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9.酒の力2
しおりを挟む「と、言う訳なんですよ~~」
「ほぉ、それは酷いな」
「そうれしょ~~?わたしは~あの男の母親じゃない~っていうのに~」
「そんな顔だけの男との婚約解消できて万々歳ではないか」
「まっちゃく~そのと~~りです。な~にが、みらいの伯爵夫人ですか。りょ~ちけいえいもな~にもかも、わたしにやらせようとしてた外道~らです」
「他力本願とは。伯爵は子息の教育を放棄したも同然だな」
「しょ~~なんれす。ちゅ~いしちぇもじぇんじぇんれす」
「愚かな男と結婚しなくて本当に良かった。私の方でルーナとコーネル伯爵子息の婚約破棄は書面で成立させているから安心しなさい」
「しゃすがれす!あんにゃのと~こんにゃくしてた~かこにょまちょいしちゃい!」
「ククッ。よほど嫌なのだな」
「あい、ちゃいあくでちゅ!」
「うんうん。ルーナの気持ちはよく分かるぞ」
「わかぢゅ?」
「ああ、私も記憶から抹消したい」
「おにゃぢ!」
「ああ、同じだ。そこでな、ルーナ。中味が無い勘違い男を記憶から抹消するいい方法があるぞ」
「にゃに?」
「コーネル伯爵子息は相思相愛の恋人と結婚して子供ができる。愛する女と愛する子供。きっと幸せな家庭を築くはずだ。ヴェリエ伯爵が『慰謝料を分捕ってやる』と息巻いているが恐らく常識の範囲内で納めるはずだ。そうなればだ、元々息子に甘いコーネル伯爵とその一族はその後も何事も無かったかの如く振る舞うはずだ。割を食うのはルーナだけになる。許せるか?」
「ゆるちゃまちぇん!」
「そうだろ、そうだろ。なら、ルーナも同じ事をすればいい」
「?」
「恋をするのだ」
「こひ?いちゃえの?」
「それは鯉だ。私が言っているのは『恋』の方だ」
「こひ……」
「そうだ。ルーナも子を産み家庭を築けばいい。勿論、ルーナは優秀な私の秘書だ。結婚後もその地位は変わらない。いや、それ以上の権力を手にするのだ。夫になる男も、子の父親もコーネル伯爵子息よりも全てにおいて上の相手をな」
「いにゃい……」
「ん?」
「あいちぇがいにゃいの……」
「ははははっ!そんなことか!心配するな、ルーナ。相手はいるぞ!」
「ほんにょ?」
「本当だ」
「へーかちゅき!」
「~~~っ…………私もだ」
あら?
なんでしょう?
視界が歪んでいきます。
フワフワしてきて……あら?足が宙に浮いているのでは?何だか羽が生えたかのように軽やかです。
熱い。
不思議です。段々、身体が熱くなっていきます。
体が一歩も動かせなくて……眠くて……。
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