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第十五話 「ロゼ」の開店と騎士団長(1)
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「ご、ゴホン…。突然申し訳ありません。
お久しぶりですです、剣聖の皆さん」
噛んだことを隠すように咳払いをし、騎士団長のユーシアス、
それから後ろにいた副騎士団長の女性、レヴィ・レーガントが入って来る。
「こんばんはー、ユーシアスちゃん、レヴィちゃん」
「どうも。」
「騎士団長と服騎士団長様が何の用だよユーシアスにレーガント。」
ハヤテがトゲトゲモードに早変わりする。
だが本当になんの用なのか。アオイに冷たい態度を取っていたからと言って攻略対象である時点で警戒は怠れないのだ。思わずやはり身構えてしまう。
「今日は…、あなたに用があって参りました」
ユーシアスがローアンを見下ろす。
それに怯む姿勢を見せては負けだという謎の気持ちが働き、
動揺を見せないようににっこりと先に笑ってしまう。
「あらあら私にでございますか……?
何か騎士団長殿にしてしまいましたでしょうか。」
「いえ、お礼を申しに」
「何に対してでしょうか?」
「皇太子殿下…いえ、ライオス殿下とアオイ嬢を助けていただいたことに感謝を。
本来ならば騎士団が出向くべきでありましたのに、申し訳ありません。」
二人が頭を下げるが、その言葉を聞いて心底どうでもいいと思った。
しかし王族になら騎士団の護衛がついているのに逃げられたということだ。
つまりは騎士団の尻ぬぐいだっと…。
「それからあのお二人のことですが…」
レヴィが喋り出すが、それをローアンは笑って制した。
「興味がありませんので結構です。」
「興味…って」
ローアンが皇太子だった人物に興味という言葉を使ったことに対してレヴィはものすごい形相になる。
それをあざ笑うかのようにまた微笑みを見せた。
「どうやら…剣聖になったことで少し態度が大きくなっているのではないでしょうか。」
「副団長!!剣聖に向かって…」
ユーシアスがそれを制す声を上げたが、こちらに謝る気などさらさらない。
「かまいません団長殿。
ですがレーガント副団長、私あの方々に人生滅茶苦茶にされているんです。
もう少しで私も私の家族も危なかった。
その男と女が助かったか助かっていないかなど私は興味がないのです。
別に剣聖になったからと言って態度を大きくするほど私は愚かではないつもりです。
それでもお話を続けますか」
「いえ…大変失礼いたしました。」
そしてその夜、指令はなく、朝組の時間になったので帰宅しようとした時だった。
「…ヴィルテローゼ嬢」
「あら、まだいらっしゃったんですか。」
馬車に乗り込もうとした時、ユーシアスに声をかけられた。
「はい。…先程は失礼を」
「あなたがしたことではないじゃありませんか。
別に本当に興味がないだけで気にしておりませんことよ。」
「そうではなくて…その…、
剣聖になって態度が大きくなっているとレヴィが言ってしまいましたが…」
「あなたもそう思うのですか?」
「むしろ逆なのです。」
「逆…?」
何だこの人も文句を言いに来たのかと、どうかわそうか考えていたのに、
逆だと言われて眉を怪訝そうにゆがめた。
「むしろ態度が大きいのはこちらの方です。
剣聖あってこその騎士団なのに、まるでこちらが偉いかのように振る舞う輩が大嫌いなのです。」
…この人ももしかして剣聖だけが汚れ仕事を扱うことを良しとしていないのか。
だとしたら別に悪い人間ではなさそうだが…。
「立派なお心づかい感謝いたします団長殿。」
そうほほ笑み、馬車に乗り込んだ。
「…はあ、俺があの人と会話できる日がくるなんてな…」
翌朝、家に王宮から使いの者が来た。
それは皇帝からの手紙で、カフェの話をシアンから聞いたという内容だった。
建てていると時間がかかるだろうとのことで、良い物件をもう見つけてくれてあり、
その物件には庭や調理器具がそろえてあり、材料費もこれからかかる費用も負担してくれる…との内容だった。
「…文句なしだわ」
それにしても、カフェの名前をどうしようか迷うところだ。
別にそこまでおしゃれな名前でなくてもいいだろうし…、
「ロゼ、お店を開くんですってー!?」
にぱーっとほほ笑んだ母が部屋に入ってきたのを見て、ピーンときた。
「…ロゼにしよう」
今はローアンという名があるので、元の名を覚えていてくれる人は数少ない。
それにカフェで働いているときは剣聖ではなくヴィルテローゼでいたい。
「はいお母様」
とほほ笑んだ。
お久しぶりですです、剣聖の皆さん」
噛んだことを隠すように咳払いをし、騎士団長のユーシアス、
それから後ろにいた副騎士団長の女性、レヴィ・レーガントが入って来る。
「こんばんはー、ユーシアスちゃん、レヴィちゃん」
「どうも。」
「騎士団長と服騎士団長様が何の用だよユーシアスにレーガント。」
ハヤテがトゲトゲモードに早変わりする。
だが本当になんの用なのか。アオイに冷たい態度を取っていたからと言って攻略対象である時点で警戒は怠れないのだ。思わずやはり身構えてしまう。
「今日は…、あなたに用があって参りました」
ユーシアスがローアンを見下ろす。
それに怯む姿勢を見せては負けだという謎の気持ちが働き、
動揺を見せないようににっこりと先に笑ってしまう。
「あらあら私にでございますか……?
