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22 識別不明の敵性生物
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通常の狼より遥かに鋭く巨大な凶悪な牙を持ち
その爪や腕の付け根は装甲で覆われるかの如く甲殻化しており
その獣は通常の野生動物と呼ぶには余りに禍々しかった
(アデス種としてのデータベースに該当は無い
狼種は既に23世紀の時点で絶滅が確認されている...
脅威には変わりない、排除すべき対象と認識する)
状況を観測しつつペースを落とす事無く距離を詰める
白いローブの男の一人が手に持った棒状の武器を構えると
「***********」
何か言葉を発している
今の距離ではハッキリとは聞き取れないが
セルヴィが発していたのと同種の発音である様だ、直後
ボゥ!
直系50cm程の火の玉が武器の前に現れ猛獣目掛け放たれる
(何だあれは!?)
しかし猛獣は意図も容易いという風に
ギリギリで身を反らせ炎を躱す
そのままの勢いを維持したまま
その口を大きく開き炎を放った男へととびかかる
「うぁあああああっ!」
武器を握ったまま男の腕が地面へと転がり絶叫を上げる
直後翻った猛獣の太い腕により頭部が踏みつぶされ絶叫は途切れる
(くっ!急がねば!)
疾風の如く走る足に咥え背部スラスターから
青白い光を背後に放ちブーストを掛け加速していく
「右腕フィールド‼」
右腕を弓を引くように引き手刀を構えると
薄っすらと右腕全体が淡い光を纏われる
巨大な狼が此方に気付き咆哮を上げようとしたその時
その勢いのまま手刀を顎の付け根から胴体事
横一線に引き裂く
(...っ、脆い?)
狼型の獣はそのまま体を2つに分け崩れ去る
「ぐぁあああっ!」
「*****!!」
直後、馬車の影になっていた方から男の叫びと女性の声が響く
「ちっ!」
直ぐにその場からバク転する様に馬車を飛び越え5m程飛翔する
馬車の向こう側には肩を地に染め抑え転がる者が一人
馬車に背を預ける様に座り込む小柄なが物が一人
3匹の狼型の獣に囲まれ追い込まれていた
「フォトンレーザー通常出力・収束モード、頭部精密照準!」
そのまま空中で右腕を突き出し、その腕の装甲の隙間から
細い光の閃が3本放たれると狼たちの頭部から顎下まで一瞬にして貫いた
頭部に小さな穴を空けた狼たちはそのまま次々と倒れ込み絶命する
少し遅れて倒れた者の前に着地する
直ぐに倒れた男の状態を確認するが
肩口から噛み千切られたと思われる部分は大きく消失しており
傷口は肺にも達し、もう絶命する寸前となっている
この状態では高度な治療施設が近場にあればともかく
手持ちのメディカルキットでは手遅れな状態であった
息も絶え絶えの男の口が微かに動く
「#^!&*...(*$!(&$...!^#&!%...」
(この言葉は...)
前に殆ど同じ音の言葉を聞いた事があった
降下した都市で自分にレールガンを託した眼帯の老戦士だ
そして男は僅かに背後に視線を向ける
視線の先には最後の一人
白いフードを被った、まだ少女であろうか
線の細い女性が肩を震わせてへたり込んでいた
(そうか、この言葉は...)
ーせめて...あの娘だけでも...-
その意味が何と無く理解出来た
その時
認識センサーが接近するセルヴィと
そちらに急速に接近する音源を捕らえる
(しまったっ)
見やると森から出て来た彼女が此方に此方に向かってきている
その横50m程から他に生き残りが居たのだろう
先程と同種の狼の獣が猛スピードで迫りつつあった
「くそっ!!」
その距離を精密射撃出来るレーザーの出力を溜めるには時間が足りなかった
全力でバーニアを噴かせセルヴィの元へと翔ける
(フィールドは間に合わない!腕一本犠牲にしてでもっ!)
正に狼が少女に飛び掛かりその牙で頭を噛み砕かんと迫ったその時
かばう様に少女と狼と間にギリギリ腕を差し込む
ガチィッ!!
失う覚悟で少女の盾にと突き出した腕
見やるとそこには
グルルッ!!
ガチチッギチッ
右腕に噛み付いた狼は必死に食いちぎろうと顎に力を入れている様だったが
金属と牙が擦れる音を立てるばかりで漆黒の装甲に傷一つ付けては居なかった
それ所か牙の何本かがへし折れてしまっている
次の瞬間即座にもう片方の腕で首を切り落とす
右腕を振り下ろし、噛み付いたままだった頭部を振り払う
(どういう事だ...?やはりこの生物はアデスでは無いのか?
であれば最弱のインファント級・ビースト級ですらこんな脆弱なはずはない)
考え込んでいると
「%^$...」
すぐ脇に居たセルヴィが申し訳なさそうに此方を見ている
その表情からするに謝っているのだろう
気にしなくていい、そういってやりたいが言葉が無い
ゆっくりと片手を上げると、一瞬動きを止めた後
彼女の頭に当て、左右にそっと撫でる
一瞬動きを止めたのは他人種・他文化圏の者と交流する際
些細な所作一つが尊厳を傷付けるな行為、不快、暴力的行為と取られる事も有り
中には頭に触れるという行為は時代・人物によっては大罪と見られる事も有る為だ
どうやらその様な心配は杞憂だった様である
セルヴィは手が触れた瞬間一瞬驚きの表情を浮かべたが
直ぐに先程の沈み込んだ表情に陽が差していた
そして周囲を再度確認し
これ以上敵性生物が居ない事を確認の後
先程のローブの少女の元へと戻る
その後ろをセルヴィも付いてくる
戻ると少女は先程亡くなった男の横で涙を流していた
正直話しかける事が出来ないこの状況は非常に苦しかった
そっとセルヴィの方を見ると意を察してくれたのか
僅かに頷きローブの少女の横に付くと静かに話しかける
静かにその場から立ち上がると、再度周囲をゆっくりと警戒して回る
やはりあれ以上の敵は確認出来ない
馬車を囲う様に、先程絶命した男も含め4体の遺体が倒れていた
それぞれが持っていた武器らしき物を確認する
(あの炎は玉は一体どんな原理で発生しているんだ?
火炎放射器の一種なのか?)
その一つを手に取りスキャンするも
そこからは一切の熱・電気を始め燃焼形の化合物の類は一切感知出来なかった
また19世紀以前まで使われていた馬車と思われる乗り物の
馬があるべき場所に繋がれている機械と思われる人工物についても同様に
稼動部位の動作原理は非常に単純に見えたが
一切のエネルギーの類は感知出来なかった
自分が知る機械工学・科学技術との類似性を探るも
明確な理解に至るポイントは見当たらなかった
(どれ程の時が経っているのだろうか...)
言語・技術、そのどれもが今まで経験した事が無い程
自分の中の既存の知識とは大きくかけ離れている事から
相当な月日が経過している事であろう事を推測出来た
引き続き可能な限り周囲の情報を収集する
陽が傾き夕暮れに差し掛かった頃
セルヴィがゆっくりと此方に歩いてくる
話が付いたのだろう、後ろでローブの少女が立ち上がるのが見える
すると徐にローブの少女は馬車からスコップを取り出し
直ぐ横に穴を掘り始める
近寄り手を差し出し手伝う意思を伝えるが
少女はゆっくりと顔を横に振った
彼女自身の手で行いたいという事なのだろう
辺りが完全にオレンジ色の夕日に包まれた頃
馬車の横には4つの長細く埋められた跡と
その上に小石が積み上げられそれぞれの武器が掲げられている
その前にローブの少女は跪き、両手を組み目を閉じている
死者の弔いに関する概念は変わらない物だった
未知の武器については惜しい気もするが今は優先させるべき事ではない
この世界では人の尊厳の価値はそれ程までに重みを保てているという事なのだろう
暫くすると少女が立ち上がり此方にゆっくりと歩いて来た
セルヴィ達の前に来ると少女は土に汚れ所々裂けて痛んだローブを脱ぎ
ゆっくりと、そして深く此方に礼をし何事かゆっくりと言葉を発する
恐らく例の類の言葉なのだろう、隣の少女が相槌に言葉を幾つか返している
その服装は全体的に露出が非常に少なく白をベースに
青の柄を取り入れ所々金縁の刺繍が施されており
何かの神聖的・宗教的なイメージを連想させる物だった
(この時代の聖職者・シスター、の様なものか...?)
しかし記憶にあるシスターの様な黒は無く
また、足元はある程度動く事を前提に作られているのか
長いスカートが中央で垂れ布を挟み分かれている
修道女(シスター)と言うより神官というイメージが合うかもしれない
セルヴィより背は若干高いがそれ程年は離れていないように見える
同じく彼女にもサイバネティック処置を施された形跡は見られない
外見相応と判断して良いだろう
青緑のおっとりとした落ち着きある瞳にクリーム色のロングヘア—が僅かにウェーブ掛かっている
服装と相まって非常に誠実そうな少女に見える
すると少女は馬車の中から布を取り出してこちらに差し出してくる
タオルや手ぬぐいの類のものであろう
しかし発汗等の不要な生理代謝は停止している今の自分には不要に思えたが
どうして良い物か暫く立ち尽くしていると
セルヴィがそれを受け取り小さい背を背伸びしながら頬に当ててきた
(ああ、そうか)
顔から離された布を見ると、それは真っ赤に染まっていた
その時初めて自分が返り血に染まっている事を理解する
通常アデスの体は自然界の生物とは異なる特有の組成をしており
血液に類する物はあるが外気と触れると数十秒で完全に気化してしまうのである
(やはり違うのか...)
その爪や腕の付け根は装甲で覆われるかの如く甲殻化しており
その獣は通常の野生動物と呼ぶには余りに禍々しかった
(アデス種としてのデータベースに該当は無い
狼種は既に23世紀の時点で絶滅が確認されている...
脅威には変わりない、排除すべき対象と認識する)
状況を観測しつつペースを落とす事無く距離を詰める
白いローブの男の一人が手に持った棒状の武器を構えると
「***********」
何か言葉を発している
今の距離ではハッキリとは聞き取れないが
セルヴィが発していたのと同種の発音である様だ、直後
ボゥ!
直系50cm程の火の玉が武器の前に現れ猛獣目掛け放たれる
(何だあれは!?)
しかし猛獣は意図も容易いという風に
ギリギリで身を反らせ炎を躱す
そのままの勢いを維持したまま
その口を大きく開き炎を放った男へととびかかる
「うぁあああああっ!」
武器を握ったまま男の腕が地面へと転がり絶叫を上げる
直後翻った猛獣の太い腕により頭部が踏みつぶされ絶叫は途切れる
(くっ!急がねば!)
疾風の如く走る足に咥え背部スラスターから
青白い光を背後に放ちブーストを掛け加速していく
「右腕フィールド‼」
右腕を弓を引くように引き手刀を構えると
薄っすらと右腕全体が淡い光を纏われる
巨大な狼が此方に気付き咆哮を上げようとしたその時
その勢いのまま手刀を顎の付け根から胴体事
横一線に引き裂く
(...っ、脆い?)
