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第二章―魔法国家フォルトゥナ 『魔導師に潜む闇』
35-1.冒険者ギルド
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訓練中、クリスティーナは小さくため息を吐く。
結局フォルトゥナに滞在してから一週間が経過してしまっていた。
魔晶石を壊すことはなくなったものの、それ以降の進捗は芳しくい。
魔力の流れを辿ろうとしても途中で途切れてしまい、上手く循環の動きを把握することが出来ないのだ。
リオも苦戦しているようで、互いに同じような工程を繰り返す日々が続いていた。
ノアの声掛けで休憩を挟むが、訓練の指揮を執る彼の顔色は実践に励むクリスティーナ達のものより酷い。
「……大丈夫か?」
一週間の内に何度も見たその様子に慣れ始めたエリアスは最早体調不良の原因を聞くという過程をすっ飛ばして声を掛ける。
その言葉にノアは弱々しく首を振って答える。
「大丈夫じゃない……気持ち悪い……」
「お嬢様、お酒を嗜むようになってもこうはなってはいけませんよ」
二日酔いに苦しむ魔導師を冷ややかな目で見降ろしながらリオが言った。
イニティウム皇国での成人は十六から。望めばクリスティーナも酒を飲める年ではあるのだが、一度試した時の酒の度数が高く美味しさがわからなかった経験から、社交界の付き合い以外で進んで飲むことはしてこなかった。
そしてこの旅が続く間は酒に溺れるような余裕もないだろうが。しかしあまりにも情けない年上の姿を見て、これから先もこんな惨めな姿を晒す大人にはなるまいと密かに誓ったのだった。
「断ればいいじゃない」
「うーん、それはそうなんだけどね……。普段は学校に籠りがちだから、こういう時くらいしか会えなくてさ。会いたいって言ってくれるのが嬉しくて無下にできないんだよねぇ」
それで体調を崩していたら本末転倒ではないかと思うのだが、彼が頼みを断らない性格なのは毎度目にする道草の多さが物語っている。
「でも、魔晶石の方はクリスが安定して作れるようになったから俺が作る必要もなくなったしだいぶ楽になったよ」
自分の魔力量やクリスティーナの作る魔晶石の質の高さを考えたノアは二日目から訓練の効率化を図った。
クリスティーナが魔晶石を作り、リオがそれを消費して魔法を使用する。
慣れが生じていること、そしてノアが言った様に魔晶石の生成の際に恵まれてか、クリスティーナは質の良い魔晶石を回転率高く作れるようになっていた。
リオが一つの魔晶石を使い切る頃には魔晶石が三から四つ、調子のいい時は五つ程作れるようになった為、使い切った魔晶石よりも生成される魔晶石の数の方が上回るようになっている。
お陰でタイムロスもなく各々が訓練に集中できる仕組みが確立したのだった。
しかしこの効率化作業は決して二日酔いの飲んだくれの為のものではない。
クリスティーナがため息を吐くと、今の空気に気まずさを感じたのかノアが素早く話題をすり変えた。
「あ、そういえば、冒険者に興味あるって話だったよね」
突然の話題の転換に数秒反応が遅れる。
しかし記憶を遡れば確かにその様な話をした覚えがある。
「ええ」
「なら、今日は少し早く切り上げて寄り道をしよう」
ノアの提案にクリスティーナは瞬きをする。
いつもよりも数時間早く訓練を切り上げた一行は彼の案内で街まで戻ることとなったのだった。
結局フォルトゥナに滞在してから一週間が経過してしまっていた。
魔晶石を壊すことはなくなったものの、それ以降の進捗は芳しくい。
魔力の流れを辿ろうとしても途中で途切れてしまい、上手く循環の動きを把握することが出来ないのだ。
リオも苦戦しているようで、互いに同じような工程を繰り返す日々が続いていた。
ノアの声掛けで休憩を挟むが、訓練の指揮を執る彼の顔色は実践に励むクリスティーナ達のものより酷い。
「……大丈夫か?」
一週間の内に何度も見たその様子に慣れ始めたエリアスは最早体調不良の原因を聞くという過程をすっ飛ばして声を掛ける。
その言葉にノアは弱々しく首を振って答える。
「大丈夫じゃない……気持ち悪い……」
「お嬢様、お酒を嗜むようになってもこうはなってはいけませんよ」
二日酔いに苦しむ魔導師を冷ややかな目で見降ろしながらリオが言った。
イニティウム皇国での成人は十六から。望めばクリスティーナも酒を飲める年ではあるのだが、一度試した時の酒の度数が高く美味しさがわからなかった経験から、社交界の付き合い以外で進んで飲むことはしてこなかった。
そしてこの旅が続く間は酒に溺れるような余裕もないだろうが。しかしあまりにも情けない年上の姿を見て、これから先もこんな惨めな姿を晒す大人にはなるまいと密かに誓ったのだった。
「断ればいいじゃない」
「うーん、それはそうなんだけどね……。普段は学校に籠りがちだから、こういう時くらいしか会えなくてさ。会いたいって言ってくれるのが嬉しくて無下にできないんだよねぇ」
それで体調を崩していたら本末転倒ではないかと思うのだが、彼が頼みを断らない性格なのは毎度目にする道草の多さが物語っている。
「でも、魔晶石の方はクリスが安定して作れるようになったから俺が作る必要もなくなったしだいぶ楽になったよ」
自分の魔力量やクリスティーナの作る魔晶石の質の高さを考えたノアは二日目から訓練の効率化を図った。
クリスティーナが魔晶石を作り、リオがそれを消費して魔法を使用する。
慣れが生じていること、そしてノアが言った様に魔晶石の生成の際に恵まれてか、クリスティーナは質の良い魔晶石を回転率高く作れるようになっていた。
リオが一つの魔晶石を使い切る頃には魔晶石が三から四つ、調子のいい時は五つ程作れるようになった為、使い切った魔晶石よりも生成される魔晶石の数の方が上回るようになっている。
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しかしこの効率化作業は決して二日酔いの飲んだくれの為のものではない。
クリスティーナがため息を吐くと、今の空気に気まずさを感じたのかノアが素早く話題をすり変えた。
「あ、そういえば、冒険者に興味あるって話だったよね」
突然の話題の転換に数秒反応が遅れる。
しかし記憶を遡れば確かにその様な話をした覚えがある。
「ええ」
「なら、今日は少し早く切り上げて寄り道をしよう」
ノアの提案にクリスティーナは瞬きをする。
いつもよりも数時間早く訓練を切り上げた一行は彼の案内で街まで戻ることとなったのだった。
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