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~第四章~
81.とある新米刑事side
しおりを挟む「魔方陣……ですか?」
「ああ、現場にその痕跡が残されていた」
「あの、俺、魔術の事なんて全く分からないんですけど。それって何か問題なんですか?」
学校は魔術師だらけだ。
誰かが魔方陣を敷いていただけじゃないのか?
被害者四人がしたのか、それとも犯人が?
だとしてもそれなら最初に説明されるはず。
「魔方陣は紙に書き付けたものだ。その切れ端が見つかった。最初は魔法陣が描かれているとは鑑識も思わなかったらしい」
「犯人の手がかりですか!?」
「分からん。どうやら古代文字を使った魔法陣らしい」
「古代文字!?それって読めるんですか!?」
「まあ、無理だろうな」
魔術関係云々を除いても古代文字を読める人材なんて殆どいない。
それも魔方陣に使われるなんて……。
警部も四人の被害者が描いたものではないと断言している。
教師達に確認したところ、そんな高度な魔方陣を扱える人間を探す方が難しいらしく学生には無理だろうと。
少なくとも教師の自分達には無理だと断言した。
断言するなよ。
「魔術師はプライドが高い連中ばかりだ。そいつらが無理だと言うんだ。まず間違いなく犯人は高度な知識を持った魔術を扱える者だろうな」
「その犯人は何処にいるんですか」
「さぁな。それを探すのが俺らの仕事だが……学校側が黙っちゃいないかもな」
「は?」
「言ったろ?魔術師はプライドが高いって、な。自分達の御自慢の結界が知らない間に突破された可能性が出て来たんだ。心中穏やかにしてはいられねぇよ」
あぁ……なるほど。
特殊な結界。
そう簡単に破られない結界が破られた可能性。
警部も人が悪い。
これは本格的に「学校側の落ち度」になりそうだな。
「今頃、学校側は緊急会議でも開いてるんじゃねぇか?」
「結界についてですか?」
「いいや。この事件そのものの隠蔽について」
「いや、隠蔽も何も公にされてますが……」
「魔術師は秘密主義だって聞いた事あるだろ?」
警部が口元をにやりと上げた。
「お蔵入りの方が未だマシだろうさ」
魔術師の考えている事は良く分からない。
ただ、この事件の背後関係は分からないまま終わりそうだ。
事件全体の謎。
それを精査するのが魔術師側だというのがどうも気に入らない。
学校の旧校舎で亡くなった男子学生四名。
彼等はその後、『事故死』と公式発表された。
古代魔術の実験で死亡。
魔術師を育成する学校にはよくある話ということで疑う者は余りいなかった。
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