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18.望まぬ結婚 その三(ソフィアside)

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 目覚めると、ラヴィル様は傍にいませんでした。
 代わりに年配の侍女がいました。

「お目覚めですか、ソフィア様?」
「……ええ」

 喉がヒリヒリします。
 体も怠くて……起き上がるのに苦労しました。

「お疲れ様でした。湯浴みの準備が整っております。こちらに控えておりますメイド達がソフィア様の世話をさせていただきます。私は旦那様にご報告がありますので、これで失礼致します」

 年配の侍女はそれだけ言うと部屋から出て行きました。
 どういうことでしょう?
 訳が分からないまま、数人のメイド達に湯浴みをさせられました。
 怠くて思うように体が動かないので、とても助かりました。
 それからメイドに食事をさせられ……着替えも手伝ってもらい……気が付けば夕方になっていました。
 私が起きたのが昼過ぎだったので、随分眠っていたようです。
 メイド達は一言も話しませんでした。
 黙々と私のお世話をするだけ。
 まるで人形のよう……

「お部屋に案内いたします」
「お願いしますわ」

 案内された部屋は、別の場所でした。
 あの部屋に案内されるとばかり思っていましたのに。

「ご用がありましたらお呼びください」

 メイド達はそれだけ言うと部屋から出て行きました。
 一人きりになった途端。

「うっ……ううっ……」

 涙が溢れてきました。
 もう訳が分かりません。

 何故こんなことに。
 私がなにをしたと言うのです!
 なにもしていないではありませんか!

「酷い……酷すぎます……」

 初夜だというのに、愛の言葉一つなく。
 義務のように抱かれました。

「こんな結婚……あんまりです」

 涙が止まりません。
 泣きすぎて頭痛がします。
 もう訳が分からないまま、私は泣き続けました。
 翌日もメイド達は無言で私のお世話をしました。
 お食事の用意と着替えに湯浴み。
 それだけをして黙って部屋を出て行きます。

 会話すらないなんて……。

 この時の私は気付いていなかったのです。

 案内された部屋がだったことも。
 子供を最低三人は産まなければならないことも。
 
 私は何一つ知らないまま……ただ泣き続けました。








 結婚後もラヴィル様と個人的な交流はありません。
 子供を作るだけの行為以外は一切ないのです。
 私は子供を産むための存在としてのみ存在を許されているようでした。

 公爵領に来てからも同じこと。
 夫婦らしい、妻らしい扱いを受けることはありませんでした。

 ただ、義務的に抱かれる日々。
 子供だけが増えていく。
 いつしか私は男性を恐れるようになっていきました。
 近付くだけで震えが止まらなくなるのです。
 そんな私にラヴィル様は苛立ちを覚えるようになったのでしょう。
 当たりがどんどん酷くなっていきました。

 私が男性を怖がるようになった最初の原因はラヴィル様ですが、彼だけが全ての原因ではありません。
 父と兄もその対象でした。
 最初の子、長男が生まれた時に実家に帰省したのですが、その時に……

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