14 / 27
第十四話 そうじゃない
しおりを挟む
「お父様!!お父様っ!!!」
「どうされましたか!?」
衛兵が何人か入って来る。
「陛下が!!コルゼ先生を呼んで!!」
「はっ!!」
「お待たせしました!!
王女殿下、少しお下がりください」
「は、はい」
今日は調子が良いって言ってたのに、混乱させるような
ことを聞いたから悪化させてしまった…?
元からお父様は重い病を患っていたけれど、今すごく、苦しそうだ。
「王女殿下、陛下のことは私にお任せを。
絶対に、死なせはしません」
「コルゼ…私のせいで…」
「大丈夫。リリーのせいじゃない。
医者の仕事をするまでだ。さ、部屋にお戻りください」
「…先生、父を頼みます」
「はっ」
…お父様が運ばれてから一時間がたった。
…どうか、ご無事で…。
ぎゅっと、祈るように手を握った。
「スノーリリー!!スノーリリー!!
おるのだろう!!」
…こんな時に、誰?
「困ります王子殿下!!」
…王子?第一王子のノーサ…、あの豚が。
こんな時に何の用よ…。
「ここか!!探させよって…」
「は?何の用?くだらない用だったら
ただじゃおかないわよ」
「大した用だから安心せい。」
「王子殿下!!恐れながら申し上げます。
お帰り下さい…。今どのような状況か、
ご存じだと思います」
ネア…、私を気遣って…
「ほお?王族の私に口出しするか小娘。
処刑台にのぼる覚悟はあるか?
…よく見たら可愛い顔をしておるな。
私の妾になるなら許してやらんこともない
ぞ?」
…は?もう我慢の限界。
おもいっきり、ノーサの胸蔵を掴み、
蹴り、踏んづけた。
「き、貴様兄に向ってなにをする!!」
踏む力を強めた。
「ぎゃああああ!!!」
「で?用って何よ」
「…あの父親がようやくくたばった
そうだな。悪いが、遺言を残される前に、
私が…王位を継承してやる…ふへっ」
なんて、気持ち悪く豚が笑った。
「へえ…そう」
踏む力を、いっそう強めた。
「いだだだだ!!!放せ!!!」
「次期女王の私に逆らうなんて、
偉くなったものねクソ豚。
骨を折ってほしくないなら動かない
方が身のためよ」
「このっ…!!」
「やっぱり豚ね。
ぎゃあぎゃあ騒いでわめくことしかしない。
あと…、私の侍女に手、出したらぶっ殺すよ?
これは冗談じゃない、警告。
もし、余計な真似すれば、そうね…
お前と、第二王妃、ランディー伯爵を
水責めか火責めにした後、斬首刑にして、罪人として、
首をさらしてあげるわ。
もしくは奴隷の売買が合法な国に売りとばす。
第二王妃は美人だから娼婦としてもいけそうね」
ちがう、こんなこと言いたくない。
そうじゃないんだ。
こいつが嫌いなのは本心だけど、
こんなことまで言ったら、私は暴君という
ことになる。
「…殺さないのは今そんなことを
してる場合じゃないからよ。
…出ていけ」
「…くそっ!!」
ふらっと、体が傾いた。
「ス…!」
ネアがこちらに駆け寄ろうとしたが、
手で制した。
今、倒れるわけにはいかない。
遠からずお父様は死に至る。
いつまでも、まだ王女の身分にすがるわけには、
いかない。
ああもう全部スカーレットのせいにしたい。
今まで、疲労で倒れることなんてなかった。
こんなに大変な思いしたことなかった。
…まあ全部野崎さんのせいなんだけど。
でも、ここに来て、いい人達に巡り合えた
のも事実。
これは私が頼まれた仕事だ。
何があっても、愛するこの世界は、
私が守れなきゃいけない。
「失礼します、王女殿下」
「先生!!…お父様は」
「無事です。今は少し熱があるだけで、
命に別状はありません。大丈夫ですよ」
にこっと、ほほ笑んだコルゼの顔を見たら、
全身の力が抜けたみたいになった。
「ありがとう、ございます。先生」
「医者としての仕事をしたまでです。
それと、陛下が一週間後、両親に会う、
とおっしゃっておいでです。」
「アルティア公爵に?」
「はい。」
「…私も同席いたします。
陛下には私からお伝えしますね」
「わかりました。」
…お父様が無事でよかった。
「孫の顔を見るまでは死なないって、
寝言で言っておりました…」
「そんなこといえるなら大丈夫ですね。
ありがとうございました」
「はい。」
「…陛下、本当に良かったのですか?」
「何がだコルゼ」
「何がって…、スノーリリー様に
病が進行していることを言わずに、
ただ熱がでただけ、なんて嘘を…」
「我が娘の婿になる男がそのような
しょぼくれた顔をするでないわ。
…言うたであろう。あの子は、強いフリした、
ただの女子であると。あの子は弱い。周りに強い姿を
見せて、それで安心している。
私が倒れたことにも、あまり動じず、落ち着いている
ように見せた。
そうとう今回の事態には参っただろうに。
次期女王になる我が娘の足枷には死んでもならん。
今、あの子に心配をかけるわけにはいかんのだ」
「…そこまでおっしゃるなら、
黙っておきます。でも、スノーリリー様に
恨まれますよ。」
「悪くない最期ではないか。
これも一つの愛よ。それに、孫の顔も
見たいしな」
「…はい」
「公務に戻ります。」
「はい!」
今は仕事に集中!!
さて仕事仕事!!
「お願いします!!
どうか国王にお目通りを!!」
「ですから、お帰り下さい。
ここを通す訳には参りません」
…あら?
シャルドと、誰かもめてる?
まあしばらくしたら帰るでしょう。
…10分たってももめてる…。
しょうがない。
「シャルド、どなた?」
「あ、申し訳ありませんスノーリリー様」
「どなた?」
「他国の、人質として扱われるブバリオ帝国の
第二皇子様です。」
「どうされましたか!?」
衛兵が何人か入って来る。
「陛下が!!コルゼ先生を呼んで!!」
「はっ!!」
「お待たせしました!!
王女殿下、少しお下がりください」
「は、はい」
今日は調子が良いって言ってたのに、混乱させるような
ことを聞いたから悪化させてしまった…?
元からお父様は重い病を患っていたけれど、今すごく、苦しそうだ。
「王女殿下、陛下のことは私にお任せを。
絶対に、死なせはしません」
「コルゼ…私のせいで…」
「大丈夫。リリーのせいじゃない。
医者の仕事をするまでだ。さ、部屋にお戻りください」
「…先生、父を頼みます」
「はっ」
…お父様が運ばれてから一時間がたった。
…どうか、ご無事で…。
ぎゅっと、祈るように手を握った。
「スノーリリー!!スノーリリー!!
おるのだろう!!」
…こんな時に、誰?
「困ります王子殿下!!」
…王子?第一王子のノーサ…、あの豚が。
こんな時に何の用よ…。
「ここか!!探させよって…」
「は?何の用?くだらない用だったら
ただじゃおかないわよ」
「大した用だから安心せい。」
「王子殿下!!恐れながら申し上げます。
お帰り下さい…。今どのような状況か、
ご存じだと思います」
ネア…、私を気遣って…
「ほお?王族の私に口出しするか小娘。
処刑台にのぼる覚悟はあるか?
…よく見たら可愛い顔をしておるな。
私の妾になるなら許してやらんこともない
ぞ?」
…は?もう我慢の限界。
おもいっきり、ノーサの胸蔵を掴み、
蹴り、踏んづけた。
「き、貴様兄に向ってなにをする!!」
踏む力を強めた。
「ぎゃああああ!!!」
「で?用って何よ」
「…あの父親がようやくくたばった
そうだな。悪いが、遺言を残される前に、
私が…王位を継承してやる…ふへっ」
なんて、気持ち悪く豚が笑った。
「へえ…そう」
踏む力を、いっそう強めた。
「いだだだだ!!!放せ!!!」
「次期女王の私に逆らうなんて、
偉くなったものねクソ豚。
骨を折ってほしくないなら動かない
方が身のためよ」
「このっ…!!」
「やっぱり豚ね。
ぎゃあぎゃあ騒いでわめくことしかしない。
あと…、私の侍女に手、出したらぶっ殺すよ?
これは冗談じゃない、警告。
もし、余計な真似すれば、そうね…
お前と、第二王妃、ランディー伯爵を
水責めか火責めにした後、斬首刑にして、罪人として、
首をさらしてあげるわ。
もしくは奴隷の売買が合法な国に売りとばす。
第二王妃は美人だから娼婦としてもいけそうね」
ちがう、こんなこと言いたくない。
そうじゃないんだ。
こいつが嫌いなのは本心だけど、
こんなことまで言ったら、私は暴君という
ことになる。
「…殺さないのは今そんなことを
してる場合じゃないからよ。
…出ていけ」
「…くそっ!!」
ふらっと、体が傾いた。
「ス…!」
ネアがこちらに駆け寄ろうとしたが、
手で制した。
今、倒れるわけにはいかない。
遠からずお父様は死に至る。
いつまでも、まだ王女の身分にすがるわけには、
いかない。
ああもう全部スカーレットのせいにしたい。
今まで、疲労で倒れることなんてなかった。
こんなに大変な思いしたことなかった。
…まあ全部野崎さんのせいなんだけど。
でも、ここに来て、いい人達に巡り合えた
のも事実。
これは私が頼まれた仕事だ。
何があっても、愛するこの世界は、
私が守れなきゃいけない。
「失礼します、王女殿下」
「先生!!…お父様は」
「無事です。今は少し熱があるだけで、
命に別状はありません。大丈夫ですよ」
にこっと、ほほ笑んだコルゼの顔を見たら、
全身の力が抜けたみたいになった。
「ありがとう、ございます。先生」
「医者としての仕事をしたまでです。
それと、陛下が一週間後、両親に会う、
とおっしゃっておいでです。」
「アルティア公爵に?」
「はい。」
「…私も同席いたします。
陛下には私からお伝えしますね」
「わかりました。」
…お父様が無事でよかった。
「孫の顔を見るまでは死なないって、
寝言で言っておりました…」
「そんなこといえるなら大丈夫ですね。
ありがとうございました」
「はい。」
「…陛下、本当に良かったのですか?」
「何がだコルゼ」
「何がって…、スノーリリー様に
病が進行していることを言わずに、
ただ熱がでただけ、なんて嘘を…」
「我が娘の婿になる男がそのような
しょぼくれた顔をするでないわ。
…言うたであろう。あの子は、強いフリした、
ただの女子であると。あの子は弱い。周りに強い姿を
見せて、それで安心している。
私が倒れたことにも、あまり動じず、落ち着いている
ように見せた。
そうとう今回の事態には参っただろうに。
次期女王になる我が娘の足枷には死んでもならん。
今、あの子に心配をかけるわけにはいかんのだ」
「…そこまでおっしゃるなら、
黙っておきます。でも、スノーリリー様に
恨まれますよ。」
「悪くない最期ではないか。
これも一つの愛よ。それに、孫の顔も
見たいしな」
「…はい」
「公務に戻ります。」
「はい!」
今は仕事に集中!!
さて仕事仕事!!
「お願いします!!
どうか国王にお目通りを!!」
「ですから、お帰り下さい。
ここを通す訳には参りません」
…あら?
シャルドと、誰かもめてる?
