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来んなよ、馬鹿!

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「ふぁ·····眠い·····」
昨日、いつもは喋らないのに叫んだから頭が痛く、寝付けなかった。今日はある貴族様に頼まれた治癒の薬を作らなければならない。それも大量に·····気の遠くなりそうな作業に再度、頭が痛んだ
多分、用途は戦争か·····少しでも死者が出ないよう一つ一つを丁寧に作っていった

日が完全に沈み、森に住む獣達の吠える声が聞こえてきた。まだ、出来ている量は半分、明日までかかるだろう·····今日は徹夜か·····椅子から立ちあがり、コーヒーを作り、カップに注いだ。ほっと一息つき、作業を続行しようとすると
ドンドンドン
「ルベル様!!助けてくださいませ!!」
「えっ·····」 
ドアを叩く音と共に聞こえるあの女の声·····
ま、まさか、来ないよな·····多分、疲れているんだよな·····
「狼様!どうか、食べないでくださいませ!!」
来たのかよ!おい!
いそいで怪談を駆け下りて、玄関の扉を開けた
そこには狼の群れに囲まれ、怯えているあの女がいた
「ルベル様!!」
「たく、またかよ!金、取るからな!!」
俺はいそいで火の球を作り、狼の方へ投げた
狼達は驚いて、逃げていった
「はぁ·····助かりましたわ·····ありがとうございました!」
「金貨5枚から10枚に変更な」
「えっ·····払えるかしら·····」
「それにしてもなんで来たんだよ!!」
「見てくださいませ!」
そう言って自信満々に見せてきたのは銀貨1枚だった
「お前·····これ·····」
「今日、店で働いてきましたの!そしたら貰えましたわ!」
女の髪は乱れ、一生懸命働いてきたのだろうと一目で分かる有様だった
「·····なんでここまでするんだよ!お前、貴族様だろ!ていうか俺は逃がしたつもりだったし!」
「?私はただ治療費を払いに·····」
「治療費なんか別にいらねぇーし!二度と来るな!」
「それは出来ませんわ!あなたに会いたいんですもの!」
「くっ·····なんで俺なんかに惚れるんだよ·····」
女はさも当たり前のように言った
「助けてもらったときに運命を感じましたの!」
「運命って·····」
馬鹿だよ、こいつは·····
「たく、だったら金を最後まで払えよ·····」
「もちろんですわ!!」
「あと、夜には来んな、危ない」
「それは出来ません!仕事が終わるのは夜ですもの」
「お前!家族に心配されるぞ!」
「それはご心配なく!大丈夫ですわ!」
「はぁ·····お前、名前は?」
「名前って·····私の名前を聞いていただけますの?!」
「そうだよ、嫌なら今まで通りだが·····」
「ローズ・トトですわ!」
「トトってお前·····伯爵家か?!」
「はい、そうです·····でもローズとお呼びくださいませ!」
「はぁ·····まぁいい、屋敷まで送ってやるよ」
「だ、大丈夫ですわ!」
「だってまた襲われたらダメだろ?」
「今度は倒しますわ!」
そんな細い腕で倒せるわけないだろ·····
「·····そんなに嫌なら泊まってけ!そして明日一人で帰れ!」
「お·····と·····ま·····り·····お泊まりですの?!これはもう·····ルベル様も私のことを·····」
「馬鹿!!」
俺はローズの頭を強く叩いた
ローズは痛そうに頭を押さえるが、しばらくすると顔が笑顔になっていった·····
えっ?!笑顔って·····
「あぁ!!ルベル様が私に触れてくれたわ!!」
「お前!!殴られて喜ぶとか変態かよ!!」
「だって~痛みさえも嬉しいんですもの!」
「·····早く、寝ろ!!」
「一緒に寝ましょう!ルベル様!」
「寝るか!俺は今から仕事だ!」 
「お仕事?」
「治癒の薬作ってるんだ、貴族様に頼まれてな」
「凄いですわね!見てもよろしいですか?」
「気が散る、ダメ」
「うぅ·····お願いしますわ!」
「ちょっ、離せ!!」
「嫌ですわ!!」
俺の足を掴んで、全く離さない·····ウザイ·····なんでこんな奴を泊めてしまったのか·····
「はぁ·····邪魔すんなよ」
「やったですわ!!ありがとうございます!」
これを許してしまう俺も俺なんだが·····
俺は作業部屋に戻り、続きを始めた
ローズは楽しそうにその様子を眺めていた
あと残り4分の1になったそのとき·····なぜか睡魔が襲ってきた·····これは·····魔力が尽きる·····治癒の薬だけではここまで減らない·····ま、まさかさっき助けたときのやつか?!それに今日はあまり寝ていない·····くそ、でもここで終わるわけには·····
治癒の薬は作ったらすぐに保管室に入れなければならないのだが、保管室が遠いため全部机の上に置いてある。今から寝てしまえば確実にこれらはダメになってしまうだろう。流石にそれは辛い!だが、もう全く足が動かない·····くそ·····仕方がないが·····
「お、おい·····ローズ·····」
「なんでしょう?ルベル様?」
ローズは呼ばれて嬉しそうにこちらにやってきた
「これら·····を·····保管室に·····もって·····いってくれ·····」
「ほ、保管室?どこにありますの?」
「この屋敷の地下·····頼んだぞ·····」
「えっあっ?!ルベル様!!」
言ってから思い出したが、保管室の扉には魔法で防御が張ってあるのだった·····しかし
そこで俺の意識は途切れてしまった·····
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