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第三章―魔法国家フォルトゥナ 『遊翼の怪盗』
191-2.闘争と共闘
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考えた末、結論が出なかった時に即座に思考を切り替える能力を彼は備え持っていた。
方向転換を図った彼は地面に足を付き、摩擦を起こす。
靴底が引きずられる音を伴いながら前進する勢いを力づくで止めた彼はすぐさま振り返り、再び地面を蹴りつける。
彼が向かう先はクリスティーナ達のいる場所だ。
エリアスは三人へと距離を詰めながら剣を振りかざした。
瞬間、彼が背を向けた魔導師達の杖先から氷の矢が複数放たれる。
凄まじい速度を以て一点へ向かって宙を走り、それはエリアスの脇をすり抜け――。
刹那、全てが砕け散った。
脅威は目標へ辿り着く前に素早く且つ的確に動く刃によって斬りつけられる。
先程と全く同じ光景。違う事と言えばエリアスが魔導師らを一切見てはいなかったという事だけ。
後ろから近づく魔法の存在、速度、その数全てを、視線を向ける事無く把握する。
彼は魔導師らの企みが全てわかっているとでも言うように一度も振り返らず三人の元へと駆けつけた。
それと同時に更なる追撃が四人へと迫る。
魔導師から放たれる氷の矢、眩い稲光、鎌風。そして四人の頭上を覆う氷の槍。
エリアスは身を翻し、その全てと向き合う様に身構える。
そこへ落ち着き払った声が背中越しに掛かる。
「前へ集中しなさい。他は私一人で充分よ」
「はい」
指示を出したのはクリスティーナだ。エリアスは前へ集中したまま静かに言葉を返した。
正面と上空同時に攻寄る攻撃から複数人を庇うのは熟練の剣士であろうとも骨が折れる。それはエリアスとて同じであった。
更にここへ至るまでの旅路で見て来た主人の魔法の技量を彼は目の当たりにしている。魔法適性こそ限られてはいるが、窮地に落ちた時の判断力や行使する魔法の精度が優れている事をエリアス走っている。
であるならば無理に全てを切り伏せる事を試みるよりも一転に集中をした方が動きの精度も上がる。
そう結論付け、主人の判断に従う事を決めた騎士の聞き分けの良い返事を聞き届けてからクリスティーナは素早く上空へ両手を伸ばす。
「アイス・シールド」
詠唱の直後、四人の頭上へ展開されるのは半透明の氷の膜。それが形成されると同時、氷の天井へと槍の雨が降り注いだ。
氷同士のぶつかり合う音がその場に響き渡った。
方向転換を図った彼は地面に足を付き、摩擦を起こす。
靴底が引きずられる音を伴いながら前進する勢いを力づくで止めた彼はすぐさま振り返り、再び地面を蹴りつける。
彼が向かう先はクリスティーナ達のいる場所だ。
エリアスは三人へと距離を詰めながら剣を振りかざした。
瞬間、彼が背を向けた魔導師達の杖先から氷の矢が複数放たれる。
凄まじい速度を以て一点へ向かって宙を走り、それはエリアスの脇をすり抜け――。
刹那、全てが砕け散った。
脅威は目標へ辿り着く前に素早く且つ的確に動く刃によって斬りつけられる。
先程と全く同じ光景。違う事と言えばエリアスが魔導師らを一切見てはいなかったという事だけ。
後ろから近づく魔法の存在、速度、その数全てを、視線を向ける事無く把握する。
彼は魔導師らの企みが全てわかっているとでも言うように一度も振り返らず三人の元へと駆けつけた。
それと同時に更なる追撃が四人へと迫る。
魔導師から放たれる氷の矢、眩い稲光、鎌風。そして四人の頭上を覆う氷の槍。
エリアスは身を翻し、その全てと向き合う様に身構える。
そこへ落ち着き払った声が背中越しに掛かる。
「前へ集中しなさい。他は私一人で充分よ」
「はい」
指示を出したのはクリスティーナだ。エリアスは前へ集中したまま静かに言葉を返した。
正面と上空同時に攻寄る攻撃から複数人を庇うのは熟練の剣士であろうとも骨が折れる。それはエリアスとて同じであった。
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氷同士のぶつかり合う音がその場に響き渡った。
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