33 / 67
33.終わらない妃教育
しおりを挟む
月日が経つのは早いと感じますわ。
十六歳で結婚して早八年。
この八年間はベビーラッシュで私は子育てに追われていました。乳母達がいなければ手が回らなかった事でしょう。
私の結婚式の翌月に結婚式を挙げた王太子殿下と側妃。
当てつけなのか嫌がらせなのかは分かりませんが、王都では派手な結婚式が行われていました。
思った通り、彼女は後宮で囲われる存在になったようです。
本人は婚約期間中と同じ待遇だったせいか「王家に嫁ぐのはこんな感じ」と解釈しているとの事。知らないというのは幸せですわね。まぁ、ソニア側妃の周囲の者達は真実を彼女に話して聞かすような者はいないでしょうから。彼女の勘違いを訂正する者はこれから先も現れないでしょうね。
それにしても――
妃教育を約十年近くしていて未だにソニア側妃のマナーの習得は終わっていません。下位貴族夫人レベルにも達していない有り様でした。
ゆっくりと学んでいると聞いていましたが……のんびりし過ぎではありませんか?
この国、最高の教師達が教えているというのに、このレベルとは……。
恐ろしく素晴らしい人材を揃えていますのに、彼らに学ぶという栄誉をソニア側妃だけが認識していない状況でした。
一応、「凄い先生」とは理解しているようですが、どれほど「凄い教師」なのかを正確に解っていません。
やる気がないからなのか、それとも元々考える頭がないのか。
ここまでくると諦めるしかないでしょう。
普通なら、最高レベルの教師達の手を煩わせて申し訳ないと思うところですが、ソニア側妃にはそういった思いが一切見受けられません。
勉強時間以外で自主的に学ぶという行動を取らない方です。
当然、予習と復習などはしません。
学び始めた頃は教師から注意を受けたそうですが、お得意の泣き落としで王太子殿下に訴えたそうです。
教師方はよく彼女の教育をしていると感心するレベルです。忍耐力を試されているとしか思えません。
どんな人物であろうと、側妃である事は間違いありません。
教師陣営は決してソニア側妃を馬鹿にしたり見下したりすることはないでしょう。
守秘義務を課せられている以上、ソニア側妃の事が他者に漏れる心配はありません。ええ、我が家のように密偵を紛れ込ませていなければ、の話しですが。
平民出身のソニア側妃にとって、恐らく「結婚」というものは「恋愛」と同じ。もしくは「その延長線上にあるもの」なのかもしれません。
好きだから恋人になる。
好きだから結婚する。
愛のない結婚は有りえない。
結婚がゴールだと考えていたのかもしれません。
だからこそ、結婚のために勉強する意味を理解していないのでしょう。
愚かな事です。
十六歳で結婚して早八年。
この八年間はベビーラッシュで私は子育てに追われていました。乳母達がいなければ手が回らなかった事でしょう。
私の結婚式の翌月に結婚式を挙げた王太子殿下と側妃。
当てつけなのか嫌がらせなのかは分かりませんが、王都では派手な結婚式が行われていました。
思った通り、彼女は後宮で囲われる存在になったようです。
本人は婚約期間中と同じ待遇だったせいか「王家に嫁ぐのはこんな感じ」と解釈しているとの事。知らないというのは幸せですわね。まぁ、ソニア側妃の周囲の者達は真実を彼女に話して聞かすような者はいないでしょうから。彼女の勘違いを訂正する者はこれから先も現れないでしょうね。
それにしても――
妃教育を約十年近くしていて未だにソニア側妃のマナーの習得は終わっていません。下位貴族夫人レベルにも達していない有り様でした。
ゆっくりと学んでいると聞いていましたが……のんびりし過ぎではありませんか?