何か騎士団長殿にしてしまいましたでしょうか。」
「いえ、お礼を申しに」
「何に対してでしょうか?」
「皇太子殿下…いえ、ライオス殿下とアオイ嬢を助けていただいたことに感謝を。
本来ならば騎士団が出向くべきでありましたのに、申し訳ありません。」
二人が頭を下げるが、その言葉を聞いて心底どうでもいいと思った。
しかし王族になら騎士団の護衛がついているのに逃げられたということだ。
つまりは騎士団の尻ぬぐいだっと…。
「それからあのお二人のことですが…」
レヴィが喋り出すが、それをローアンは笑って制した。
「興味がありませんので結構です。」
「興味…って」
ローアンが皇太子だった人物に興味という言葉を使ったことに対してレヴィはものすごい形相になる。
それをあざ笑うかのようにまた微笑みを見せた。
「どうやら…剣聖になったことで少し態度が大きくなっているのではないでしょうか。」
「副団長!!剣聖に向かって…」
ユーシアスがそれを制す声を上げたが、こちらに謝る気などさらさらない。
「かまいません団長殿。
ですがレーガント副団長、私あの方々に人生滅茶苦茶にされているんです。
もう少しで私も私の家族も危なかった。
その男と女が助かったか助かっていないかなど私は興味がないのです。
別に剣聖になったからと言って態度を大きくするほど私は愚かではないつもりです。
それでもお話を続けますか」
「いえ…大変失礼いたしました。」
そしてその夜、指令はなく、朝組の時間になったので帰宅しようとした時だった。
「…ヴィルテローゼ嬢」
「あら、まだいらっしゃったんですか。」
馬車に乗り込もうとした時、ユーシアスに声をかけられた。
「はい。…先程は失礼を」
「あなたがしたことではないじゃありませんか。
別に本当に興味がないだけで気にしておりませんことよ。」
「そうではなくて…その…、
剣聖になって態度が大きくなっているとレヴィが言ってしまいましたが…」
「あなたもそう思うのですか?」
「むしろ逆なのです。」
「逆…?」
何だこの人も文句を言いに来たのかと、どうかわそうか考えていたのに、
逆だと言われて眉を怪訝そうにゆがめた。
「むしろ態度が大きいのはこちらの方です。
剣聖あってこその騎士団なのに、まるでこちらが偉いかのように振る舞う輩が大嫌いなのです。」
…この人ももしかして剣聖だけが汚れ仕事を扱うことを良しとしていないのか。
だとしたら別に悪い人間ではなさそうだが…。
「立派なお心づかい感謝いたします団長殿。」
そうほほ笑み、馬車に乗り込んだ。
「…はあ、俺があの人と会話できる日がくるなんてな…」
翌朝、家に王宮から使いの者が来た。
それは皇帝からの手紙で、カフェの話をシアンから聞いたという内容だった。
建てていると時間がかかるだろうとのことで、良い物件をもう見つけてくれてあり、
その物件には庭や調理器具がそろえてあり、材料費もこれからかかる費用も負担してくれる…との内容だった。
「…文句なしだわ」
それにしても、カフェの名前をどうしようか迷うところだ。
別にそこまでおしゃれな名前でなくてもいいだろうし…、
「ロゼ、お店を開くんですってー!?」
にぱーっとほほ笑んだ母が部屋に入ってきたのを見て、ピーンときた。
「…ロゼにしよう」
今はローアンという名があるので、元の名を覚えていてくれる人は数少ない。
それにカフェで働いているときは剣聖ではなくヴィルテローゼでいたい。
「はいお母様」
とほほ笑んだ。
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