狼型の獣はそのまま体を2つに分け崩れ去る
「ぐぁあああっ!」
「*****!!」
直後、馬車の影になっていた方から男の叫びと女性の声が響く
「ちっ!」
直ぐにその場からバク転する様に馬車を飛び越え5m程飛翔する
馬車の向こう側には肩を地に染め抑え転がる者が一人
馬車に背を預ける様に座り込む小柄なが物が一人
3匹の狼型の獣に囲まれ追い込まれていた
「フォトンレーザー通常出力・収束モード、頭部精密照準!」
そのまま空中で右腕を突き出し、その腕の装甲の隙間から
細い光の閃が3本放たれると狼たちの頭部から顎下まで一瞬にして貫いた
頭部に小さな穴を空けた狼たちはそのまま次々と倒れ込み絶命する
少し遅れて倒れた者の前に着地する
直ぐに倒れた男の状態を確認するが
肩口から噛み千切られたと思われる部分は大きく消失しており
傷口は肺にも達し、もう絶命する寸前となっている
この状態では高度な治療施設が近場にあればともかく
手持ちのメディカルキットでは手遅れな状態であった
息も絶え絶えの男の口が微かに動く
「#^!&*...(*$!(&$...!^#&!%...」
(この言葉は...)
前に殆ど同じ音の言葉を聞いた事があった
降下した都市で自分にレールガンを託した眼帯の老戦士だ
そして男は僅かに背後に視線を向ける
視線の先には最後の一人
白いフードを被った、まだ少女であろうか
線の細い女性が肩を震わせてへたり込んでいた
(そうか、この言葉は...)
ーせめて...あの娘だけでも...-
その意味が何と無く理解出来た
その時
認識センサーが接近するセルヴィと
そちらに急速に接近する音源を捕らえる
(しまったっ)
見やると森から出て来た彼女が此方に此方に向かってきている
その横50m程から他に生き残りが居たのだろう
先程と同種の狼の獣が猛スピードで迫りつつあった
「くそっ!!」
その距離を精密射撃出来るレーザーの出力を溜めるには時間が足りなかった
全力でバーニアを噴かせセルヴィの元へと翔ける
(フィールドは間に合わない!腕一本犠牲にしてでもっ!)
正に狼が少女に飛び掛かりその牙で頭を噛み砕かんと迫ったその時
かばう様に少女と狼と間にギリギリ腕を差し込む
ガチィッ!!
失う覚悟で少女の盾にと突き出した腕
見やるとそこには
グルルッ!!
ガチチッギチッ
右腕に噛み付いた狼は必死に食いちぎろうと顎に力を入れている様だったが
金属と牙が擦れる音を立てるばかりで漆黒の装甲に傷一つ付けては居なかった
それ所か牙の何本かがへし折れてしまっている
次の瞬間即座にもう片方の腕で首を切り落とす
右腕を振り下ろし、噛み付いたままだった頭部を振り払う
(どういう事だ...?やはりこの生物はアデスでは無いのか?
であれば最弱のインファント級・ビースト級ですらこんな脆弱なはずはない)
考え込んでいると
「%^$...」
すぐ脇に居たセルヴィが申し訳なさそうに此方を見ている
その表情からするに謝っているのだろう
気にしなくていい、そういってやりたいが言葉が無い
ゆっくりと片手を上げると、一瞬動きを止めた後
彼女の頭に当て、左右にそっと撫でる
一瞬動きを止めたのは他人種・他文化圏の者と交流する際
些細な所作一つが尊厳を傷付けるな行為、不快、暴力的行為と取られる事も有り
中には頭に触れるという行為は時代・人物によっては大罪と見られる事も有る為だ
どうやらその様な心配は杞憂だった様である
セルヴィは手が触れた瞬間一瞬驚きの表情を浮かべたが
直ぐに先程の沈み込んだ表情に陽が差していた
そして周囲を再度確認し
これ以上敵性生物が居ない事を確認の後
先程のローブの少女の元へと戻る
その後ろをセルヴィも付いてくる
戻ると少女は先程亡くなった男の横で涙を流していた
正直話しかける事が出来ないこの状況は非常に苦しかった
そっとセルヴィの方を見ると意を察してくれたのか
僅かに頷きローブの少女の横に付くと静かに話しかける
静かにその場から立ち上がると、再度周囲をゆっくりと警戒して回る
やはりあれ以上の敵は確認出来ない
馬車を囲う様に、先程絶命した男も含め4体の遺体が倒れていた
それぞれが持っていた武器らしき物を確認する
(あの炎は玉は一体どんな原理で発生しているんだ?
火炎放射器の一種なのか?)
その一つを手に取りスキャンするも
そこからは一切の熱・電気を始め燃焼形の化合物の類は一切感知出来なかった
また19世紀以前まで使われていた馬車と思われる乗り物の
馬があるべき場所に繋がれている機械と思われる人工物についても同様に
稼動部位の動作原理は非常に単純に見えたが
一切のエネルギーの類は感知出来なかった
自分が知る機械工学・科学技術との類似性を探るも
明確な理解に至るポイントは見当たらなかった
(どれ程の時が経っているのだろうか...)
言語・技術、そのどれもが今まで経験した事が無い程
自分の中の既存の知識とは大きくかけ離れている事から
相当な月日が経過している事であろう事を推測出来た
引き続き可能な限り周囲の情報を収集する
陽が傾き夕暮れに差し掛かった頃
セルヴィがゆっくりと此方に歩いてくる
話が付いたのだろう、後ろでローブの少女が立ち上がるのが見える
すると徐にローブの少女は馬車からスコップを取り出し
直ぐ横に穴を掘り始める
近寄り手を差し出し手伝う意思を伝えるが
少女はゆっくりと顔を横に振った
彼女自身の手で行いたいという事なのだろう
辺りが完全にオレンジ色の夕日に包まれた頃
馬車の横には4つの長細く埋められた跡と
その上に小石が積み上げられそれぞれの武器が掲げられている
その前にローブの少女は跪き、両手を組み目を閉じている
死者の弔いに関する概念は変わらない物だった
未知の武器については惜しい気もするが今は優先させるべき事ではない
この世界では人の尊厳の価値はそれ程までに重みを保てているという事なのだろう
暫くすると少女が立ち上がり此方にゆっくりと歩いて来た
セルヴィ達の前に来ると少女は土に汚れ所々裂けて痛んだローブを脱ぎ
ゆっくりと、そして深く此方に礼をし何事かゆっくりと言葉を発する
恐らく例の類の言葉なのだろう、隣の少女が相槌に言葉を幾つか返している
その服装は全体的に露出が非常に少なく白をベースに
青の柄を取り入れ所々金縁の刺繍が施されており
何かの神聖的・宗教的なイメージを連想させる物だった
(この時代の聖職者・シスター、の様なものか...?)
しかし記憶にあるシスターの様な黒は無く
また、足元はある程度動く事を前提に作られているのか
長いスカートが中央で垂れ布を挟み分かれている
修道女(シスター)と言うより神官というイメージが合うかもしれない
セルヴィより背は若干高いがそれ程年は離れていないように見える
同じく彼女にもサイバネティック処置を施された形跡は見られない
外見相応と判断して良いだろう
青緑のおっとりとした落ち着きある瞳にクリーム色のロングヘア—が僅かにウェーブ掛かっている
服装と相まって非常に誠実そうな少女に見える
すると少女は馬車の中から布を取り出してこちらに差し出してくる
タオルや手ぬぐいの類のものであろう
しかし発汗等の不要な生理代謝は停止している今の自分には不要に思えたが
どうして良い物か暫く立ち尽くしていると
セルヴィがそれを受け取り小さい背を背伸びしながら頬に当ててきた
(ああ、そうか)
顔から離された布を見ると、それは真っ赤に染まっていた
その時初めて自分が返り血に染まっている事を理解する
通常アデスの体は自然界の生物とは異なる特有の組成をしており
血液に類する物はあるが外気と触れると数十秒で完全に気化してしまうのである
(やはり違うのか...)
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