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生き残れても生き続けるのは大変だよな

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 昼寝から目覚めてすぐに夕飯。今夜は飲酒禁止で食べ終わるとすぐに部屋に戻って来た。今日買った野菜を刻んで乾燥させておきたいのだ。当然呑兵衛のメロロアは渋ったが、明日は飲んで良い事にして収めてもらった。

「ゲイン、板を出すわよ。脚になる物を出してくれないかしら?」

「こっちも色々出すから少し待ってて」

 箱を出し、調理器具やらバケツやらを出したら箱を脚にして板を乗せる。その周りを5人が囲み、取り出された野菜を思い思いに切って行く。葉物と実物はザクザクと、根物は薄切りにしてバケツに入れて行く。バケツと鍋2つにこんもりと貯まったらデリートウォーターでカリカリにして干し野菜の箱へ補充する。5人でやっても結構な時間がかかり、少し夜更かししてしまったが何とか全部干し野菜に加工する事が出来た。

「お…、終わったぁ~」

「みんな、お疲れ様」

 タララが床に倒れ込む。気持ちは分かるがベッドで寝なさいね?

「少し溢れましたね」

「明日の買い出しに野菜は要らないですねー」

さすが1万ヤン分の野菜だ。元々少し箱に入ってたけど、それでも溢れるほど作れたよ。余ったのは大鍋に入れておく。

「マタル粉はもう少し欲しいな。1日3ナリは使うし」

「10日で30ナリですか。お店並ですね」

「店だと1食でそのくらい使いそうだよな。どんなに粉挽きしても足りない訳だ」

 作っても儲からない作物。それがマタルだ。その代わり保存が効いて必ず売れる作物でもある。街の領主が全て買い上げるからだ。

 で、この街から国境を超えて次の街に行くのに、村を2つと国境、そこから更に村を2つ越える必要がある。最短で5日、手こずればそれ以上かかるのだ。手持ちのマタル粉だと、手こずってギリギリ足りる程度なので買い増しは必須なのである。

「明日は買い物して出発の準備。明後日の朝には街を出るそんな感じで良いか?」

「いーよー」「「了解です」」

 荷物を片付けてベッドに入る。

「今日こそは私ですよ」

「んもー」「仕方ありませんね」

 モゾモゾとベッドに入って来たのは多分メロロアだ。残る2人は既に寝ているアントルゼのベッドに移動したようだな。

 体に密着するメロロアが柔らかい物を押し当てて擦り付ける。温かさと気持ち良さに包まれて、俺は意識を手放した。


 セイコーを迎えた俺の朝は早い。昨日様子を見に行くのを忘れたからだ。抱きついて離れないメロロアは裸だ。そりゃ裸で寝たら寒くて抱かざるを得ないよな、馬鹿な女め。唯一動く左手でメロロアのおっぱいを寄せて上げ、膨らみの先っちょに顔を近づけると腕の力が緩んだので抜け出して毛布を詰めておく。後は脚か。

 脇腹にがっちりホールドされた脚は手こずりそうだ。メロロアの股に向かって体を滑らせお腹を枕に、体を回しながら腕と肩を脚の隙間から脱出させた。股の力が首を締め付ける。もう少しだ。頑張れ俺!お尻と太ももをすりすり撫でながらゆっくり脚を外す。

ちゅ

「ひっ」

 起きてんじゃねーか。毛布で包んだメロロアに抱きついてそっと囁く。

「初めて見たよ。セイコーの世話して来る」

「ん…」

 寝てる時より柔らかくなったメロロアから離れ、マントを被って部屋を出た。

「セイコー、おはよう。ご飯だよー」

ガッ、ガッ、ガッ

 地面を蹴って不満を表すセイコーに、水と飼葉を用意する。不満気に頭を突っ込みもしゃもしゃしだすセイコーを撫でる。撫でまくる。食べさせない干し草で体を擦る。全身擦る。

「昨日は寂しかったか?いっぱい動いたから疲れてると思ってそっとしてたんだ。俺は寂しかったよー」

「ヒヒッ!ヒヒーンッ!」

 突然顔を上げたセイコーが鳴く。首に抱きつきどうどうとなだめる俺を舐めて齧ってまた舐める。ヨダレと干し草でベトベトにされた。口の中、干し草の味がする…。その後は大人しく食べ始めたので口をゆすいで顔を…、頭を洗ったら部屋に戻ろう。

「セイコーと何してたのよ?びっくりして起きちゃったわよ」

「お世話して来ただけだよ。ヨダレまみれにされたけどな」

 部屋に戻るとみんな起きてた。馬を扱う者は総じて早起きになるから他の客には迷惑かけてないと思いたい。

 朝食を摂り、今日の予定をおさらいする。買い物はマタル粉。出来れば毛布とマットをもう5枚欲しい。後は自由時間とするが、固まって行動するようにした。厄介事は避けたいからね。

 皮鎧に着替えたら、街に繰り出しお買い物。マタル粉は2つの店で20ナリ買えた。マットにしてるフェルトは中古しか無かったが5枚で25000ヤンで少しだけ安かった。毛布は新品が良いとみんなが言うので5枚で25000ヤン。

「そろそろ金貨が心許ないな。高い買い物は気をつけようか」

「お金稼がないとね~」

「そうね、私達やメロロアはそんなに持ってないものね」

「タララさん程は無いですね」

「俺よりはあるのか。金持ちめ」

「見栄張らせて下さいよぉ。花形職とは言え仕事の割にはお給金良くはないです」

「国境を超えたらしばらく仕事して金を稼ぐか」

「そだね。売り物を小出しにしてもい~と思う」

 売りたくても売りにくいのがあるんだったな。街に着いたら小出しにしてみるか。

 買い物を終えて自由時間となった。とは言え単独行動はさせられないので結局みんな揃ってウロウロ街を散策する。そして最後に回る事にした街の広場の市場では、いろんな物が売られていて見てて楽しい。

「もう買う物は無いのよね?」

「まあ、見てなされ」

 アントルゼの目に留まる物は無さそうだが、店の商品をよく目をこらして見せてやる。薄い箱の上に雑多に並んだアクセサリー。指輪にネックレスが絡んで塊になっちゃってるよ。

「私、こんな汚いリングでなびく女じゃないの」

「あたい、ゲインがくれるなら何でも嬉し~よ?」

「物によります」

「地金にはなりそうですね」

「買う気が無いなら失せな!商売の邪魔だよ!?」

 威勢の良いお姉さんが凄んで来るが、ケンカは売り物にしても金にならんよ?

「ごめんねお姉さん。俺が着ける用に買おうと思ってるんだ。その塊、少し解しても良いか?」

「買ってくれるならね」

 買うと聞いて冷静になったか、椅子にドカッと座り込む。

「値段次第だよ。それにこんな塊じゃ逆に売れないだろ?」

「あンたが1人目さ。さあ買った買った!」

 その前に解して解して…。そしてこっそり鑑定する。指輪の中には大して良い物は無かったが、ネックレスに良いのがあった。

「これ、石が無いけどいくら?」

「1000」

「地金代ですね。買うんですか?」

「なら溶かして指輪にしようかな。お姉さんこれ買うよ」

「毎度ありよ。あンた可愛く見えて来たよ」

 財布から銀貨を出してお支払い。おまけにほっぺにチューされた。

「ゲーイーン…」

「石だけ売ってる店も探してみようか」

 恐ろしい顔のタララをサラりとスルーし店から離れると、すぐに男の列が出来ていた。スケベ共め。顔を洗って出直せ。ギトギトだぞ?

 とまあこんな感じでウロウロしながら指輪にネックレス、腕輪を買って宿に戻った。

「いっぱい買ったね~」

指輪5
ネックレス4
腕輪8

 どれも1000ヤン以下で買えて総額12900ヤン。鑑定すると、こうなる。

水のリング5
水のネックレス4
水のブレスレット8

「見てて思いましたが、ゲインさんは鑑定持ちなんですね」

「まだ元取れてないけどな」

「すごい買ってたもんね~」

「石が無いから見落としてたわ。良い物じゃない。私はやっぱり買わないけど」

「アントルゼ嬢も鑑定持ちですか?」

「私持ってないわよ」

「持ってないのによく分かりますね」

「費用対効果は高いですね」

「ホント貴族の審美眼は羨ましいよな。さて、まだ効果を試してないから何とも言えんが、今着けてるヤツと同じ性能なら4つ着けるだけで俺は水魔法が使い放題だ。みんなは5つかな」

「じゃあ試してみないとねー」

 セイコーを構いに厩舎に行くと、しおらしく顔をなすり付けて来る。俺はセイコーを甘やかすからみんな検証頼んだぞ?

 検証の結果、

水のリング
水系魔法消費量-2%×3
水系魔法消費量-3%×2

水のネックレス
水系魔法消費量-2%×4

水のブレスレット
水系魔法消費量-2%×5
水系魔法消費量-3%×2
水系魔法消費量-4%×1

 …となった。-4%は凄いな。

「ゲイン~、ヘトヘトなんだけど~」

「みんなお疲れ様。部屋で休もうな」

 -4%のブレスレットを着けてビシャビシャになった地面をデリートウォーター。MPの消費は、無し。すげぇ。汚いのをバケツに入れてウォッシュ。MPの消費は無し。-2%のブレスレットを2つ着けて、-4%のブレスレットをウォッシュ。MPの消費は無かった。

「とにかく、みんなが好きなだけ水を出せるようになったって訳ね」

「私だけ、少し消費しますけどね」

 数の関係でメロロアだけ消費してしまう事になってしまったが、飲み水であれば好きなだけ垂れ流せるのだ。コップに注いで水盃を空けてるが、それ魔力使って無いからな?

 俺は-4のブレスレットをもらい、タララはネックレス2本とブレスレット2つ。アントルゼはリング2つにブレスレットとネックレスを1つずつで、カウモアはブレスレット4つにネックレス。メロロアは残り物のリング3つとネックレスとなった。

「1人6000ヤン程で水が使い放題だ、やったね」

「水の属性魔石よりは安いですね」

「こっちは永続的に使えるからお得じゃない?」

「そのうちジャラジャラするようになるね~」

「付け直しなさいよ」

「魔法戦闘が出来るようになりますので、中級のスキルが欲しいですね」

「ウォーターウォールは中級だ。便利だぞ」

「並べて浴槽みたく出来ますね」

「水風呂だけどな。そろそろ昼寝するから静かにな」

「あ~い」

 鎧を脱いで、横になるとくっ付いて来るのはアントルゼ。

「昼寝の時はお前なのか?」

「夜は譲ってるのだから昼寝の時くらい温まらせてよね」

 街でしか昼寝はしないし、仕方ないよな。

「アントルゼ、背中向けれ」

「ん…。こう?」

 横になって背中を向けるアントルゼを後ろから抱きしめるように体を重ねる。片腕を枕にされ、もう片方の手は毛布と一緒にかけられ握られた。温かいな…。

 気がつくと夕方。窓から見える景色が赤い。まだみんなは寝ているようで、目の前にいる小さい奴も俺の手を体に押し付け静かに寝息を立てている。トクントクンと手に伝わる鼓動にふわりとした柔らかさ。そして良い匂い…。二度寝したいのをグッと堪えて口を開く。

「アントルゼ、そろそろ夕飯だ。起きようか」

「ん…。みんな、起きてないじゃない…」

「旅の疲れとか、出てるか?」

「歩いてはないけど、そうなのかしらね。ねぇ、ゲイン」

「ん?」

「私の、柔らかい?」

 柔らかさを聞かれてドキッとしてしまう。

「女を意識するくらいには、な」

「なら、みんな起きるまで揉んでて良いわ。私だって、もっと大きくなりたいもの」

 大きくなるかは分からんが、背中を丸めて寄せられたアントルゼのおっぱいは、普段の姿よりも大きく感じて、ふわふわと柔らかかった。

「ドキドキして、温かいわ」

「お前もな」

「ねぇ、それ、おしっこ?それとも性欲?」

「…ごめんな」

「温かくて私は好きよ?この間みたいに挟んでも良い?」

「だ~め~」「ダメですよ?」「なりません」

「…だそうだ。トイレ行って来るよ。おしっこもしたいし」

「そうね。夕飯の時間よね」

 挟むのはダメだそうだ。つーかお前らずっと起きてたろ?感知系スキルでやきもきしてるの分かってたんだからな?熊皮のマントを羽織るとアントルゼが私もと中に入って来る。一緒にトイレに行くらしい。

「これも温かくて良いわね。熊より兎の方が毛が柔らかくて好きなのだけど。兎皮のマント出ないかしらね?」

「豪運の持ち主に聞いてくれ。階段気をつけろよ~」

「はぁ~い」

「ぬぐ…、ゲインがアントルゼちゃんに優しい…」

「羨ましいですなぁ」

「私もあのくらいの背丈に産まれたら…」

 後ろから付いて来る3人が恨み節を吐いているが、お前等は夜くっ付いて来るだろうが。

 トイレに行って食堂に戻って来るとタララ達が場所取りしていてくれた。ありがたし。

「明日は出発だからしっかり食って良いぞ」

「じゃああたい、お肉3つとスープ!」

「エールと焼肉とエールで」

「私は焼肉2枚とスープとソーサーを頂きます」

「お肉2枚は多過ぎるから、半分あンたに上げるわ。それとスープとソーサー」

 俺は普通に注文し、料理が揃っていただきます。一心不乱に肉を噛み千切るタララ。小さく切った肉をツマツマ食べるアントルゼに、静かに食事をするカウモア。そして両手にジョッキを持ってエールを交互に飲むメロロア。1人以外は静かな食事であった。

「ふは~。昨日飲めなかったのでしあわせれす~」

 食事を終えて風呂に入り、ベッドの中では3人が俺にくっ付いて来る。タララは俺の顔を抱き、カウモアは俺の腰に抱きついて、俺の手をおっぱいに押し付けてる。中々デカい。メロロアはその反対側。タララの脚をかいくぐって俺の腰を枕にしてやがる。今夜も寝返り打てないのか…。

「増えないからって羽目を外さないでね?おやすみ」

「分かってるよう、吸うだけね。おやすみ~」

「残念です。揉むだけで。おやすみなさいませ」

「ムラムラしてますが…我慢します…おやすみなさーい」

「一番の歳下がそう言ってるんだからな?はめるなよ?」

 唯一動く右手でそっとメロロアの頭を撫でて、俺は目を閉じた。タララは赤ちゃんごっこが好きなのだな。カウモアはおっぱい大きいから持ち上げられたら楽なのかも知れない…。メロロア…ん…………ふぅ…。


 何処かの馬の嘶きに目が覚めて、顔と両手を使ってくっ付いてる3人を起こす。メロロアは起きてるだろ。アントルゼが起きる前に止めとけ?

 3人が満足して起き出すと、俺は熊皮のマントを羽織ってトイレに行く。アントルゼも中に入って一緒に行く。メロロアも顔を洗いに行くと付いて来た。

「ねぇ。あんたお漏らしでもしたの?」

「メロロアのヨダレだよ。あまり触れないでやってくれ」

「美味しかったです」

「腸詰め食べた夢でも見たのかしら。噛まれなくて良かったわね」

「女の子になっちゃうな」

「一緒にパンツ買いに行けるわね。その時はプレゼントしてあげる」

 トイレと洗顔等を済ませて食堂へ。こちらに手を振るタララを撫でて、頭を向ける牛マスクをぺたぺた。さあ飯だ飯だ。

 いつも通りに朝食を平らげ、部屋で着替えてチェックアウトしたら厩舎に向かう。セイコーにご飯をあげながら装具を着けて、客車をチェックし準備完了。

「今日から長距離の移動だ。しっかり頼むな」

「ぶるる、ぶるるる…」

 朝日を受ける北門が朝露を光らせる。中に入る行商の馬車と、これから出て行く乗り合い馬車が行き交う門を潜り、街を出た。北口から伸びる街道は見渡す限りの畑と草原が広がっていて、畑では農夫達が仕事に励んでいる。少し前まで俺もそこに居た風景だ。

 轍の少ないキレイな街道をガッポガッポと進む。前に居る乗り合い馬車から子供が顔を出してセイコーに手を振ってるよ。遅いから追い抜いて行きたいけど更に先には商隊が居るし、諦めてのんびり行くしかない。

 木の門で前の2台が休憩するようで先頭になった。

「良かったね~。これで我慢しないで歩けるね」

「そうも言えんのよな」

 タララが首をかしげたのをメロロアが応える。

「ええ、商隊を見ていて察しました。居ますよね、これ」

「これ?どれ?」

「野盗よね?」

「アントルゼ、正解だ」

「商隊の護衛で対応出来ない程の規模なのでしょうか?」

 カウモアは目を閉じて感知系スキルに集中する。

「多分な。メロロア先輩、よろしく頼むよ」

「頂いた分は必ず」

「なにもらったの?」

 セイコーに足を使ってもらい、タララの質問をかき消した。

「タララ、アントルゼも索敵は欠かすなよ?1人でも居たら停めて迎撃する。仲間を呼ばれる前に殺れなければ引き返すぞ」

「あいよ!」「了解よ」

 馬車を降りて前方を広範囲に見るメロロア。メロロアを見ながら前を見る俺。左右を見るタララとアントルゼ。馬車の周囲に集中するカウモアと分担し、索敵を行う。

 正面にいたメロロアがフッと消えた。俺はセイコーの足を緩める。

「戻りました。斥候が2人でした」

「お疲れ様」

「多分ですが、傭兵崩れかと思います。見逃してたらすみません」

「分かった。引き続きよろしくな」

 草藪の中に壕を作って潜んでいるそうで、メロロアでも見逃してしまうそうだ。地面の凸凹に気をつけるよう、みんなに注意を促し先を急ぐ。

 メロロアが殺った斥候はあれだけだったようで、1つ目の休憩地に着くまでに襲撃は無かった。とは言え、斥候が帰って来ないとなれば必ず確認に来るだろうし、気は抜けない。セイコーに水を飲ませ、息が整うのを待って出発する。

「みんな、干し肉食っとけ。次の休憩地も同じ感じだからな」

「あ~い」

「お昼はゆっくり食べられないのね、分かったわ」

 客車の3人に干し肉を1枚ずつ手渡して、俺も1枚齧り付く。メロロアには後でゆっくり食ってもらおう。

 斥候を殺った場所からはだいぶ離れた事で、メロロアが帰って来た。斥候の移動範囲を超えてるので、本隊とは離れたと言って良い…って事らしい。勿論断言等出来ないので、干し肉食べて少し休憩したらまた前に出るそうだ。

「入り口で待つ組と、出口で待つ組、真ん中で待つなんてのも含めたら3つか4つ居てもおかしくないです」

「村で待つのも居たりしてな」

「かも知れませんね」

 2つ目の休憩地に着いたらみんなに水と食事を摂らせ、俺はセイコーの様子を見る。カウモアは干し肉食み食み客車のチェック。メロロアは広範囲、タララとアントルゼは街道の左右に監視の目を光らせる。

「セイコー、装具を外してやれなくてごめんな?」

 水をグビるセイコーは何も語らず、尻尾を上げてボロボロしてる。ボロはしっかり回収する。これマナーね?

 短い休憩を切り上げて移動再開。メロロアの読み通り、森の出口を縄張りにしてる野盗が居たようで、斥候を2人殺ってくれた。

ガサッ

 最後まで殺意を見せなきゃ殺れてたのにな。木の上に潜んでいた1人が飛び降りて俺を突き殺そうとして来たが、ソイツの全身、まとめて収納してやった。生きた状態で入れるつもりだと入らないだけで、生かすつもりが無ければ入るのだ。丈夫な草木は生き残るが、丈夫でない人等は死んで出て来る。

「ゲイン様、ご無事で!?」

「ビックリだぜ。中に入れた奴が生きてたら、中がどんなだったか聞いてみたいな」

「生き物は入れられないのよね。凄い発見だわ」

「あまり知られちゃならんけどな」

「ゲインさん、ご無事で何よりです。見逃してすみません」

「2人居たら死んでたな。森を抜けたら村まではゆっくり行こう」

 森を抜け、畑の広がる盆地に出る。カウモア曰く、典型的な戦場いくさばだそうで、正面から押し合って、森まで押されたら伏兵で…、みたいな感じなのだとか。盆地の中程には柵のある村が見える。野盗が狩って食ってるだろうし、野獣は居ないのだろうな。お粗末では無いがヤワそうな木の柵が敵襲の少なさを感じさせた。だが、村にとっての敵と、俺達にとっての敵は違うから、警戒は緩めず向かう。


「入って良いですよー!?」

 我等が斥候にして交渉役でかつ、一番強いメロロア先輩が門前から手を振り跳ねる。セイコーがバッカラバッカラ歩き出し、槍持つ村人を睨みながら門を潜った。

 寝床は何処でも良いらしい。空き家もあるし、厩もある。金は要らんが敵でも出たら手伝ってくれ。だとさ。

 信用ならん。

 みんなも察したようで、場所を探すふりして裏門から外に出る。門前に居た槍持つ村人には、飼葉を取って来ると言っておいた。嘘ではない。少し離れれば草藪があるし、徒歩で行くより馬車で行くのが楽だからな。

「ゲイン、あれは無いよね~」

「ああ、この間の村以上だ」

「隠すって言葉、知らないのかしらね」

「看破出来ると思っていないのでしょう」

「敢えて避けると怪しまれそうでしたから入りましたけど、夜は大変ですね」

「せっかくみんなのおっぱい吸い比べしようとおも「はいう~そ~」言わせろよ」

 村から離れて盆地の際を今夜の野営地とした。草刈りし放題、干し草取り放題だ。ツーハンドソードを振り回し、カウモアが草を刈りまくる。俺は集めてデリートウォーター。メロロアは警戒しながら休憩させて、タララとアントルゼには壕と壁を作って貰う。時間があるから最初から4ハーンだ。

 草の処理を終えるとセイコーの装具を外す。よく頑張ったな。よしよし。メロロアとカウモアが壁作りに加わる中、俺はセイコーを洗ったりご飯を上げたりする。

 全員が壁作りに参加し、影が長くなりだす頃には壁が完成した。今回は入口無し。

「ゲイン~、テント張る?」

「矢が飛んで来るかも知れんし客車で寝ようか。それと、セイコーの部屋に屋根を付けてやらんとな」

「だね。分かった。ご飯作るからお肉とか出して~」

「今夜は魚を焼こうか。昼は肉ばっかりだったしさ」

「スープにはお肉入れるからね?」

「任せるよ」

 食材に食器、炊具を出して、俺はセイコーの部屋作り。更にトイレと水浴び場を作る。柱材を箱に組んで筋交いを入れ、上に板を敷いてやる。簡単なもんだ。トイレは板をコの字に3枚埋め込んで、空いた所に板壁を立てる。ついでに1枚屋根に使おう。水浴び場は板壁の反対側にコの字に3枚。こっちも屋根付けとこ。

「ゲイン、ツルゲネツの葉っぱはあるの?」

「尻拭くのに使えそうなのはワタゲキズフサギしか採れなかったよ」

「何よそれ」

「揉むとモコモコして傷が膿むのを防いでくれるんだ。ただ、揉むと尻拭くのに使えないから硬いまま使ってくれ」

「ちなみにだけど、売ったらいくらになるのかしら」

「メロロア先輩に聞いとくれ。オラは売った事ねーだよ」

 幅広で長く、張りのある葉は1枚なりだと長過ぎる。半分に折ってパキッとすると、切り口から少しだけワタワタモコモコが湧いて来る。アントルゼはモコモコを指で集めてグニグニし、鼻くそを飛ばすようにピーンと捨てた。

「食べられたら美味しそうね」

「苦いぞ」

「残念ね。ちょっと席を外すわ」

 立ち聞きする程興味も無いし、料理の手伝いでもしようかね。そろそろランタン出しとくか。

「メロロア、今夜は忙しくなるだろうから水浴びするなら1番に浴びてくれ」

「了解です。ゲインさんは最後で?」

「だな」

「あら、おっぱい吸い比べしないの?」

「ぐぇっへっへー、俺達も混ぜろやーって来そうじゃん?」

「無いわね」

 アントルゼは否定する。来る前に吸えと?間を置かずカウモアも否定した。

「ですね。そう言う輩では無さそうです」

「ん~?それってさ、お金目的なだけ?」

「タララさん、もちろん私達みたいな美女が居るんですから襲いかかっても来るでしょう。でも基本は生活の為ですね」

「畑の野菜が実ってなかったもんね」

「青かったな」

 行商の分でいっぱいいっぱいな感じはする。そして農業の知恵と、生活の知恵が無さそうでもある。メロロアにワタゲキズフサギの値段を聞いたら、1束大体500ヤンと言われた。1本で10枚程生えているから半分取っても250ヤンだ。

「ゲインさん、水浴びして来ますので見に来ませんか?」

「魔力は温存したいからウォーターウォールは俺が出すか…」

 水浴び場にて、水壁を厚く2枚出すと浴槽に見える。これは良いな。

「ごゆっくりとは言えないが、キレイになってくれ」

「見てかないんですか?」

「飯の途中だし」

 さてさて戻って魚を齧る。食事は暖かいうちに食べないとね。

「見なかったんだ?」

「吸わなかったのね」

「汗ばんだメロロアより焼いた干し魚の方が美味い」

「「「確かに」」」

「そのうち美味しく頂かれますからっ」

「あの人、干物になるそうよ?」

「シワシワのカリカリだね~」

「ピチピチのぷりぷりですっ」

「生で食うのはちょっと…」

 姦しい食卓である。食事を終えてタララ達3人も水浴びに向かう。浴槽状態なので3人でも余裕だ。片付けをして俺も入る。お湯、欲しいな。

 今夜の見張りはタララとアントルゼ、カウモア、俺の順で、メロロアは緊急時だけ起きて来てもらう。寝てたら犯されて奴隷として売られるから、頑張って起きてくれ。まあそんはヘマはしないだろうがな。何かあったらすぐに出たいので毛布の代わりに熊皮のマントを着けて寝る。金属鎧で寝にくいのは変わりないが、とても暖かい。

「ゲイン、始まったよ」

 タララが俺を揺り起こす。うとうとし始めた頃だと言うのに随分仕事熱心な野盗共だな。

「早過ぎだぞ…」

 感知系スキルで村を見ると、恐怖に絶望に怒り、そして歓喜の感情がたくさん。こちらにはまだ寄って来ては居ないが、放っとけば調子こいてこっちに来るかも知れんな。

「メロロア」

「はい」

「村に火でも放つか」

「それしか無いですね」

「ゲイン、いーの?それ…」

 良いかどうかより、殺れるかどうか、生き残れるかどうか、助けられるかどうか、だと思う。




現在のステータス
名前 ゲイン 15歳
ランク C/D
HP 100% MP 100%
体力 D
腕力 E
知力 E
早さ D-
命中 E-
運 D

所持スキル
走る☆☆ 走る☆☆ 走る 走る 走る
刺突☆☆ 刺突
硬化☆☆ 硬化 硬化
投擲☆☆ 投擲
急所外物理抵抗☆☆
飛躍☆ 飛躍
木登り☆
噛み付き☆☆ 噛み付き 噛み付き
肉体強化 肉体強化☆ 肉体強化☆
腕力強化☆ 腕力強化 腕力強化
脚力強化☆ 脚力強化☆ 脚力強化
知力強化☆
体力強化☆ 体力強化 体力強化
ナイフ格闘術☆ ナイフ格闘術
棒格闘術☆
短剣剣術☆ 短剣剣術☆
避ける☆
魅力☆
鎧防御術
察知
探知
マジックバッグ
マジックボックス

鑑定☆ 鑑定
魅了
威圧
壁歩き

水魔法☆ 水魔法
|├ウォーター
|├ウォッシュ
|└デリートウォーター
├ウォーターバレット
├ウォーターウォール
└ボーグ

土魔法☆
├ソイル
├サンド
└ストーン

火魔法
├エンバー
├ディマー
└デリートファイヤー

所持品
革製ヘルメット
革製肩鎧
革製胴鎧
皮手袋
皮の手甲
混合皮のズボン
皮の脚絆
水のリングE
水のネックレスE
水のブレスレットE

革製リュックE
├草編みカバン
├草編みカバン2号
├紐10ハーン×9 9ハーン
└布カバン
 ├冊子
 ├筆記用具と獣皮紙
 ├奴隷取り扱い用冊子
 └木のナイフ

革製ベルトE
├ナイフ
├剣鉈
├剣鉈[硬化(大)]
├解体ナイフ
└ダガー

小石中☆500
小石大☆450
石大☆20

冒険者ギルド証 0ヤン

財布 ミスリル貨231 金貨31 銀貨8 銅貨9
首掛け皮袋 鉄貨74
箱中 530,759→428,359ヤン 
ミスリル貨 金貨10 銀貨272 銅貨560 鉄貨359 砂金1250粒


マジックボックス
├猪(頭・皮)燻301枚
├戦利品
├箱
|└シルクワームの反物×33
├未購入チップ各種箱
├医薬品いろいろ箱
├食料箱×2
├調理器具箱
├ランタン箱
|└油瓶×10 9/10ナリ
├竈、五徳
├蓋付きバケツ大
├テントセット
├マット×4
├中古マット×5
├毛布×9
├洗濯籠
|├耐水ブーツ
|└耐水ポンチョ
└宝石
鉄兜E
肩当E
胸当E
腰当E
上腕当E
ゲル手甲E
ゲル股当E
帆布のズボンE
脛当E
鉄靴E
熊皮のマントE

籠入り石炭0
石炭80ナリ

ランタン
油瓶0/0.8ナリ
着火セット
服箱
├中古タオル
├中古タオル
├未使用タオル×2
├中古パンツ
├パンツE
├未使用パンツ×2
├ヨレヨレ村の子服セット
├サンダル
├革靴
├街の子服Aセット
└街の子服Bセット

スキルチップ
ハシリウサギ 0/4521
ウサギS 0/1
ウサギG 0/1
ハシリトカゲ 0/3166
ハシリトカゲS 0/1
ハチ 0/2859
ハチS 0/1
カメ 0/3459
カメS 0/1
ヨロイトカゲS 0/2
石 0/1861
石S 0/1
スライム 0/2024
オオスズメ 0/1573
トンビS 0/4
フォレストモンキー 0/972
ウルフ 0/1070
カラードウルフ 0/1
ワニS 0/1
グラスベア 0/1
ラージアントワーカー 0/100
ラージアントソルジャー 0/100
蝶 0/204
花 0/161
腕 0/541
腕S 0/1
腕G 0/1
脚 0/650
脚S 0/101
脚G 0/1
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体 0/523
体S 0/1
体G 0/1
棒 0/627
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ナイフS 0/1
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短剣S 0/100
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