上 下
25 / 60
第二章 排除装置の破壊と闘気の存在

24話 気になる事

しおりを挟む
 岩剛斎の部屋は質素な作りで、丸太でできた椅子とテーブル、そして本棚があるだけだった。
 本棚には簡素な作りの書物がぎっしりと入っていた。

 本か……この世界では初めて見た気がするな。

 椅子に座って待っていると、
 岩剛斎は飲み物を持ってきてくれた。
 
「さて、わしの力を教える前に、わしから質問してもよいか?」

 と岩剛斎が聞いてきたので、俺達はどうぞと返事をした。

「君たちは何者じゃ? どうもあの施設と全く関係がない……とは思えないんじゃ。勘じゃがのう」

 そう言われ俺とフーチェは顔を見合わせた。
 そして、

「そうだな……結論から言うと、あの施設が現れたのは俺たちのせいかもしれない」

 俺はそう話し始め、今まで何をやって来たのかを包み隠さず伝えた。

「なるほど……急激に人口が増えた結果、あの施設が出現したのではないか? という事じゃな」

 と岩剛斎は納得した様子だった。

「俺たちはあの施設の内部を調査したい。そして、あわよくば破壊したいと考えている」

 俺は力強くそう言った。

「ふむ。その心意気は有難い事じゃ」

 岩剛斎はそう言って少しだけ考えるそぶりを見せた。
 そして、

「ならば施設調査に関して、わしらが試した事を話そうかのう」

 と言った。
 そして、飲み物を一口飲んだ後、真剣な表情で説明してくれた。

・・・
・・




 あの地震の後、わしはリリアナに周辺区画を調査してもらった。
 その結果、例の施設を発見したんじゃ。

 そして、すぐにリリアナとわしで調査へと赴いた。

 出入口と思われる場所には見えない壁があり侵入することが出来なかったが、
 わしの攻撃でそれ自体はすぐに破る事が出来た。

 一旦わしだけで中へと進むこと約2m、急に身体に力が入らなくなってしもうた。

 見ると、わしの纏う闘気が天井にどんどんと吸われておったのじゃ。
 このままでは死ぬと判断し、その時はすぐに戻った。
 その際、入り口はまた見えない壁に阻まれておった。

 力が残っていた為、なんとか破壊して外に出ることが出来たんじゃ。

 そして二回目の調査はリリアナと共に出向いた。
 リリアナは道場で唯一エンハンスが使える。
 エンハンスを纏ってわしが進めなかった先へと言ってもらおうとしたんじゃ。

 じゃが、わしと同じくらいの場所で、魔力が地面から急速に吸われ始めた。
 エンハンスが一気に解除されてしまった。

 だが、エンハンスや闘気を纏っていない場合は問題なく進めた。
 なので、そのまま何も纏わずに進んだんじゃが……

 その通路を抜けた先には大きなフロアがあった。
 しかし、わしたちはそこへ入場することなく帰還した。

 それが最後の調査じゃ……。

・・・
・・


 岩剛斎は一通り話し終えた後、飲み物を一気に飲み干した。
 いまの話で闘気という名称が当然のように出てきたが、聞いたことねーよ……。
 そんな事を思いながらも俺は質問した。

「何故そこで引き返したんだ?」

 岩剛斎はすぐに

「今までに見た事がない魔物がそこで眠るように静止していたんじゃ」

 と続け、闘気を纏っていれば勝算はあるが、生身ではとても倒せる相手ではないと言った。

 闘気もエンハンスも纏えない環境でそいつと戦って勝つ……。
 さっきの魔物を一撃で倒す岩剛斎が倒せないと言うなんて、相当やばい魔物なのだろう。

「じゃぁさ! エンハンスと闘気? を同時に纏ったらどうなるの?」

 俺はふと疑問に思ったことを投げかけた。
 すると岩剛斎はそれは思いついておったが、そんな事を出来る者がここには居ないと答えた。

「え、岩剛斎は出来ないの?」

 そう言うと、岩剛斎は右腕を出して俺に見せた。

「え、魔法輪が……ない?!」

 なんと岩剛斎の右腕には魔法輪と手の甲の輪が一切なかったのだ。

「わしには獣人の血が流れておらぬ。鬼人と人のハーフじゃから魔法を覚えることが出来なかった」

 と言いながら腕を下ろした。

 獣人、鬼人……?
 この会話でどれだけ知らない単語が出てくるんだよ!

 そう思った俺は……

「岩剛斎……話す前に獣人と鬼人、闘気について教えてほしい」

 と質問した。
 このあたりの事が分からないまま話を聞いたところできっと理解できない。

「なるほど、分かった良いじゃろう!」

 岩剛斎は心快く教えてくれた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

地球からきた転生者の殺し方 =ハーレム要員の女の子を一人ずつ寝取っていきます

三浦裕
ファンタジー
「地球人てどーしてすぐ転生してくんの!? いや転生してもいいけどうちの世界にはこないで欲しいわけ、迷惑だから。いや最悪きてもいいけどうちの国には手をださんで欲しいわけ、滅ぶから。まじ迷惑してます」  地球から来た転生者に散々苦しめられたオークの女王オ・ルナは憤慨していた。必ずやあのくそ生意気な地球人どもに目にものみせてくれようと。だが―― 「しっかし地球人超つえーからのう……なんなのあの針がバカになった体重計みたいなステータス。バックに女神でもついてんの? 勝てん勝てん」  地球人は殺りたいが、しかし地球人強すぎる。悩んだオ・ルナはある妙案を思いつく。 「地球人は地球人に殺らせたろ。むっふっふ。わらわってばまじ策士」  オ・ルナは唯一知り合いの地球人、カトー・モトキにクエストを発注する。  地球からきた転生者を、オークの国にあだなす前に殺ってくれ。 「報酬は……そうじゃのう、一人地球人を殺すたび、わらわにエ、エッチなことしてよいぞ……?」  カトーはその提案に乗る。 「任せとけ、転生者を殺すなんて簡単だ――あいつはハーレム要員の女を寝取られると、勝手に力を失って弱る」 毎日更新してます。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

ドロップキング 〜 平均的な才能の冒険者ですが、ドロップアイテムが異常です。 〜

出汁の素
ファンタジー
 アレックスは、地方の騎士爵家の五男。食い扶持を得る為に13歳で冒険者学校に通い始めた、極々一般的な冒険者。  これと言った特技はなく、冒険者としては平凡な才能しか持たない戦士として、冒険者学校3か月の授業を終え、最低ランクHランクの認定を受け、実地研修としての初ダンジョンアタックを冒険者学校の同級生で組んだパーティーでで挑んだ。  そんなアレックスが、初めてモンスターを倒した時に手に入れたドロップアイテムが異常だった。  のちにドロップキングと呼ばれる冒険者と、仲間達の成長ストーリーここに開幕する。  第一章は、1カ月以内に2人で1000体のモンスターを倒せば一気にEランクに昇格出来る冒険者学校の最終試験ダンジョンアタック研修から、クラン設立までのお話。  第二章は、設立したクラン アクア。その本部となる街アクアを中心としたお話。  第三章は、クラン アクアのオーナーアリアの婚約破棄から始まる、ドタバタなお話。  第四章は、帝都での混乱から派生した戦いのお話(ざまぁ要素を含む)。  1章20話(除く閑話)予定です。 ------------------------------------------------------------- 書いて出し状態で、1話2,000字~3,000字程度予定ですが、大きくぶれがあります。 全部書きあがってから、情景描写、戦闘描写、心理描写等を増やしていく予定です。 下手な文章で申し訳ございませんがよろしくお願いいたします。

ズボラ通販生活

ice
ファンタジー
西野桃(にしのもも)35歳の独身、オタクが神様のミスで異世界へ!貪欲に通販スキル、時間停止アイテムボックス容量無限、結界魔法…さらには、お金まで貰う。商人無双や!とか言いつつ、楽に、ゆるーく、商売をしていく。淋しい独身者、旦那という名の奴隷まで?!ズボラなオバサンが異世界に転移して好き勝手生活する!

女神に同情されて異世界へと飛ばされたアラフォーおっさん、特S級モンスター相手に無双した結果、実力がバレて世界に見つかってしまう

サイダーボウイ
ファンタジー
「ちょっと冬馬君。このプレゼン資料ぜんぜんダメ。一から作り直してくれない?」 万年ヒラ社員の冬馬弦人(39歳)は、今日も上司にこき使われていた。 地方の中堅大学を卒業後、都内の中小家電メーカーに就職。 これまで文句も言わず、コツコツと地道に勤め上げてきた。 彼女なしの独身に平凡な年収。 これといって自慢できるものはなにひとつないが、当の本人はあまり気にしていない。 2匹の猫と穏やかに暮らし、仕事終わりに缶ビールが1本飲めれば、それだけで幸せだったのだが・・・。 「おめでとう♪ たった今、あなたには異世界へ旅立つ権利が生まれたわ」 誕生日を迎えた夜。 突如、目の前に現れた女神によって、弦人の人生は大きく変わることになる。 「40歳まで童貞だったなんて・・・これまで惨めで辛かったでしょ? でももう大丈夫! これからは異世界で楽しく遊んで暮らせるんだから♪」 女神に同情される形で異世界へと旅立つことになった弦人。 しかし、降り立って彼はすぐに気づく。 女神のとんでもないしくじりによって、ハードモードから異世界生活をスタートさせなければならないという現実に。 これは、これまで日の目を見なかったアラフォーおっさんが、異世界で無双しながら成り上がり、その実力がバレて世界に見つかってしまうという人生逆転の物語である。

異世界に召喚されて中世欧州っぽい異世界っぽく色々な冒険者と過ごす日本人の更に異世界の魔王の物語

へたまろ
ファンタジー
キャッチフレーズは二話から本編! 最強魔王による、おしのび冒険者育成旅行日記! 異世界といえば、冒険者。 そう思っていた時期がありました。 魔王に転生して社畜のような生活を送っていた田中は、さらなる異世界に呼び出され……そして、旅立った。 仕事を投げ出して。 そこでは、理想の冒険者が闊歩する町並みが。 キタコレ! 田中の異世界冒険者(育成)日記の幕開け! そして以下あらすじ ある世界に、転生してすぐに魔王になってしまった日本人の若者が居ました。 彼は、魔王として部下に慕われつつも、良いように使われ、人間達に良いように使われ、城の運営が上手くいくようにあれこれ苦心し、城下に住まう魔物達を守り、その生活を向上させることに苦心し、自分の国の為に大魔王に歯向かい、大魔王の住む地で国を興し、迫害される人を助けたり、魔族を助けたり、さらには… とにかく、王のくせに一番働いて、一番苦労をしていたのです。 ところが、ある日強力な魔力を感じ、その魔力にされるがままに他の世界に召喚されたのでした。 異世界転生からの、異世界転移という数奇な運命を辿りながらも、今度こそ異世界チートヒャッハーを楽しもうと思ったのですが、そこで一人の少年に出会い、彼との出会いが元魔王の考えを変えたのです。 うん、冒険者になって、この新人を育ててみるか… 育成ゲーム感覚で、この新人冒険者を適当に育て始めます。 そこから、冒険者育成にはまった魔王様。 そこから始まる魔王の暇潰しかつ異世界満喫物語。 最初に育てた新人だけでは飽き足らず、あちこちの冒険者にちょっかいを出す魔王の、自己満おせっかいストーリーです。

テイムしたトカゲに魔石を与え続けるとドラゴンになりました。

暁 とと
ファンタジー
テイムしたトカゲはドラゴンになる

【R18】スライムにマッサージされて絶頂しまくる女の話

白木 白亜
ファンタジー
突如として異世界転移した日本の大学生、タツシ。 世界にとって致命的な抜け穴を見つけ、召喚士としてあっけなく魔王を倒してしまう。 その後、一緒に旅をしたスライムと共に、マッサージ店を開くことにした。卑猥な目的で。 裏があるとも知れず、王都一番の人気になるマッサージ店「スライム・リフレ」。スライムを巧みに操って体のツボを押し、角質を取り、リフレッシュもできる。 だがそこは三度の飯よりも少女が絶頂している瞬間を見るのが大好きなタツシが経営する店。 そんな店では、膣に媚薬100%の粘液を注入され、美少女たちが「気持ちよくなって」いる!!! 感想大歓迎です! ※1グロは一切ありません。登場人物が圧倒的な不幸になることも(たぶん)ありません。今日も王都は平和です。異種姦というよりは、スライムは主人公の補助ツールとして扱われます。そっち方面を期待していた方はすみません。

処理中です...