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王妃2
しおりを挟む耳が遠くなったのでしょうか?
それとも幻聴?
「王妃が相手ならばアリス嬢も大人しく従うと思うのだ」
……どうやら歳のせいではないようです。陛下は本気なのですね。本気であのような令嬢を相手に教育を施せと仰っているのですね。
捨てられて犬のように頼みこむ姿はとても一国の王とは思えません。
折角の美貌も陛下自身の態度で残念な事になっております。
「王妃、頼まれてくれないか」
他に適任者がいないとなれば致し方ないのかもしれません。ですが、私だけの指導という訳にはいきません。
「……陛下の仰ることも一理あります」
「おお!!王妃、ありがとう。本当にありがとう!」
現金な方ですね。
まだ指導を了承した訳でもないというのに。
既に陛下の頭の中では、私が受け入れた事になっているのでしょう。
「ただ、妃教育を施す条件がございます」
「じょう…けん?」
「はい。アリス嬢の教育には陛下も参加していただきます」
「なに!?わ、私もか?」
「はい。私一人で指導するよりも未来の義父である陛下も一緒の方がアリス嬢も安心なさるのではないでしょうか?なにしろ、私とエドワード殿下とは生さぬ仲の間柄。姑の嫁いびりとは思わないでしょうけれど、双方で行き違いがあってはなりませんもの」
「王妃……」
「それでもアリス嬢が不安だと仰るようならエドワード殿下にも参加していただきましょう」
「エドワードもか?」
「はい。愛する殿下が傍で見守っていてくれた方がやる気も起きるかと思われます」
「おおおお!!確かにその通りだ!うむ。そうしよう!」
陛下は理解していません。
実質、王族三名による前代未聞の妃教育の意味を。
これでアリス・ブロワには後がありません。
まぁ、始めから後などありませんが、エドワードと共に落ちるだけ落ちていくのを見届けるしかありません。
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