16 / 70
国王1
しおりを挟む
息子がおかしい。
恋に狂っていると言った方が正しいのかもしれん。
だがな、狂うにしても限度というものがある。
現状把握が全く出来ておらん。
アリス・ブロワの教育課程を一緒に観ていたというのに「成長している」とほざいた。
エドワードは「早足で歩いていた」というが、アレは、走っていたのだ!「歩き方もカーテシーも上手くなった」とも言ったな。
それはそうだろう。
王妃の命令で「矯正ロングコルセット」を身につけておるのだ。
普通のコルセットなら腰回りですんでいるが、特注で造らせた「矯正ロングコルセット」は太腿まで、はまるのだ。
素材も特注だ。
腰回りのコルセットはギブス素材を使っている。
あれでは“しな垂れかかる”ことは出来ん。
太腿のコルセットは普通素材を使用していたが、腰のコルセットと紐で繋がっているため走る事は困難だろう。嫌でも、淑やかに歩かなければならない。
「食事も静かでシェフに感謝を伝えている」と言うがな、それも王妃が、アリス嬢だけに特別デザートを用意させているからだろう。
クリームをたっぷりの甘ったるい菓子。観ているだけで胸やけしそうな菓子だ。
王妃が食後のデザートを餌に「静かに食べさせる」ことに成功している。シェフに感謝を伝えるにしても恐らく王妃の入れ知恵だろう。そうすれば「もっと美味しい菓子を用意してあげましょう」とでも言ったのだろう。そうでなければ、あの娘に、そんな芸当は出来ん。
シェフへのお礼の言葉は兎も角、他は観ていただろう!
アリス嬢が高位貴族の令嬢として初歩の段階を踏めたのは、彼女自身の努力でも何でもない!
特注コルセットと特別な菓子のお陰だ!
何故、それが分からんのだ!?
「エドワードは恋に盲目になっておる」
「今更なにを仰っているのです?前からではありませんか」
王妃に相談したら、呆れた表情と言葉が返っていた。
「いや…それはそうだが。あれは流石に見逃せないぞ?目の前で起こっている事が正確に把握出来ておらん。エドワードには公務も任せているものがあるのだ…大丈夫だろうか……」
「ご安心ください、陛下。エドワード殿下は公務は普通です。特に優秀という訳ではありませんが、特別に不出来という訳でもありません。可もなく不可もなく業務にあたっております。おかしくなるのは今のところ婚約者が関わった時だけです」
「そ…そうか……」
王妃が大丈夫だと言うのなら間違いはあるまい。
一部不穏な言葉を言われた気はするが大した事ではないだろう。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「矯正ロングコルセット」は、コルセットとガーターベルトと足した感じです(笑)
努力嫌いのやる気ゼロの令嬢には、強制的に出来るようにするアイテムが必要なんです!
恋に狂っていると言った方が正しいのかもしれん。
だがな、狂うにしても限度というものがある。
現状把握が全く出来ておらん。
アリス・ブロワの教育課程を一緒に観ていたというのに「成長している」とほざいた。
エドワードは「早足で歩いていた」というが、アレは、走っていたのだ!「歩き方もカーテシーも上手くなった」とも言ったな。
それはそうだろう。
王妃の命令で「矯正ロングコルセット」を身につけておるのだ。
普通のコルセットなら腰回りですんでいるが、特注で造らせた「矯正ロングコルセット」は太腿まで、はまるのだ。
素材も特注だ。
腰回りのコルセットはギブス素材を使っている。
あれでは“しな垂れかかる”ことは出来ん。
太腿のコルセットは普通素材を使用していたが、腰のコルセットと紐で繋がっているため走る事は困難だろう。嫌でも、淑やかに歩かなければならない。
「食事も静かでシェフに感謝を伝えている」と言うがな、それも王妃が、アリス嬢だけに特別デザートを用意させているからだろう。
クリームをたっぷりの甘ったるい菓子。観ているだけで胸やけしそうな菓子だ。
王妃が食後のデザートを餌に「静かに食べさせる」ことに成功している。シェフに感謝を伝えるにしても恐らく王妃の入れ知恵だろう。そうすれば「もっと美味しい菓子を用意してあげましょう」とでも言ったのだろう。そうでなければ、あの娘に、そんな芸当は出来ん。
シェフへのお礼の言葉は兎も角、他は観ていただろう!
アリス嬢が高位貴族の令嬢として初歩の段階を踏めたのは、彼女自身の努力でも何でもない!
特注コルセットと特別な菓子のお陰だ!
何故、それが分からんのだ!?
「エドワードは恋に盲目になっておる」
「今更なにを仰っているのです?前からではありませんか」
王妃に相談したら、呆れた表情と言葉が返っていた。
「いや…それはそうだが。あれは流石に見逃せないぞ?目の前で起こっている事が正確に把握出来ておらん。エドワードには公務も任せているものがあるのだ…大丈夫だろうか……」
「ご安心ください、陛下。エドワード殿下は公務は普通です。特に優秀という訳ではありませんが、特別に不出来という訳でもありません。可もなく不可もなく業務にあたっております。おかしくなるのは今のところ婚約者が関わった時だけです」
「そ…そうか……」
王妃が大丈夫だと言うのなら間違いはあるまい。
一部不穏な言葉を言われた気はするが大した事ではないだろう。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「矯正ロングコルセット」は、コルセットとガーターベルトと足した感じです(笑)
努力嫌いのやる気ゼロの令嬢には、強制的に出来るようにするアイテムが必要なんです!
129
お気に入りに追加
4,777
あなたにおすすめの小説
真実の愛だからと平民女性を連れて堂々とパーティーに参加した元婚約者が大恥をかいたようです。
田太 優
恋愛
婚約者が平民女性と浮気していたことが明らかになった。
責めても本気だと言い謝罪もなし。
あまりにも酷い態度に制裁することを決意する。
浮気して平民女性を選んだことがどういう結果をもたらすのか、パーティーの場で明らかになる。
えっ「可愛いだけの無能な妹」って私のことですか?~自業自得で追放されたお姉様が戻ってきました。この人ぜんぜん反省してないんですけど~
村咲
恋愛
ずっと、国のために尽くしてきた。聖女として、王太子の婚約者として、ただ一人でこの国にはびこる瘴気を浄化してきた。
だけど国の人々も婚約者も、私ではなく妹を選んだ。瘴気を浄化する力もない、可愛いだけの無能な妹を。
私がいなくなればこの国は瘴気に覆いつくされ、荒れ果てた不毛の地となるとも知らず。
……と思い込む、国外追放されたお姉様が戻ってきた。
しかも、なにを血迷ったか隣国の皇子なんてものまで引き連れて。
えっ、私が王太子殿下や国の人たちを誘惑した? 嘘でお姉様の悪評を立てた?
いやいや、悪評が立ったのも追放されたのも、全部あなたの自業自得ですからね?
結婚式間近に発覚した隠し子の存在。裏切っただけでも問題なのに、何が悪いのか理解できないような人とは結婚できません!
田太 優
恋愛
結婚して幸せになれるはずだったのに婚約者には隠し子がいた。
しかもそのことを何ら悪いとは思っていない様子。
そんな人とは結婚できるはずもなく、婚約破棄するのも当然のこと。
待ち合わせの時間になっても婚約者は迎えに来ませんでした。平民女性と駆け落ちしたですって!?
田太 優
恋愛
待ち合わせの時間になっても婚約者は迎えに来なかった。
そして知らされた衝撃の事実。
婚約者は駆け落ちしたのだ。
最初から意中の相手がいたから私は大切にされなかったのだろう。
その理由が判明して納得できた。
駆け落ちされたのだから婚約破棄して慰謝料を請求しないと。
結婚を先延ばしにされたのは婚約者が妹のことを好きだったからでした。妹は既婚者なので波乱の予感しかしません。
田太 優
恋愛
結婚を先延ばしにされ続け、私は我慢の限界だった。
曖昧な態度を取り続ける婚約者に婚約破棄する覚悟で結婚する気があるのか訊いたところ、妹のことが好きだったと言われ、婚約を解消したいと言われた。
妹は既婚者で夫婦関係も良好。
もし妹の幸せを壊そうとするなら私は容赦しない。
愛することはないと言われて始まったのですから、どうか最後まで愛さないままでいてください。
田太 優
恋愛
「最初に言っておく。俺はお前を愛するつもりはない。だが婚約を解消する意思もない。せいぜい問題を起こすなよ」
それが婚約者から伝えられたことだった。
最初から冷めた関係で始まり、結婚してもそれは同じだった。
子供ができても無関心。
だから私は子供のために生きると決意した。
今になって心を入れ替えられても困るので、愛さないままでいてほしい。
【完結】婿入り予定の婚約者は恋人と結婚したいらしい 〜そのひと爵位継げなくなるけどそんなに欲しいなら譲ります〜
早奈恵
恋愛
【完結】ざまぁ展開あります⚫︎幼なじみで婚約者のデニスが恋人を作り、破談となってしまう。困ったステファニーは急遽婿探しをする事になる。⚫︎新しい相手と婚約発表直前『やっぱりステファニーと結婚する』とデニスが言い出した。⚫︎辺境伯になるにはステファニーと結婚が必要と気が付いたデニスと辺境伯夫人になりたかった恋人ブリトニーを前に、ステファニーは新しい婚約者ブラッドリーと共に対抗する。⚫︎デニスの恋人ブリトニーが不公平だと言い、デニスにもチャンスをくれと縋り出す。⚫︎そしてデニスとブラッドが言い合いになり、決闘することに……。
私と一緒にいることが苦痛だったと言われ、その日から夫は家に帰らなくなりました。
田太 優
恋愛
結婚して1年も経っていないというのに朝帰りを繰り返す夫。
結婚すれば変わってくれると信じていた私が間違っていた。
だからもう離婚を考えてもいいと思う。
夫に離婚の意思を告げたところ、返ってきたのは私を深く傷つける言葉だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる