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第三章―魔法国家フォルトゥナ 『遊翼の怪盗』

151-2.論理的な説得

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「そのようなところですね。ニコラ様の紹介で館にやって来られた皆様と顔を合わせることになり……」
「そうか。ああ、勘違いするなよ。嬢ちゃん達とゆっくり話がしたいと思ってはいたが、オレは第三者を使ってまでそうなるよう仕向けてはいない。ジルベールも、ニコラに対してもな」
「その言い分は既に彼から聞いているわ。最終的に判断を下したのは私達だから、そこに思うところがある訳でもない。気にしなくていいわ」
「そうかい。そりゃ安心したぜ」

 ディオンがクリスティーナ達との接触を目的に手を尽くしていようといまいと、最終的に彼の元へ赴く判断をしたのはクリスティーナ自身である。
 そこについて今更とやかく言うつもりはないし、敢えて真実を暴く必要もないと彼女は判断していた。

「で、あんたはどこまで話したんだ? ジルベール」
「ディオン様方については殆ど話しておりません。私はあくまで部外者ですから。貴方方が特殊な魔導具を集めていること、そしてその目標の一つが館に影響を及ぼしている可能性があること……詳しい話を聞く為にはディオン様とお会いしていただく必要があること。そのくらいです」
「おーけー、把握把握」

 ディオンは無精髭を散らした顎を撫でながら空いている手の指先で書斎机を軽く叩く。
 そして状況を整理しながらクリスティーナ達の目的に予測を立てていく。

「なら嬢ちゃん達はその特殊な魔導具について聞く為に来たってことだな。そしてこいつの働きかけでやって来たという事はシャルロット嬢、もしくはオリオール邸そのものが抱えている問題を解決することを目的としている。そうだな?」
「……ええ」

 彼の予想は的を得ていた。
 自らの思考を言い当てられたクリスティーナは目を瞬かせた後に静かに頷きを返す。

「なら話は早い。オレ達の目的は一緒だと言えるだろう」

 ディオンは笑みを深める。
 相変わらず考えの読み辛い、胡散臭さを覚える顔だがその反面、彼は自身の企みを素直に口にした。

「オレが嬢ちゃん達を連れて来たかったのは純粋に興味を持ったから。それが主だ。だが勿論それだけじゃあない」

 ディオンは指を一つ折りながら、クリスティーナを見やる。
 クリスティーナは特に顔色を変えることもなく静かに話の続きを促した。
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