セレナスは深々と頭を下げた。
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それはミドルネーム、S・A・B・Cで差別化されており、
自身より高位の人には基本的に逆らう事は出来ない。
「そうか。何を落としたんだ?」
その問いに対して、セレナスはさっとポケットから取り出した物を見せた。
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しかし、
「まて、お前……転送魔法陣に触れたな?」
と呼び止められた。
「いえ、触れたつもりは……」
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と強く言った。
「本当に申し訳ありません。ペンを拾う時に少し触れたかもしれません……」
ワイズは本当だな? とセレナスに言った。
それに対し、すぐに間違いありませんと答えた。
「まぁ良い……ここへはもう近づくな。次発見したら承知しないぞ」
とワイズはセレナスに忠告した。
それに対しセレナスは静かに返事をし、また深々と頭を下げるのであった。
・・・
「モーンブレイズ家も結局管理しているだけで、転送魔法陣の仕組みは一切知らないだろう……やはりSの者に聞くしか……」
なんとかその場を離れたセレナスはそう呟いた。
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質問はおろか会う事すら許されない状況。このままでは何もする事は出来ない。
それはセレナス自身の重々承知している事実であった。
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