57 / 82
200年後
54.勇者召喚2
しおりを挟む
「警戒されてるってことだよ」
「警戒?」
「そう。神殿側としてはこれ以上、モンティーヌ聖教国に力を持たれたら困るってヤツだよ。あ、この場合軍事力とかじゃなくて信仰心の方ね」
「……それって……」
「フランにも心当たりあるでしょ?」
「ここ数年、モンティーヌ聖教国の神殿に詣でる人が増えていますけど……まさか……」
「そのまさかだよ。モンティーヌ聖教国は大聖女フランが居るばかりか次世代の聖女を輩出している。まぁ、それは良い事なんだけど、それによってモンティーヌ聖教国を神聖視する人間が増えてきている。この国の神殿ってフラン信者ばっかりだしね。枢機卿団が何か言ってもいうこと聞かないし。他の神殿側からしたら、モンティーヌ聖教国の力を削ぎたいっていうのが本音だろうね」
いつの間にか信仰の対象にされていた。
私、別にそんなつもりないんだけど。
観光で潤っていると思っていたら、まさかの聖地巡礼だった。
「なんか……ごめんなさい?」
思わず謝ってしまった。
いや、謝ることでもないんだろうけど。
「別に謝らなくても良いよ。僕としては全く問題ないから。むしろ大歓迎。フラン信者が増えれば増えるほど、神殿の立場が弱くなる。ということは枢機卿団の影響力が弱まる。良い事づくしだ」
ブレない。
ゴールド枢機卿の神殿嫌いは筋金入りだった。
「だからフランには悪いけど、勇者召喚については傍観者でいて欲しいんだ」
「傍観?」
「うん。勇者を召喚した後も極力関わらないでいて欲しい」
「それは別に構いませんけど……いいんですか?」
「うん。一応、召喚の儀には立ち会ってもらうけどね」
「立ち会うんだ……」
「近日中に招待状が届くと思うよ」
「わかりました」
こうして私は勇者召喚に立ち会うことになったのだった。
ゴールド枢機卿の言った通り、枢機卿団から勇者召喚の儀への招待状が届いた。
日程は二か月後。
場所は元ロベール王国の跡地。
「えぇ……なんでまた……」
思わずそう呟いてしまったのも仕方がないと思う。
まさかここにきて、あの国が。いや、もう国じゃないけど……国じゃないけど……枢機卿団の肝いりの土地ではあるけど……よりにもよってなんでその場所で勇者召喚をするのよ!
嫌がらせ?
これって私に対する嫌がらせ?嫌がらせなの? ちょっと怒りがこみ上げてくる。
「意義申し立てしたい」
無理だけど。
「警戒?」
「そう。神殿側としてはこれ以上、モンティーヌ聖教国に力を持たれたら困るってヤツだよ。あ、この場合軍事力とかじゃなくて信仰心の方ね」
「……それって……」
「フランにも心当たりあるでしょ?」
「ここ数年、モンティーヌ聖教国の神殿に詣でる人が増えていますけど……まさか……」
「そのまさかだよ。モンティーヌ聖教国は大聖女フランが居るばかりか次世代の聖女を輩出している。まぁ、それは良い事なんだけど、それによってモンティーヌ聖教国を神聖視する人間が増えてきている。この国の神殿ってフラン信者ばっかりだしね。枢機卿団が何か言ってもいうこと聞かないし。他の神殿側からしたら、モンティーヌ聖教国の力を削ぎたいっていうのが本音だろうね」
いつの間にか信仰の対象にされていた。
私、別にそんなつもりないんだけど。
観光で潤っていると思っていたら、まさかの聖地巡礼だった。
「なんか……ごめんなさい?」
思わず謝ってしまった。
いや、謝ることでもないんだろうけど。
「別に謝らなくても良いよ。僕としては全く問題ないから。むしろ大歓迎。フラン信者が増えれば増えるほど、神殿の立場が弱くなる。ということは枢機卿団の影響力が弱まる。良い事づくしだ」
ブレない。
ゴールド枢機卿の神殿嫌いは筋金入りだった。
「だからフランには悪いけど、勇者召喚については傍観者でいて欲しいんだ」
「傍観?」
「うん。勇者を召喚した後も極力関わらないでいて欲しい」
「それは別に構いませんけど……いいんですか?」
「うん。一応、召喚の儀には立ち会ってもらうけどね」
「立ち会うんだ……」
「近日中に招待状が届くと思うよ」
「わかりました」
こうして私は勇者召喚に立ち会うことになったのだった。
ゴールド枢機卿の言った通り、枢機卿団から勇者召喚の儀への招待状が届いた。
日程は二か月後。
場所は元ロベール王国の跡地。
「えぇ……なんでまた……」
思わずそう呟いてしまったのも仕方がないと思う。
まさかここにきて、あの国が。いや、もう国じゃないけど……国じゃないけど……枢機卿団の肝いりの土地ではあるけど……よりにもよってなんでその場所で勇者召喚をするのよ!
嫌がらせ?
