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第三章 旅立ち編

38話 ボスとの戦闘

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「おい坊主! 本当にこっちなのか?」

 ボスは少しイラついている様子だ。

「ここを抜けた先に居るよ!」
 
 そう言って、狭い道の丁度中央辺りに来た時、岩壁に対してネビアは[アイススパイク]を発動した。

「なんだ!?」
「ボス、上から岩が!」

 ネビアのアイススパイクによって岩壁が破壊され、突起している岩や大小さまざまなが落石が山賊とネビアを襲った。

 そして、ボスが頭上を見る為にネビアから視線を外した瞬間、一瞬で[閃光脚]で後退しながら、
 [ファイヤエクスプロージョン]も複数回発動し、更に崩落させた。
 山賊の居た場所は砂埃が舞い状況がしっかりと見えないが、ゴロゴロと大岩が落ちてきており、大惨事になっているように見える。

「全員やりましたか……?」

 ネビアは確認する為に、[ライトウイスプ]を描き、砂煙の方へ近づいた。

 すると……

――ブオン!

 と風の音が響き、砂煙が上空へと飛んでいった。
 そして、その中心には人影が見えた。

(ネビア)――アイススピア!

 ネビアはそれを視認した瞬間、即座に[アイススピア]を放った。
 しかし、それは人影の前でパリンと音を立て砕けてしまった。

「まさかこんなガキが魔法を使えるなんてな……」

 そういうボスは背負っていた斧を手に持っていた。
 それは全長1メートル程あり、柄は70メートルはある。
 そして、刃は大きめの三日月型の刃が片側に1枚、反対側にもう1枚あり両刃になっている。

 柄と両刃の部分には淡い緑色の光を放つ石が埋め込まれており、
 一目でそれが特別な武器だと分かる。

「まだ生きていましたか……」

 ネビアはまた即座に[アイススピア]を放った。
 その瞬間、ボスは斧を扇のように下から上に仰いだ。

「な……!」

 斧を仰いだ場所から、風中級魔法[ウインドウォール]が発生し、[アイススピア]を打ち消した。

 風中級魔法[ウインドウォール]
 ウィンドに形状変化を追加
 下から上に登る風の壁を作る。矢や弱い火・水魔法等無効化できる。

「お前も魔装具使いか? だが、その程度の[アイススピア]じゃ俺の[風魔の斧]はとめられねえ!」

 ネビアは魔装具という言葉は初めて聞いたが、ボスの持つ[風魔の斧]のような特別な武器がそうなのだろうと瞬時に理解していた。

「厄介ですね……」

 ネビアは対人で戦士とまともにやり合うのはこれが初めてである。
 気を引き締め直し、目の前の敵に集中した。

「落石の件、どうやったかはわからねえが、お前は生かしては帰さねえ。残念だが、ここで死んでもらう」
「ただではやられませんよ……!」
「はっ! 盾一枚で何が出来る!」

 ボスはそう言って[閃光脚]で詰め寄り、ネビアに向かって斧を上から振り下ろした。
 ネビアはそれをしっかりと回避した。

「今のを避けるとは……な!」

 ボスはそのまま垂直に斧を振ってきたが、盾でいなしながら回避し――

「盾を持ってて命拾いしたなあ!!」

 再びボスが真っ直ぐに斧を振り下ろそうとしてきたが……

(ネビア)――ファイヤエクスプロージョン!

 振り下ろす動作の時、ボスの腹ががら空きだった為、ネビアはそこへ[ファイヤエクスプロージョン]を放った。

――ボンッ

 その音と共にボスは後方へと吹き飛んだ。

「は……?」

 ボスは一撃で既に立ち上がれない程のダメージを負っていた。

「最後に一つ聞きたいんですが……いっぱい居た中で貴方が一番強いんですか?」
「ごふ……当たり前だ。俺がここ一帯を縄張りにしている山賊の頭だからな……!」
「そうですか……僕たちは少し、怯え過ぎていたのかもしれません」

 ネビアはそう言いながら[風魔の斧]を手に取り、ボスに再び[ファイヤエクスプロージョン]を放った。
 そして、ボスは魂片へと還っていった……。

「戦士としては、フィアンの百分の一の強さでしたね……」

 そうしてネビアはフィアン達の元へと戻っていった。

 トゥーカには山賊三大勢力という迷惑な連中が存在し、治安を悪くしている。
 先程倒したボスがその三大勢力の一つだった事を、ネビア達はまだ知らない……。

・・・
・・


~デバシーmemo~

魔装具[風魔の斧]
全長:約1メートル
重量:約5キログラム

刃の部分
大きめの三日月型の刃が片側に1枚、反対側にもう1枚の両刃
刃の表面には風のような模様や符号が刻まれており、使うたびに淡い光を放つ。
淡い緑色の光を放つ石が刃に埋め込まれている。

柄の部分
金属で出来ており70センチメートルほどの長さ。
刃と同じく柄の先端部分に緑色の石が埋め込まれている。

下から上に扇のように振る事で[ウインドウォール]を発動できる。
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