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23.影響1
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やはりと言うべきでしょうか。
ソニア嬢は後宮に隔離されたようですね。それも仕方ない事でしょうが……。
名目上は「妃教育のため」ですが、本音は別でしょう。これを決定したのが王妃殿下のようですからソニア嬢の素行不良を懸念しての判断ですわね。後宮ならば情報漏れはありませんでしょうし。まぁ、後宮はあらゆる意味で情報がシャットアウトされやすい場所です。外からの情報も入りにくい場所でもありますからね。ソニア嬢の性格からしてそのほうが揉め事も起こらないと判断されたのでしょう。
ソニア嬢の妃教育はかなりゆっくりと進められていました。
本来なら、急ピッチで進めなければならないところですが、それでは彼女の身が持たないと思われたのでしょう。それとも学園での成績に配慮しての事か、もしくは元々の性質が影響しているのか。考えられるのはその辺でしょう。
そうでなければ、このような教育課程を行う事は有りえません。
勉強時間よりも休憩時間の方が多いなどという馬鹿げた教育カリキュラムは。
幼少期の淑女教育よりも酷い有様です。よくまぁ、教師達がこのようなカリキュラムを受け入れたものです。これも王家の圧力によるものでしょうか?ですが、『後宮に閉じ込める』という目的は果たしておりますので問題ないという事でしょうか?
こんな調子で始められた妃教育は、当然ながら遅々としか進みませんでした。それでも進んでいる事に驚きですわ。教師達の苦労が偲ばれます。
何かに付けて課題をサボろうとなさるソニア嬢は更に休憩時間を欲しがりましたが、流石にそれは許されなかったそうです。あれだけ休んでまだ足りないとは……。呆れてしまいますわね。これでは何時になったら妃教育が終わるやら分かったものじゃありませんわ。
ただ、報告書を読む限りソニア嬢はこの調子ではありましたが、そこまで苦痛という訳でもなくどちらかというと楽しんでいらっしゃる、つまり一応やる気はあるようです。
王太子殿下も頻繁に後宮に足を運んでいることも彼女のやる気を引き出している要因のようです。この王太子殿下の行動は教師達も予想外だったようですね。
まぁ、王太子殿下とソニア嬢が自分達の世界にのめり込んでいる間にこちらも色々とお掃除させて頂きましたわ。
まず、ソニア嬢と学園時代に大変親しくなさっていた男子生徒達。
彼らと婚約していた令嬢達は公爵家の後押しで無事に婚約破棄が成されました。中には既に婚姻されている家もありましたが、そこは公爵家の力を使って『女性に有利な結婚生活の保障』を条件に、再構築かまたは離縁かを選んでいただきました。殆どの女性は『再構築』を選びましたわ。意外ですが、「婚家での力関係で今まで離縁できませんでしたが、夫の不祥事と公爵家の後押しがあればこそ婚家で権力を握れました。これは他家では無理でしょう。次代では私が主体になれるのはここだけです」「夫への愛情は枯れてますが、子供達の事もありますし、それに情はまだありますので。それに公爵家の後ろ盾をいただいたお陰で夫とその家族は死ぬまで私に頭が上がらないでしょう。これ程痛快な事はありませんわ」と仰ってましたわ。
皆様、大変逞しいご様子です。
ソニア嬢と親しくしてた男性達は軒並み妻や婚約者に主導権を握られた状態ですから、非常に恐ろしいでしょうね。
ちなみに離縁や婚約破棄になった男性も元妻や元婚約者には頭が上がらなくなるのは確かです。その家族も、ですわね。なにせ彼女達は男達の下半身事情を熟知していますからね。ソニア嬢との関係は王家も十分把握してますが、それを理由に王家に対して何か抗議を言えるお家なんてあるわけないでしょうし、男性側の実家にとっては「不敬罪」に当たりかねない問題です。口外できるわけがありません。疑惑を向けられるだけでも恐ろしい事になるでしょうし……まぁ息子を教育しきれなかったという意味では自業自得ですわね。
これで万が一、ソニア嬢が『完璧な王太子妃』になる日が来たとして、王家に受け入れられたとしても、社交界で生き残ることはまず不可能になりました。
たとえ、百万分の一の確率だとしても『もしも』を予測して動くのは貴族の常識です。
それにこれはムダではありません。
次代を担う女性達の大半が私の味方になりましたもの。
ソニア嬢は後宮に隔離されたようですね。それも仕方ない事でしょうが……。
名目上は「妃教育のため」ですが、本音は別でしょう。これを決定したのが王妃殿下のようですからソニア嬢の素行不良を懸念しての判断ですわね。後宮ならば情報漏れはありませんでしょうし。まぁ、後宮はあらゆる意味で情報がシャットアウトされやすい場所です。外からの情報も入りにくい場所でもありますからね。ソニア嬢の性格からしてそのほうが揉め事も起こらないと判断されたのでしょう。
ソニア嬢の妃教育はかなりゆっくりと進められていました。
本来なら、急ピッチで進めなければならないところですが、それでは彼女の身が持たないと思われたのでしょう。それとも学園での成績に配慮しての事か、もしくは元々の性質が影響しているのか。考えられるのはその辺でしょう。
そうでなければ、このような教育課程を行う事は有りえません。
勉強時間よりも休憩時間の方が多いなどという馬鹿げた教育カリキュラムは。
幼少期の淑女教育よりも酷い有様です。よくまぁ、教師達がこのようなカリキュラムを受け入れたものです。これも王家の圧力によるものでしょうか?ですが、『後宮に閉じ込める』という目的は果たしておりますので問題ないという事でしょうか?
こんな調子で始められた妃教育は、当然ながら遅々としか進みませんでした。それでも進んでいる事に驚きですわ。教師達の苦労が偲ばれます。
何かに付けて課題をサボろうとなさるソニア嬢は更に休憩時間を欲しがりましたが、流石にそれは許されなかったそうです。あれだけ休んでまだ足りないとは……。呆れてしまいますわね。これでは何時になったら妃教育が終わるやら分かったものじゃありませんわ。
ただ、報告書を読む限りソニア嬢はこの調子ではありましたが、そこまで苦痛という訳でもなくどちらかというと楽しんでいらっしゃる、つまり一応やる気はあるようです。
王太子殿下も頻繁に後宮に足を運んでいることも彼女のやる気を引き出している要因のようです。この王太子殿下の行動は教師達も予想外だったようですね。
まぁ、王太子殿下とソニア嬢が自分達の世界にのめり込んでいる間にこちらも色々とお掃除させて頂きましたわ。
まず、ソニア嬢と学園時代に大変親しくなさっていた男子生徒達。
彼らと婚約していた令嬢達は公爵家の後押しで無事に婚約破棄が成されました。中には既に婚姻されている家もありましたが、そこは公爵家の力を使って『女性に有利な結婚生活の保障』を条件に、再構築かまたは離縁かを選んでいただきました。殆どの女性は『再構築』を選びましたわ。意外ですが、「婚家での力関係で今まで離縁できませんでしたが、夫の不祥事と公爵家の後押しがあればこそ婚家で権力を握れました。これは他家では無理でしょう。次代では私が主体になれるのはここだけです」「夫への愛情は枯れてますが、子供達の事もありますし、それに情はまだありますので。それに公爵家の後ろ盾をいただいたお陰で夫とその家族は死ぬまで私に頭が上がらないでしょう。これ程痛快な事はありませんわ」と仰ってましたわ。
皆様、大変逞しいご様子です。
ソニア嬢と親しくしてた男性達は軒並み妻や婚約者に主導権を握られた状態ですから、非常に恐ろしいでしょうね。
ちなみに離縁や婚約破棄になった男性も元妻や元婚約者には頭が上がらなくなるのは確かです。その家族も、ですわね。なにせ彼女達は男達の下半身事情を熟知していますからね。ソニア嬢との関係は王家も十分把握してますが、それを理由に王家に対して何か抗議を言えるお家なんてあるわけないでしょうし、男性側の実家にとっては「不敬罪」に当たりかねない問題です。口外できるわけがありません。疑惑を向けられるだけでも恐ろしい事になるでしょうし……まぁ息子を教育しきれなかったという意味では自業自得ですわね。
これで万が一、ソニア嬢が『完璧な王太子妃』になる日が来たとして、王家に受け入れられたとしても、社交界で生き残ることはまず不可能になりました。
たとえ、百万分の一の確率だとしても『もしも』を予測して動くのは貴族の常識です。
それにこれはムダではありません。
次代を担う女性達の大半が私の味方になりましたもの。
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