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第三章―魔法国家フォルトゥナ 『遊翼の怪盗』
100-1.招待状
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ニュイの街並みを眺めながら足を進める一行。
やがてその足が大きな十字路へ辿り着いたところでオリヴィエは足を止める。
「この辺りでいいだろ。国境は西の道を直進。宿をとるなら北にいくつかあるはずだ」
「ご同行ありがとうございました」
「別に」
虫の居所が悪いクリスティーナの代わりにとリオが頭を下げる。
オリヴィエはそれに素っ気なく言葉を返した。そして暫し考えるように黙り込んだ後に再び口を開く。
「今後の予定は?」
「そうですね……。万一の事態を避ける為にも早めに出立したいところではありますが、魔導具を見ていきたい気もしますね」
「同感ね」
「魔導具?」
自身が身に着けているブレスレットを一瞥するリオの言葉にクリスティーナは小さく頷く。
未だ機嫌は良くなさそうだが、必要な話し合いに応じない程ではないらしい。
ブレスレットの耐久面の問題。
アレットからブレスレットを受け取った際指摘されたそれを解決するには専用の魔導具が必要だ。
ニュイは魔導具の売買が盛んな地であるとノアが話していたこともある。魔導具を取り扱っている店を見て回れば運よく収穫があるかもしれない。
不必要に口を挟むことはないが、エリアスもまたクリスティーナとリオの言葉に賛成であった。その意志を示すように頷きを返す。
しかし事情を知らないオリヴィエだけは不思議そうに目を丸くし、首を傾ける。
それを見たリオはどこまで話しても良いものか判断に迷い、クリスティーナへ視線を向ける。
「魔族との接触を避ける為に有用な魔導具を受け取ったのだけれど、耐久面の心配が残っているの」
「そのデメリットを補えるような魔導具を探すようノア様から提案頂いてまして」
「なるほどな」
厄介事を身近へ持ち寄られることを忌避しているオリヴィエの心証はクリスティーナ達の滞在が長引けば長引く程悪いものとなるだろう。
しかし滞在が長引く理由こそ厄介事を避ける為に必要なことであるとなれば、それはオリヴィエにとっても悪い話ではなくなる。
そう考え、故に必要な選択であると判断したクリスティーナは大まかな説明を彼へ施す。
それを見届けたリオも補足を入れ、オリヴィエの反応を窺う。
事情を聞いたオリヴィエは難しい顔をし、何やら思い悩むような姿を見せるが、そこに訝しむ様や嫌悪は見られない。
「つまり特定の物を衝撃から守るような魔導具さえ見つかるならここに留まる理由もないと」
「もしくはこの街に探している代物がないとわかれば、ですかね」
リオの返答に頷きを返しながら、オリヴィエは更に考えを巡らせる。
クリスティーナ達は何か当てでもあるのだろうかと彼の言葉を待つ。
やがて考えが纏まったのか、オリヴィエはその顔から迷いを消して三人を見やる。
「あいつから聞いてるなら知っているかもしれないが、それ系統の魔導具は多くない。店にある可能性は低いだろうな」
「はい。ですが可能性が皆無でないのであれば探す価値はあるかと」
「まあ、確かにゼロではないが……そうだな」
オリヴィエは懐から一通の封筒を取り出した。
やがてその足が大きな十字路へ辿り着いたところでオリヴィエは足を止める。
「この辺りでいいだろ。国境は西の道を直進。宿をとるなら北にいくつかあるはずだ」
「ご同行ありがとうございました」
「別に」
虫の居所が悪いクリスティーナの代わりにとリオが頭を下げる。
オリヴィエはそれに素っ気なく言葉を返した。そして暫し考えるように黙り込んだ後に再び口を開く。
「今後の予定は?」
「そうですね……。万一の事態を避ける為にも早めに出立したいところではありますが、魔導具を見ていきたい気もしますね」
「同感ね」
「魔導具?」
自身が身に着けているブレスレットを一瞥するリオの言葉にクリスティーナは小さく頷く。
未だ機嫌は良くなさそうだが、必要な話し合いに応じない程ではないらしい。
ブレスレットの耐久面の問題。
アレットからブレスレットを受け取った際指摘されたそれを解決するには専用の魔導具が必要だ。
ニュイは魔導具の売買が盛んな地であるとノアが話していたこともある。魔導具を取り扱っている店を見て回れば運よく収穫があるかもしれない。
不必要に口を挟むことはないが、エリアスもまたクリスティーナとリオの言葉に賛成であった。その意志を示すように頷きを返す。
しかし事情を知らないオリヴィエだけは不思議そうに目を丸くし、首を傾ける。
それを見たリオはどこまで話しても良いものか判断に迷い、クリスティーナへ視線を向ける。
「魔族との接触を避ける為に有用な魔導具を受け取ったのだけれど、耐久面の心配が残っているの」
「そのデメリットを補えるような魔導具を探すようノア様から提案頂いてまして」
「なるほどな」
厄介事を身近へ持ち寄られることを忌避しているオリヴィエの心証はクリスティーナ達の滞在が長引けば長引く程悪いものとなるだろう。
しかし滞在が長引く理由こそ厄介事を避ける為に必要なことであるとなれば、それはオリヴィエにとっても悪い話ではなくなる。
そう考え、故に必要な選択であると判断したクリスティーナは大まかな説明を彼へ施す。
それを見届けたリオも補足を入れ、オリヴィエの反応を窺う。
事情を聞いたオリヴィエは難しい顔をし、何やら思い悩むような姿を見せるが、そこに訝しむ様や嫌悪は見られない。
「つまり特定の物を衝撃から守るような魔導具さえ見つかるならここに留まる理由もないと」
「もしくはこの街に探している代物がないとわかれば、ですかね」
リオの返答に頷きを返しながら、オリヴィエは更に考えを巡らせる。
クリスティーナ達は何か当てでもあるのだろうかと彼の言葉を待つ。
やがて考えが纏まったのか、オリヴィエはその顔から迷いを消して三人を見やる。
「あいつから聞いてるなら知っているかもしれないが、それ系統の魔導具は多くない。店にある可能性は低いだろうな」
「はい。ですが可能性が皆無でないのであれば探す価値はあるかと」
「まあ、確かにゼロではないが……そうだな」
オリヴィエは懐から一通の封筒を取り出した。
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