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番外編

4.ギヨーム国王side

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≪≫死者の声


 *******************


 王妃が死んだ。
 いや、元王妃だな。


「遺体は如何致しましょう」

「罪人だが元王妃だ。元王太子の墓の隣に葬っておけ」

「畏まりました」

 元王妃も息子の隣で眠れる事を喜ぶだろう。
 愛する者の隣で永遠の眠りにつくのだ。羨ましいものだ。私は愛する人と隣で眠る事さえできない。

 ローゼリア……。

 所詮はだったのだ。
 私のローゼリアとは似ても似つかぬ紛い物だった。

 似ていると思ったのだ。

 だからというのに。
 ダメだった。

 よりにもよって新王太子を。
 ローゼリアと同じトゥールーズ公爵家の血を引く子を殺そうとしたのだ。

 許せる筈がない。
 公開処刑に値する行為だ。

 だが、王妃。
 愚か者だがこの国の王妃だ。
 息子の死に乱心しているのだと言う女官長の進言を聞き入れて幽閉で終わらせた。
 些か甘い処罰だと思ったが致し方ない。大罪ではあるが、妻だった女だ。情けはある。だからこそ、元王太子と同様の死に方にさせてやったのだ。きっとアレも喜んでいるだろう。


「陛下、王太子殿下の今日の授業が終了致しました」

「そうか。では一緒にお茶でも飲むとしよう。王太子の好きな菓子の準備を」

「畏まりました」

 私は義息子の待つ部屋へと向かった。

 ローゼリア、王太子は君によく似ている。
 やはり本物は違う。
 君が私を残して天国に旅だっていなかったら、きっと王太子のように可愛い息子が生まれていただろう。
 王太子は好物も君と同じだ。
 葡萄のタルト。君が大好物だったものだ。

 今度、王太子に肖像画を描かせよう。

 君の肖像画の隣に飾るのも良い。

 親子のように見えるかもしれないな。
 想像するだけでも楽しいよ。

 まだまだ君の元には行けそうにない。
 だが、報告する事は沢山ある。
 待っていておくれ。


≪…………わる≫


「ん?」

「陛下、如何なさいましたか」

「いや、今何か聞こえなかったか?」

「いいえ、私には聞こえませんでしたが」

「そうか、なら良い。気の所為だったようだ」


 ローゼリア、君の声が聞こえた気がしたよ。
 私が心配で天国から戻って来てくれたのかと思った。

 愛するローゼリア。
 この想いは永遠だ。私は死ぬまで君を愛し続けるだろう。

 この命が尽きるまで永遠に――――

 

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