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相手は死ぬ

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 一匹目がマスク・ジ・エンドされて皆が息を吐くが、少年隊の釣りが甘く、他のトカゲが気付いて寄って来てしまった。

「皆っ、また来る!」

逸早く気付いて声を掛ける後方のアズだが、飛んで来るのは三匹、七人で殺るには荷が重いか?

「ガット、ニット、アレ仕掛けっぞ」

「「うぇーい」」

アレとは何ぞやアレとは。ぴょぴょんと飛び跳ね三匹のトカゲに近寄ってくと、撹乱してそれぞれの距離を離してく。

「どれ狙えば良いのさ」

「真ん中だろ?」「はよはよ~」

「まあ、腹なら当たらない、かっ。すぅ~」

振り抜かれたモーニングスターから鉄球が伸び、一直線にトカゲに向かう。トカゲは目視してるだろうが、慢心してるのか首を振って小バエを追っているようだ。因みに小バエは頭に着いてる。

ドンッ!

トカゲの腹を貫いて、棘が背中迄貫通しとる。小バエはトカゲから離れて引き戻す鉄球に捕まって帰って来た。

「良い撹乱だが、もうちょい近くで狩った方が良いな。ドロップ取りに行き辛くないか?」

「だな。言って来るよ」

「言いに行くなら離れてよ」

「このまま飛ばして」

やれるのか?やって見なくちゃ分からない。シトンが見るのでどうぞと手を差し伸べた。死ななきゃ治してやる。

「棘は出さないかんね?」

「うぇーい」

大きく振り被って振り回されたモーニングスターから、鉄球とダートが飛んで行く。ダートが踏ん張って飛んだ分、普通に飛ばすより早いかも知れない。トカゲに狙いを定めて居たが、飛んでるトカゲは離れてく。野外での命中度はそんな物だろう。近付くだけ近付いて、ダートが飛んだ。が、威力が無くて落ちてった。横からの攻撃に弱いって訳か。

「大丈夫かねえ」

「下に何も居なきゃ良いけど」

何もは居ないが危険である。俺は《転移》しダートを回収して戻った。

「し、死ぬかとおもた…」

「マジヤバだったな」

「あ、助けて来たんだ」「相当ヤバかったんだねー」

「地面、シト姐の鉄球みたい、なってた。ふひー」

「「うわー…」」

「チッチッ、キーキッ」

お、ダートが舌打ちしとる。ラビアンはコレ聞こえるらしいんだよな。最初からしろって思うけど、モーニングスターの弱点も知れた訳だし叱れねえ。
舌打ちが聞こえたのか、トカゲが一匹こっち来た。

「ソッチはワー姐ちゃん達に任せっぜ」

「おう」「あいよ」

少年隊は奥に居るのを殺るみたい。ダートはぴょんぴょん跳ねてった。アズは頭の上に手を翳し、風魔法で旋盤を作ると、手を振り下ろして投げ付ける。毛の無い奴が胴体真っ二つになる攻撃だが、果たして。
だが、狙いが低い。速さは鉄球以上なものの、目標が動いているし、水平がブレて縦になってしまってる。

「当たら、ないでよね…。そぉいっ!」

旋盤が突然跳ねる。否、操作してるのか。先程よりも素早く飛んで、トカゲの左後脚と尻尾が胴体から離れて行く。凄い威力に育ったな。落ちて来たトカゲの胴体にフレンズが飛び込んでってマスク・ジ・エンド。相手は死ぬ。

少年隊が殺っている一匹も此方に寄って来た。終わるのを待っていたのだろう。魔装の角を突き刺したり、両目をグリグリやって煙に変えていた。空中で殺ると落っこちるぞ…。

「殺るならちゃんと落としてから!分かったね!?」

「「「はーい」」」

姐達に叱られる少年隊であった。着地の瞬間までマントで何とかしようとしてたからな此奴等。

「ジョンのトコ行って瞬歩習っておいで。空に向かって瞬歩すれば落下の力を削げるから」

「あーねー」「それでジョンは着地出来てたのか」「マントで飛んでると思ってた」

「巨大な石をマジックボックスに入れといて、着地前に出して跳ぶとか、他のやりようもあるにはあるが、その為にドロップ入れる容量を削りたく無いよな?」

「「「はーい」」」

「まあ、死なせんから今は一杯失敗しろ」

「「「はーーい」」」

良い返事である。さて、残りは五匹か。




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