43 / 67
43.伯爵夫人side
しおりを挟む
幸いというか、私は妊娠しやすい体だったようで五年もせずに三人の子供に恵まれました。二男一女。跡取りとスペア、そして嫁入り要員。
子育て?
夫達に任せる訳がありません。
私の実家経由で乳母や家庭教師を派遣して貰いましたわ。
義両親には早々に自領で隠居していただき、夫は若くして伯爵位を継承しました。もっとも、夫は愛人の住まう別宅に入り浸りですけど、私には関係ありません。だって義務は果たしてますもの。あちらは愛人と宜しくやっているのだからと、私も始めの頃は当てつけがましく他の男性とお付き合い、とやらをさせて頂いていたわ。どうやら私は男性にモテるタイプだったようで、そこそこ楽しませてもらったわ。皆さま、お口の軽いこと。彼らが話して下さった貴重な情報は実家に役立ててもらうことにいたしました。
ほほっ。
私の事を陰で「社交界の高級娼婦」とおっしゃる婦人方が続出しましたが気にしません。実家と婚家を盛り立てていくのは貴族夫人の役目。パートナーの夫が頼りにならないのですから仕方ありませんでしょう?
最近、とてもいい情報を両公爵閣下から頂いたお陰で王太子殿下とも親密な関係を築かせていただいています。落ち目の王太子殿下と言えども、腐っても王族には違いありませんもの。最大限に有効活用させていただきますわ!
王太子殿下は、学園でソニア側妃様と運命的な出会いをし、色々なあった末の結婚。学園でのトラブルから彼らの結婚に至るまでの経緯に本当に大変なゴタゴタがあったようですが、全ては王宮の中でもかなり少数の者達のみぞ知るというところのようです。まぁ、私の方にもそこそこ情報が来ておりますからね。本当に大変だったことが分かります。よくこれで結婚できたと思ったくらいですもの。
私から見れば、周囲からの大反対を受けたからこそ一層燃え上がった恋としか思えませんでした。
当時、王太子殿下に婚約者がいた事も恋愛の障害として更に燃え上がる要素だったのでしょう。
何年もソニア側妃一筋の愛妻家として名高かった王太子殿下。
実をいうと週の半分は私と過ごす日もありました。まぁ、ソニア側妃とは十年以上……飽きてきたとしてもおかしくない年数。それに加えて何時までも終わらない妃教育に呆れ果てていました。最近は側妃の粗が目立ってきたと仰いますから、恋のフィルターが外れてきたのかもしれませんね。
嫌いではない。
ただ前のように無条件で愛せない。
王族と元平民。
価値観が合わない時が多々あったそうです。それは恋人同士なら目新しさでカバーできても、夫婦ではどうしてもそうはいかない。それでも彼女が後宮にいるからこそ、今まで深刻に受けとめることなく過ごす事が出来たそうです。
それを聞いた時は、同意する他ありませんでした。
恋情という謎フィルターが掛かっている時はちょっとした些細な出来事はスルーしますものね。ええ、私だって夫との婚約期間はそうでしたもの。他の貴族と違って王太子殿下を嗤う事なんて出来ません。
寧ろ、王太子殿下のお気持ち。
よ~~~く、解ります。
子育て?
夫達に任せる訳がありません。
私の実家経由で乳母や家庭教師を派遣して貰いましたわ。
義両親には早々に自領で隠居していただき、夫は若くして伯爵位を継承しました。もっとも、夫は愛人の住まう別宅に入り浸りですけど、私には関係ありません。だって義務は果たしてますもの。あちらは愛人と宜しくやっているのだからと、私も始めの頃は当てつけがましく他の男性とお付き合い、とやらをさせて頂いていたわ。どうやら私は男性にモテるタイプだったようで、そこそこ楽しませてもらったわ。皆さま、お口の軽いこと。彼らが話して下さった貴重な情報は実家に役立ててもらうことにいたしました。
ほほっ。
私の事を陰で「社交界の高級娼婦」とおっしゃる婦人方が続出しましたが気にしません。実家と婚家を盛り立てていくのは貴族夫人の役目。パートナーの夫が頼りにならないのですから仕方ありませんでしょう?
最近、とてもいい情報を両公爵閣下から頂いたお陰で王太子殿下とも親密な関係を築かせていただいています。落ち目の王太子殿下と言えども、腐っても王族には違いありませんもの。最大限に有効活用させていただきますわ!
王太子殿下は、学園でソニア側妃様と運命的な出会いをし、色々なあった末の結婚。学園でのトラブルから彼らの結婚に至るまでの経緯に本当に大変なゴタゴタがあったようですが、全ては王宮の中でもかなり少数の者達のみぞ知るというところのようです。まぁ、私の方にもそこそこ情報が来ておりますからね。本当に大変だったことが分かります。よくこれで結婚できたと思ったくらいですもの。
私から見れば、周囲からの大反対を受けたからこそ一層燃え上がった恋としか思えませんでした。
当時、王太子殿下に婚約者がいた事も恋愛の障害として更に燃え上がる要素だったのでしょう。
何年もソニア側妃一筋の愛妻家として名高かった王太子殿下。
実をいうと週の半分は私と過ごす日もありました。まぁ、ソニア側妃とは十年以上……飽きてきたとしてもおかしくない年数。それに加えて何時までも終わらない妃教育に呆れ果てていました。最近は側妃の粗が目立ってきたと仰いますから、恋のフィルターが外れてきたのかもしれませんね。
嫌いではない。
ただ前のように無条件で愛せない。
王族と元平民。
価値観が合わない時が多々あったそうです。それは恋人同士なら目新しさでカバーできても、夫婦ではどうしてもそうはいかない。それでも彼女が後宮にいるからこそ、今まで深刻に受けとめることなく過ごす事が出来たそうです。
それを聞いた時は、同意する他ありませんでした。
恋情という謎フィルターが掛かっている時はちょっとした些細な出来事はスルーしますものね。ええ、私だって夫との婚約期間はそうでしたもの。他の貴族と違って王太子殿下を嗤う事なんて出来ません。
寧ろ、王太子殿下のお気持ち。
よ~~~く、解ります。
275
お気に入りに追加
3,158
あなたにおすすめの小説
【完結】お飾りの妻からの挑戦状
おのまとぺ
恋愛
公爵家から王家へと嫁いできたデイジー・シャトワーズ。待ちに待った旦那様との顔合わせ、王太子セオドア・ハミルトンが放った言葉に立ち会った使用人たちの顔は強張った。
「君はお飾りの妻だ。装飾品として慎ましく生きろ」
しかし、当のデイジーは不躾な挨拶を笑顔で受け止める。二人のドタバタ生活は心配する周囲を巻き込んで、やがて誰も予想しなかった展開へ……
◇表紙はノーコピーライトガール様より拝借しています
◇全18話で完結予定
婚約破棄されなかった者たち
ましゅぺちーの
恋愛
とある学園にて、高位貴族の令息五人を虜にした一人の男爵令嬢がいた。
令息たちは全員が男爵令嬢に本気だったが、結局彼女が選んだのはその中で最も地位の高い第一王子だった。
第一王子は許嫁であった公爵令嬢との婚約を破棄し、男爵令嬢と結婚。
公爵令嬢は嫌がらせの罪を追及され修道院送りとなった。
一方、選ばれなかった四人は当然それぞれの婚約者と結婚することとなった。
その中の一人、侯爵令嬢のシェリルは早々に夫であるアーノルドから「愛することは無い」と宣言されてしまい……。
ヒロインがハッピーエンドを迎えたその後の話。
【完結】愛してなどおりませんが
仲村 嘉高
恋愛
生まれた瞬間から、王妃になる事が決まっていたアメリア。
物心がついた頃には、王妃になる為の教育が始まった。
父親も母親も娘ではなく、王妃になる者として接してくる。
実兄だけは妹として可愛がってくれたが、それも皆に隠れてコッソリとだった。
そんなある日、両親が事故で亡くなった同い年の従妹ミアが引き取られた。
「可愛い娘が欲しかったの」
父親も母親も、従妹をただただ可愛いがった。
婚約者である王太子も、婚約者のアメリアよりミアとの時間を持ち始め……?
※HOT最高3位!ありがとうございます!
※『廃嫡王子』と設定が似てますが、別のお話です
※またやっちまった、断罪別ルート。(17話から)
どうしても決められなかった!!
結果は同じです。
(他サイトで公開していたものを、こちらでも公開しました)
番(つがい)はいりません
にいるず
恋愛
私の世界には、番(つがい)という厄介なものがあります。私は番というものが大嫌いです。なぜなら私フェロメナ・パーソンズは、番が理由で婚約解消されたからです。私の母も私が幼い頃、番に父をとられ私たちは捨てられました。でもものすごく番を嫌っている私には、特殊な番の体質があったようです。もうかんべんしてください。静かに生きていきたいのですから。そう思っていたのに外見はキラキラの王子様、でも中身は口を開けば毒舌を吐くどうしようもない正真正銘の王太子様が私の周りをうろつき始めました。
本編、王太子視点、元婚約者視点と続きます。約3万字程度です。よろしくお願いします。
アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。
婚約解消は君の方から
みなせ
恋愛
私、リオンは“真実の愛”を見つけてしまった。
しかし、私には産まれた時からの婚約者・ミアがいる。
私が愛するカレンに嫌がらせをするミアに、
嫌がらせをやめるよう呼び出したのに……
どうしてこうなったんだろう?
2020.2.17より、カレンの話を始めました。
小説家になろうさんにも掲載しています。
【完結】夫は私に精霊の泉に身を投げろと言った
冬馬亮
恋愛
クロイセフ王国の王ジョーセフは、妻である正妃アリアドネに「精霊の泉に身を投げろ」と言った。
「そこまで頑なに無実を主張するのなら、精霊王の裁きに身を委ね、己の無実を証明してみせよ」と。
※精霊の泉での罪の判定方法は、魔女狩りで行われていた水審『水に沈めて生きていたら魔女として処刑、死んだら普通の人間とみなす』という逸話をモチーフにしています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる