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第三章―魔法国家フォルトゥナ 『遊翼の怪盗』
194-2.一斉反撃2
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真横に振るわれる刃。それは横に並ぶように立っていた魔導師二人の杖を正確に捉える。
それは綺麗に真っ二つに分断された。
魔導師が杖を使うのは己の魔法の精度を高水準で安定させる為。そして優れた魔法使いであればある程、杖を使わずとも高度な制度を保つことが出来る。
そして己と対峙する魔導師達の腕が優れているだろうことをエリアスは直感的に悟っていた。
少なくとも杖がなくともある程度魔法の精度を保つことが出来る程度の腕はあるだろうと。
だが、杖を掲げて魔法の発動を試みていた二人は瞬きの内に自らの道具が破壊された事に対し動揺が生まれる。
実力や才能はある。だが不測の事態に慣れていない未熟さもある。
その未熟さによって生まれた一瞬の隙が決定打となった。
魔導師達が我に返ったその時。一人目の魔導師の顎に剣の柄が突き上げられる。
顎を殴られた男は鈍い音を響かせながら仰向けに倒れ込む。
二人目の魔導師はエリアスが襲い掛かるより先に無詠唱で氷を発現することに成功する。
それは彼の頭上に出現し、垂直に落下する。
だが次の瞬間響いたのはガラスが弾けるような音だ。
エリアスは腰を落とすと素早く自身の頭に刃を構えた。自らへ及ぶ危機への対処。それ亜あまりにも的確だった。
頭上に構えられた剣は落下してきた氷柱を的確に受け止める。
氷塊と鉄塊、その強度は言わずもがな。
氷は木っ端微塵に散り去り、エリアスはその結果を確信していたように眉の一つも動かさない。
そして決死の反撃に敗れた魔導師の足を自らの足に掛け、その体勢を崩す。
相手の剣先に集中していた魔導師は足を掬われ、尻から崩れ落ちる様に転倒する。
だがエリアスの攻撃はそれに留まらない。
彼は座り込んだ魔導師が体勢を整えるよりも先に相手の背後へ回り込んだ。
そして相手の片腕を掴んで背中で捻り上げると相手の動きをしっかりと封じる。
魔導師は痛みに呻くが、元から体を鍛えている騎士と魔法の技術を鍛えている魔導師とでは力の差は圧倒的。エリアスの拘束を抜け出すことは出来ないだろう。
漸く襲撃者が全員片付き、深く息を吐いたエリアスは反対側で縄を使って魔導師達を捕縛していたリオに声を投げる。
「おーい、こっちにも縄くれー」
「はい。お疲れ様です」
程なくしてクリスティーナ達の頭上を縄が通り過ぎる。
剣を足元に置いて片手を空けたエリアスはそれを難なく受け止め、手際よく相手の両手を縛り上げていく。
「助かった」
「いや、それはこっちのセリフでもあるからさ」
そこへ伸びた剣士を肩に担ぎながらヘマが合流する。
剣士を地面に下ろすヘマへ残った縄を渡しながらエリアスが礼を言いかけたその時。
道の先から新たに複数の足音が、クリスティーナ達の元へと近づいて来たのだった。
それは綺麗に真っ二つに分断された。
魔導師が杖を使うのは己の魔法の精度を高水準で安定させる為。そして優れた魔法使いであればある程、杖を使わずとも高度な制度を保つことが出来る。
そして己と対峙する魔導師達の腕が優れているだろうことをエリアスは直感的に悟っていた。
少なくとも杖がなくともある程度魔法の精度を保つことが出来る程度の腕はあるだろうと。
だが、杖を掲げて魔法の発動を試みていた二人は瞬きの内に自らの道具が破壊された事に対し動揺が生まれる。
実力や才能はある。だが不測の事態に慣れていない未熟さもある。
その未熟さによって生まれた一瞬の隙が決定打となった。
魔導師達が我に返ったその時。一人目の魔導師の顎に剣の柄が突き上げられる。
顎を殴られた男は鈍い音を響かせながら仰向けに倒れ込む。
二人目の魔導師はエリアスが襲い掛かるより先に無詠唱で氷を発現することに成功する。
それは彼の頭上に出現し、垂直に落下する。
だが次の瞬間響いたのはガラスが弾けるような音だ。
エリアスは腰を落とすと素早く自身の頭に刃を構えた。自らへ及ぶ危機への対処。それ亜あまりにも的確だった。
頭上に構えられた剣は落下してきた氷柱を的確に受け止める。
氷塊と鉄塊、その強度は言わずもがな。
氷は木っ端微塵に散り去り、エリアスはその結果を確信していたように眉の一つも動かさない。
そして決死の反撃に敗れた魔導師の足を自らの足に掛け、その体勢を崩す。
相手の剣先に集中していた魔導師は足を掬われ、尻から崩れ落ちる様に転倒する。
だがエリアスの攻撃はそれに留まらない。
彼は座り込んだ魔導師が体勢を整えるよりも先に相手の背後へ回り込んだ。
そして相手の片腕を掴んで背中で捻り上げると相手の動きをしっかりと封じる。
魔導師は痛みに呻くが、元から体を鍛えている騎士と魔法の技術を鍛えている魔導師とでは力の差は圧倒的。エリアスの拘束を抜け出すことは出来ないだろう。
漸く襲撃者が全員片付き、深く息を吐いたエリアスは反対側で縄を使って魔導師達を捕縛していたリオに声を投げる。
「おーい、こっちにも縄くれー」
「はい。お疲れ様です」
程なくしてクリスティーナ達の頭上を縄が通り過ぎる。
剣を足元に置いて片手を空けたエリアスはそれを難なく受け止め、手際よく相手の両手を縛り上げていく。
「助かった」
「いや、それはこっちのセリフでもあるからさ」
そこへ伸びた剣士を肩に担ぎながらヘマが合流する。
剣士を地面に下ろすヘマへ残った縄を渡しながらエリアスが礼を言いかけたその時。
道の先から新たに複数の足音が、クリスティーナ達の元へと近づいて来たのだった。
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