まあしばらくしたら帰るでしょう。
…10分たってももめてる…。
しょうがない。
「シャルド、どなた?」
「あ、申し訳ありませんスノーリリー様」
「どなた?」
「他国の、人質として扱われるブバリオ帝国の
第二皇子様です。」
15
お気に入りに追加
4,252
あなたにおすすめの小説
腹黒王子は、食べ頃を待っている
月密
恋愛
侯爵令嬢のアリシア・ヴェルネがまだ五歳の時、自国の王太子であるリーンハルトと出会った。そしてその僅か一秒後ーー彼から跪かれ結婚を申し込まれる。幼いアリシアは思わず頷いてしまい、それから十三年間彼からの溺愛ならぬ執愛が止まらない。「ハンカチを拾って頂いただけなんです!」それなのに浮気だと言われてしまいーー「悪い子にはお仕置きをしないとね」また今日も彼から淫らなお仕置きをされてーー……。
義兄様に弄ばれる私は溺愛され、その愛に堕ちる
一ノ瀬 彩音
恋愛
国王である義兄様に弄ばれる悪役令嬢の私は彼に溺れていく。
そして彼から与えられる快楽と愛情で心も身体も満たされていく……。
※この物語はフィクションです。
R18作品ですので性描写など苦手なお方や未成年のお方はご遠慮下さい。
【R18】悪役令嬢を犯して罪を償わせ性奴隷にしたが、それは冤罪でヒロインが黒幕なので犯して改心させることにした。
白濁壺
恋愛
悪役令嬢であるベラロルカの数々の悪行の罪を償わせようとロミリオは単身公爵家にむかう。警備の目を潜り抜け、寝室に入ったロミリオはベラロルカを犯すが……。
【R18】殿下!そこは舐めてイイところじゃありません! 〜悪役令嬢に転生したけど元潔癖症の王子に溺愛されてます〜
茅野ガク
恋愛
予想外に起きたイベントでなんとか王太子を救おうとしたら、彼に執着されることになった悪役令嬢の話。
☆他サイトにも投稿しています
王女、騎士と結婚させられイかされまくる
ぺこ
恋愛
髪の色と出自から差別されてきた騎士さまにベタ惚れされて愛されまくる王女のお話。
性描写激しめですが、甘々の溺愛です。
※原文(♡乱舞淫語まみれバージョン)はpixivの方で見られます。
【完結】王子妃になりたくないと願ったら純潔を散らされました
ユユ
恋愛
毎夜天使が私を犯す。
それは王家から婚約の打診があったときから
始まった。
体の弱い父を領地で支えながら暮らす母。
2人は私の異変に気付くこともない。
こんなこと誰にも言えない。
彼の支配から逃れなくてはならないのに
侯爵家のキングは私を放さない。
* 作り話です
騎士団長の欲望に今日も犯される
シェルビビ
恋愛
ロレッタは小さい時から前世の記憶がある。元々伯爵令嬢だったが両親が投資話で大失敗し、没落してしまったため今は平民。前世の知識を使ってお金持ちになった結果、一家離散してしまったため前世の知識を使うことをしないと決意した。
就職先は騎士団内の治癒師でいい環境だったが、ルキウスが男に襲われそうになっている時に助けた結果纏わりつかれてうんざりする日々。
ある日、お地蔵様にお願いをした結果ルキウスが全裸に見えてしまった。
しかし、二日目にルキウスが分身して周囲から見えない分身にエッチな事をされる日々が始まった。
無視すればいつかは収まると思っていたが、分身は見えていないと分かると行動が大胆になっていく。
文章を付け足しています。すいません
虐められて引きこもりになって自殺して悪役令嬢に転生した私は、とことん破滅への道を突き進みますわ!
奏音 美都
恋愛
小さい頃から、虐められ体質だった。幼い頃は顔がブスだから、無愛想だから、無口だからと虐められ、小学生になると更に母親がいないから、バカだから、貧乏だから、臭いからと虐められ、中学生になると私の存在自体が目障りだと虐められ……引きこもりになった。
さようなら、つまらない私の人生……
今度生まれ変わったら、生きてる実感を持てるような人生を歩んでみたい。
そんな私を待っていたのが、乙ゲーの悪役令嬢として迎えた転生だった。
こうなったら、悪役令嬢としてとことん破滅への道を突き進みますわ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる