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~第二章~
40.とある王族side
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館に着いて玄関扉を開ける前に一度深呼吸をして息を整える。
そして意を決して中に入ると――
柱に括りつけられた男達がいた。しかも半裸で。
え? は?…………なんだこれは?
「な……何をして……」
「あっ!旦那様!!」
唖然としながら私が呟くとメイド頭が嬉々としてこちらを振り向いてきた。
「今ですね、皆様が頑張っていらっしゃる所です!」
「…………?」
意味がわからなくて混乱してしまう。そんな私の様子を見かねたのかメイド頭が自ら説明してくれる。なんでも彼等は妻を狙って館に押し入った賊だというではないか。しかも賊は襲撃計画を飲食店で堂々と暴露していたらしい。それを偶然聞いていた観光客の少年が義憤を感じ、館に知らせにきてくれて事なきをえたそうだ。
「村長の息子は町のチンピラたちを雇って館を襲撃しようと目論んでおりました。町の警官の一部を金で抱き込んでいたんです!!」
怒りに震えながら説明するメイド頭の話を聞いて血の気が引いた。
まさか町の警官を抱き込んでの犯行だったとは!
私は額に手を当てながら深い溜息をつく。すると執事と見た事のない少年が近づいてきた。
「旦那様、こちらの方が通報者の方でございます」
どうやらこの子のお陰で助かったようだ。礼を言うべきだろう。
「あぁ、ありがとう。君のお蔭で危うく妻は助かった。礼を言わせて頂こう」
私は少年の目線まで腰を落とすと微笑んで礼を口にした。
「いえ!僕は特に何も……。ただ偶然居合わせただけですから。奥方様が御無事でよかったです」
照れくさそうにはにかむ様子に癒された。
それにしても何者だろう。
見た目は旅行者のようだが、立ち姿や歩き方は貴族の子息といった風情がある。それもかなり高位の貴族家出身者でなければ身につかないであろう品位があった。恐らくどこかの名家の跡取り息子ではないだろうか。こんな辺境の地にいるはずがないが、そう思わせる雰囲気を纏っているのだ。
この子がいなかった場合を考えるとぞっとした。
如何に優秀な護衛兵がいたところで数の暴力には敵わないだろう。
そうなった時に妻や館の者達はどうなるというのか。命を奪われるような事はなくとも、尊厳を傷つけられていた事は間違いない。
少年は「黒曜」と名乗った。
ギルド所属だと言う。
本名でない事は明らかだ。
訳アリだろう事は聞かなくても分かる。
それから、大陸旅行。
王侯貴族の間で流行っているアレだ。
学校を卒業する者達が「卒業旅行」と称して国外旅行すると聞いた事があった。
大臣の息子も「大陸一周してきます」と豪語していたのは記憶に新しい。
ただし、親バカの大臣が息子に一人旅行なんてさせられないと言い出して「国内旅行になりました」としょんぼりしながら律儀に報告してきた。
他の貴族子息も同じようなもの。
数人は国外に旅行に行ったようだが、それでも周辺国のみだ。
だから彼の「旅行」はソレと似たようなものだと結論付けた。
平民なら国外に旅行をしようという発想自体ありえないからな。
彼が身分を隠しているのだろうという事にも察しがついた。
それならば深く追求するのは無粋というもの。
私も名乗ると「よろしくお願いします」と言ってくれた。礼儀正しい子だ。
その後、黒曜から村の祭りについて教えてもらった。女人禁制の祭り。村の一人から「行くようなものじゃない」と言われたらしい。それでも村の雰囲気から男達の大半が祭りに参加するのを楽しみにしてる事が伺えたのだという。調査通りだ。私は黒曜に村の祭りが只の祭りでない事を詳細をぼかしながら伝えた。
彼もきな臭さを感じていたのだろう。
納得した表情をしていた。
そして意を決して中に入ると――
柱に括りつけられた男達がいた。しかも半裸で。
え? は?…………なんだこれは?
「な……何をして……」
「あっ!旦那様!!」
唖然としながら私が呟くとメイド頭が嬉々としてこちらを振り向いてきた。
「今ですね、皆様が頑張っていらっしゃる所です!」
「…………?」
意味がわからなくて混乱してしまう。そんな私の様子を見かねたのかメイド頭が自ら説明してくれる。なんでも彼等は妻を狙って館に押し入った賊だというではないか。しかも賊は襲撃計画を飲食店で堂々と暴露していたらしい。それを偶然聞いていた観光客の少年が義憤を感じ、館に知らせにきてくれて事なきをえたそうだ。
「村長の息子は町のチンピラたちを雇って館を襲撃しようと目論んでおりました。町の警官の一部を金で抱き込んでいたんです!!」
怒りに震えながら説明するメイド頭の話を聞いて血の気が引いた。
まさか町の警官を抱き込んでの犯行だったとは!
私は額に手を当てながら深い溜息をつく。すると執事と見た事のない少年が近づいてきた。
「旦那様、こちらの方が通報者の方でございます」
どうやらこの子のお陰で助かったようだ。礼を言うべきだろう。
「あぁ、ありがとう。君のお蔭で危うく妻は助かった。礼を言わせて頂こう」
私は少年の目線まで腰を落とすと微笑んで礼を口にした。
「いえ!僕は特に何も……。ただ偶然居合わせただけですから。奥方様が御無事でよかったです」
照れくさそうにはにかむ様子に癒された。
それにしても何者だろう。
見た目は旅行者のようだが、立ち姿や歩き方は貴族の子息といった風情がある。それもかなり高位の貴族家出身者でなければ身につかないであろう品位があった。恐らくどこかの名家の跡取り息子ではないだろうか。こんな辺境の地にいるはずがないが、そう思わせる雰囲気を纏っているのだ。
この子がいなかった場合を考えるとぞっとした。
如何に優秀な護衛兵がいたところで数の暴力には敵わないだろう。
そうなった時に妻や館の者達はどうなるというのか。命を奪われるような事はなくとも、尊厳を傷つけられていた事は間違いない。
少年は「黒曜」と名乗った。
ギルド所属だと言う。
本名でない事は明らかだ。
訳アリだろう事は聞かなくても分かる。
それから、大陸旅行。
王侯貴族の間で流行っているアレだ。
学校を卒業する者達が「卒業旅行」と称して国外旅行すると聞いた事があった。
大臣の息子も「大陸一周してきます」と豪語していたのは記憶に新しい。
ただし、親バカの大臣が息子に一人旅行なんてさせられないと言い出して「国内旅行になりました」としょんぼりしながら律儀に報告してきた。
他の貴族子息も同じようなもの。
数人は国外に旅行に行ったようだが、それでも周辺国のみだ。
だから彼の「旅行」はソレと似たようなものだと結論付けた。
平民なら国外に旅行をしようという発想自体ありえないからな。
彼が身分を隠しているのだろうという事にも察しがついた。
それならば深く追求するのは無粋というもの。
私も名乗ると「よろしくお願いします」と言ってくれた。礼儀正しい子だ。
その後、黒曜から村の祭りについて教えてもらった。女人禁制の祭り。村の一人から「行くようなものじゃない」と言われたらしい。それでも村の雰囲気から男達の大半が祭りに参加するのを楽しみにしてる事が伺えたのだという。調査通りだ。私は黒曜に村の祭りが只の祭りでない事を詳細をぼかしながら伝えた。
彼もきな臭さを感じていたのだろう。
納得した表情をしていた。
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