これって私に対する嫌がらせ?嫌がらせなの? ちょっと怒りがこみ上げてくる。
「意義申し立てしたい」
無理だけど。
143
お気に入りに追加
4,017
あなたにおすすめの小説
辺境伯聖女は城から追い出される~もう王子もこの国もどうでもいいわ~
サイコちゃん
恋愛
聖女エイリスは結界しか張れないため、辺境伯として国境沿いの城に住んでいた。しかし突如王子がやってきて、ある少女と勝負をしろという。その少女はエイリスとは違い、聖女の資質全てを備えていた。もし負けたら聖女の立場と爵位を剥奪すると言うが……あることが切欠で全力を発揮できるようになっていたエイリスはわざと負けることする。そして国は真の聖女を失う――
家柄が悪いから婚約破棄? 辺境伯の娘だから芋臭い? 私を溺愛している騎士とお父様が怒りますよ?
西東友一
恋愛
ウォーリー辺境伯の娘ミシェルはとても優れた聖女だった。その噂がレオナルド王子の耳に入り、婚約することになった。遠路はるばる王都についてみれば、レオナルド王子から婚約破棄を言い渡されました。どうやら、王都にいる貴族たちから色々吹き込まれたみたいです。仕舞いにはそんな令嬢たちから「芋臭い」なんて言われてしまいました。
連れてきた護衛のアーサーが今にも剣を抜きそうになっていましたけれど、そんなことをしたらアーサーが処刑されてしまうので、私は買い物をして田舎に帰ることを決めました。
★★
恋愛小説コンテストに出す予定です。
タイトル含め、修正する可能性があります。
ご迷惑おかけしますが、よろしくお願いいたします。
ネタバレ含むんですが、設定の順番をかえさせていただきました。設定にしおりをしてくださった200名を超える皆様、本当にごめんなさい。お手数おかけしますが、引き続きお読みください。
運命の番?棄てたのは貴方です
ひよこ1号
恋愛
竜人族の侯爵令嬢エデュラには愛する番が居た。二人は幼い頃に出会い、婚約していたが、番である第一王子エリンギルは、新たに番と名乗り出たリリアーデと婚約する。邪魔になったエデュラとの婚約を解消し、番を引き裂いた大罪人として追放するが……。一方で幼い頃に出会った侯爵令嬢を忘れられない帝国の皇子は、男爵令息と身分を偽り竜人国へと留学していた。
番との運命の出会いと別離の物語。番でない人々の貫く愛。
※自己設定満載ですので気を付けてください。
※性描写はないですが、一線を越える個所もあります
※多少の残酷表現あります。
以上2点からセルフレイティング
身に覚えがないのに断罪されるつもりはありません
おこめ
恋愛
シャーロット・ノックスは卒業記念パーティーで婚約者のエリオットに婚約破棄を言い渡される。
ゲームの世界に転生した悪役令嬢が婚約破棄後の断罪を回避するお話です。
さらっとハッピーエンド。
ぬるい設定なので生温かい目でお願いします。
【完結】「神様、辞めました〜竜神の愛し子に冤罪を着せ投獄するような人間なんてもう知らない」
まほりろ
恋愛
王太子アビー・シュトースと聖女カーラ・ノルデン公爵令嬢の結婚式当日。二人が教会での誓いの儀式を終え、教会の扉を開け外に一歩踏み出したとき、国中の壁や窓に不吉な文字が浮かび上がった。
【本日付けで神を辞めることにした】
フラワーシャワーを巻き王太子と王太子妃の結婚を祝おうとしていた参列者は、突然現れた文字に驚きを隠せず固まっている。
国境に壁を築きモンスターの侵入を防ぎ、結界を張り国内にいるモンスターは弱体化させ、雨を降らせ大地を潤し、土地を豊かにし豊作をもたらし、人間の体を強化し、生活が便利になるように魔法の力を授けた、竜神ウィルペアトが消えた。
人々は三カ月前に冤罪を着せ、|罵詈雑言《ばりぞうごん》を浴びせ、石を投げつけ投獄した少女が、本物の【竜の愛し子】だと分かり|戦慄《せんりつ》した。
「Copyright(C)2021-九頭竜坂まほろん」
アルファポリスに先行投稿しています。
表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
2021/12/13、HOTランキング3位、12/14総合ランキング4位、恋愛3位に入りました! ありがとうございます!
捨てられた私が聖女だったようですね 今さら婚約を申し込まれても、お断りです
木嶋隆太
恋愛
聖女の力を持つ人間は、その凄まじい魔法の力で国の繁栄の手助けを行う。その聖女には、聖女候補の中から一人だけが選ばれる。私もそんな聖女候補だったが、唯一のスラム出身だったため、婚約関係にあった王子にもたいそう嫌われていた。他の聖女候補にいじめられながらも、必死に生き抜いた。そして、聖女の儀式の日。王子がもっとも愛していた女、王子目線で最有力候補だったジャネットは聖女じゃなかった。そして、聖女になったのは私だった。聖女の力を手に入れた私はこれまでの聖女同様国のために……働くわけがないでしょう! 今さら、優しくしたって無駄。私はこの聖女の力で、自由に生きるんだから!
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、第一王子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
今更困りますわね、廃妃の私に戻ってきて欲しいだなんて
nanahi
恋愛
陰謀により廃妃となったカーラ。最愛の王と会えないまま、ランダム転送により異世界【日本国】へ流罪となる。ところがある日、元の世界から迎えの使者がやって来た。盾の神獣の加護を受けるカーラがいなくなったことで、王国の守りの力が弱まり、凶悪モンスターが大繁殖。王国を救うため、カーラに戻ってきてほしいと言うのだ。カーラは日本の便利グッズを手にチート能力でモンスターと戦うのだが…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる