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41.修side

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 久しぶりに会った先輩達。
 陽向さんは全く変わってなかった。

 天真爛漫といえば聞こえは良いが、なるほど。コレじゃあ、義両親を始めとする旦那の親戚が遠巻きにする筈だと納得した。鈴木先輩の親戚一同は二人と絶縁している。無理もない。自分達を破滅させた人間と親戚付き合いなんて義理でもしたくないだろう。中には将来を嘱望された人もいた筈だ。到底、許せる筈がない。


 鈴木先輩と陽向さんだけが悪い訳じゃない。

 二人の仲を許した先輩達の両親だって問題だった。

 きっと鈴木先輩の御両親は誤解してたんだろう事は理解できる。
 鈴木家の嫁になる事の意味を。
 息子が選んだ嫁は難しい立場に置かれる。だからより一層、努力するだろうと。

 まさか何も知らないまま嫁いでくるとは思ってもいなかっただろう。
 出来て当たり前のことが出来ない。
 知って当たり前のことを知らない。

 そもそも陽向さんは『鈴木晃司の嫁』になったけれど、『鈴木家の嫁』になる自覚がなかった。その自覚を一番必要としていた筈の鈴木先輩も。だから『嫁ぐという事』に対して無知で、無頓着だったのだと思う。
 周りが『鈴木家の嫁』と見てるのにだ。陽向さんは、鈴木晃司という個人しか見ていない。恐らく『家に嫁いだ』という考えも無かっただろう。だから周囲との認識にズレが生じる。だから『嫁』として認められない。

 そして一番の問題児は旦那である鈴木先輩だった。

 先輩だって『鈴木家の嫁』に求められるものが何なのか、理解していた筈だ。陽向さんと違って。家や会社を背負って立つ自覚があった。だから、周りが何を望んでいるのか分かっているにも拘わらず……。妻可愛さ故か目をつぶった節が見られた。
 もしかすると、先輩はゆっくりと成長していけばいい、と考えていたのかもしれない。
 まあ、そんななんて二人になかったんだけど……。結果がコレだ。

 そもそも学園の校則でさえも理解していなかった陽向さんだよ?
 全くと言っていいほど校則を守れていなかった彼女が上流社会で上手くやれるとでも?ムリだよなあ……どう考えても。

 作法は出来ない、礼儀作法も身についていない、文化や伝統を理解しない。

 社交界はそんな新参者を受け付けはしない。
『身分や言葉遣いだけでなく、社交界での振る舞い方』すら覚える気がないと関係者から聞いた時は、開いた口が塞がらなかった。

 知らない、解らない、やりたくない。
 ソレが許されていたのは学生までだ。
 いや、ソレをしなければならない世界に飛び込まなければ必要なかっただろうに……。


 郷に入っては郷に従え――――

 陽向さんはソレが出来なかった。
 ソレをする意味を理解しなかった。
 だから、こうなったのは必然だった。

 


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