この国、最高の教師達が教えているというのに、このレベルとは……。
恐ろしく素晴らしい人材を揃えていますのに、彼らに学ぶという栄誉をソニア側妃だけが認識していない状況でした。
一応、「凄い先生」とは理解しているようですが、どれほど「凄い教師」なのかを正確に解っていません。
やる気がないからなのか、それとも元々考える頭がないのか。
ここまでくると諦めるしかないでしょう。
普通なら、最高レベルの教師達の手を煩わせて申し訳ないと思うところですが、ソニア側妃にはそういった思いが一切見受けられません。
勉強時間以外で自主的に学ぶという行動を取らない方です。
当然、予習と復習などはしません。
学び始めた頃は教師から注意を受けたそうですが、お得意の泣き落としで王太子殿下に訴えたそうです。
教師方はよく彼女の教育をしていると感心するレベルです。忍耐力を試されているとしか思えません。
どんな人物であろうと、側妃である事は間違いありません。
教師陣営は決してソニア側妃を馬鹿にしたり見下したりすることはないでしょう。
守秘義務を課せられている以上、ソニア側妃の事が他者に漏れる心配はありません。ええ、我が家のように密偵を紛れ込ませていなければ、の話しですが。
平民出身のソニア側妃にとって、恐らく「結婚」というものは「恋愛」と同じ。もしくは「その延長線上にあるもの」なのかもしれません。
好きだから恋人になる。
好きだから結婚する。
愛のない結婚は有りえない。
結婚がゴールだと考えていたのかもしれません。
だからこそ、結婚のために勉強する意味を理解していないのでしょう。
愚かな事です。
299
お気に入りに追加
3,152
あなたにおすすめの小説
雇われ側妃は邪魔者のいなくなった後宮で高らかに笑う
ちゃっぷ
キャラ文芸
多少嫁ぎ遅れてはいるものの、宰相をしている父親のもとで平和に暮らしていた女性。
煌(ファン)国の皇帝は大変な女好きで、政治は宰相と皇弟に丸投げして後宮に入り浸り、お気に入りの側妃/上級妃たちに囲まれて過ごしていたが……彼女には関係ないこと。
そう思っていたのに父親から「皇帝に上級妃を排除したいと相談された。お前に後宮に入って邪魔者を排除してもらいたい」と頼まれる。
彼女は『上級妃を排除した後の後宮を自分にくれること』を条件に、雇われ側妃として後宮に入る。
そして、皇帝から自分を楽しませる女/遊姫(ヨウチェン)という名を与えられる。
しかし突然上級妃として後宮に入る遊姫のことを上級妃たちが良く思うはずもなく、彼女に幼稚な嫌がらせをしてきた。
自分を害する人間が大嫌いで、やられたらやり返す主義の遊姫は……必ず邪魔者を惨めに、後宮から追放することを決意する。
アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。
私のお父様とパパ様
棗
ファンタジー
非常に過保護で愛情深い二人の父親から愛される娘メアリー。
婚約者の皇太子と毎月あるお茶会で顔を合わせるも、彼の隣には幼馴染の女性がいて。
大好きなお父様とパパ様がいれば、皇太子との婚約は白紙になっても何も問題はない。
※箱入り娘な主人公と娘溺愛過保護な父親コンビのとある日のお話。
追記(2021/10/7)
お茶会の後を追加します。
更に追記(2022/3/9)
連載として再開します。
婚約解消は君の方から
みなせ
恋愛
私、リオンは“真実の愛”を見つけてしまった。
しかし、私には産まれた時からの婚約者・ミアがいる。
私が愛するカレンに嫌がらせをするミアに、
嫌がらせをやめるよう呼び出したのに……
どうしてこうなったんだろう?
2020.2.17より、カレンの話を始めました。
小説家になろうさんにも掲載しています。
この子、貴方の子供です。私とは寝てない? いいえ、貴方と妹の子です。
サイコちゃん
恋愛
貧乏暮らしをしていたエルティアナは赤ん坊を連れて、オーガスト伯爵の屋敷を訪ねた。その赤ん坊をオーガストの子供だと言い張るが、彼は身に覚えがない。するとエルティアナはこの赤ん坊は妹メルティアナとオーガストの子供だと告げる。当時、妹は第一王子の婚約者であり、現在はこの国の王妃である。ようやく事態を理解したオーガストは動揺し、彼女を追い返そうとするが――
【完結】新婚生活初日から、旦那の幼馴染も同居するってどういうことですか?
よどら文鳥
恋愛
デザイナーのシェリル=アルブライデと、婚約相手のガルカ=デーギスの結婚式が無事に終わった。
予め購入していた新居に向かうと、そこにはガルカの幼馴染レムが待っていた。
「シェリル、レムと仲良くしてやってくれ。今日からこの家に一緒に住むんだから」
「え!? どういうことです!? 使用人としてレムさんを雇うということですか?」
シェリルは何も事情を聞かされていなかった。
「いや、特にそう堅苦しく縛らなくても良いだろう。自主的な行動ができるし俺の幼馴染だし」
どちらにしても、新居に使用人を雇う予定でいた。シェリルは旦那の知り合いなら仕方ないかと諦めるしかなかった。
「……わかりました。よろしくお願いしますね、レムさん」
「はーい」
同居生活が始まって割とすぐに、ガルカとレムの関係はただの幼馴染というわけではないことに気がつく。
シェリルは離婚も視野に入れたいが、できない理由があった。
だが、周りの協力があって状況が大きく変わっていくのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる