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第三章―魔法国家フォルトゥナ 『遊翼の怪盗』
125-1.束の間の休息
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シャルロットに会い、仮面舞踏会の会場となるホールの位置を確認した後はまだ訪れていなかった魔導具店を虱潰しに回る。
途中から悟っていた事ではあるが、街中の魔導具店を回ろうとも目的の物はやはり見つからなかった。
いよいよ残された選択肢が限られ、客室で今後の予定について話し合いをしたものの、そこまで実りのある話には発展しなかった。
結局入場が容易い昨晩の様なオークションが開催される日は護衛の内一人が様子を窺いに行くという方向で話が纏まり、翌日以降の数日は長旅に必要なものを揃えることで帰結する。
話し合いを終え、就寝したクリスティーナの身の安全を確保すべく、リオとエリアスは交代で睡眠を取る。
そしてグレースの好意で用意された二つ目の布団を床に広げ、先に眠りについていたリオは真夜中に目を覚まし、体を起こした。
物音を立てぬよう布団から出た彼は扉の傍で壁にもたれかかって腰を下ろすエリアスへ近づく。
きちんと見張りとしての役目を全うしていたエリアスはすぐさま布団から動いた気配に気付き、リオの動きを視線で追う。
「そろそろ交代ですよね」
「そうだな」
リオが傍に腰を下ろすと同時にエリアスは立ち上がり、脇に置いていた武器を手に取った。
そして彼はそのまま布団へ向かうことなくドアノブに手を掛ける。
「……今日も鍛錬ですか?」
「ああ。ちょっと落ち着かなくてな」
「程々にしてくださいね。休める時に休むことも大切でしょうから」
「わかってる。少しだけだって」
怪我が完治してからというもの、エリアスは自身の就寝時間を削って外へ繰り出ては剣を振るって戻る日々を送っていた。
それを知っているリオはやんわりと忠告をし、それに対してはエリアスも素直に頷く。
軽く手を挙げてリオの言葉に応じたエリアスはドアノブを捻って静かに部屋を後にした。
その背中を見送り、戸が閉められたのを確認してからリオは苦笑いを浮かべる。
「……わかっている人の顔ではないと思いますよ」
自身の責務へ対する義務感と敗北の悔しさと強さへの執念。
去り際、素直に返事をしながらもそれら強い思いに瞳を燃やすエリアスの表情を思い返しながらリオは静かに肩を竦めたのだった。
途中から悟っていた事ではあるが、街中の魔導具店を回ろうとも目的の物はやはり見つからなかった。
いよいよ残された選択肢が限られ、客室で今後の予定について話し合いをしたものの、そこまで実りのある話には発展しなかった。
結局入場が容易い昨晩の様なオークションが開催される日は護衛の内一人が様子を窺いに行くという方向で話が纏まり、翌日以降の数日は長旅に必要なものを揃えることで帰結する。
話し合いを終え、就寝したクリスティーナの身の安全を確保すべく、リオとエリアスは交代で睡眠を取る。
そしてグレースの好意で用意された二つ目の布団を床に広げ、先に眠りについていたリオは真夜中に目を覚まし、体を起こした。
物音を立てぬよう布団から出た彼は扉の傍で壁にもたれかかって腰を下ろすエリアスへ近づく。
きちんと見張りとしての役目を全うしていたエリアスはすぐさま布団から動いた気配に気付き、リオの動きを視線で追う。
「そろそろ交代ですよね」
「そうだな」
リオが傍に腰を下ろすと同時にエリアスは立ち上がり、脇に置いていた武器を手に取った。
そして彼はそのまま布団へ向かうことなくドアノブに手を掛ける。
「……今日も鍛錬ですか?」
「ああ。ちょっと落ち着かなくてな」
「程々にしてくださいね。休める時に休むことも大切でしょうから」
「わかってる。少しだけだって」
怪我が完治してからというもの、エリアスは自身の就寝時間を削って外へ繰り出ては剣を振るって戻る日々を送っていた。
それを知っているリオはやんわりと忠告をし、それに対してはエリアスも素直に頷く。
軽く手を挙げてリオの言葉に応じたエリアスはドアノブを捻って静かに部屋を後にした。
その背中を見送り、戸が閉められたのを確認してからリオは苦笑いを浮かべる。
「……わかっている人の顔ではないと思いますよ」
自身の責務へ対する義務感と敗北の悔しさと強さへの執念。
去り際、素直に返事をしながらもそれら強い思いに瞳を燃やすエリアスの表情を思い返しながらリオは静かに肩を竦めたのだった。
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