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お休み中

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「旦那様の仕事を助けるのは我等の力では強過ぎる。夫を立てるのが妻ならば、我等は見守るのが努めだろうな」

 真の母は偽りの母と意見を変える。正直手伝いは欲しい。欲しいが多過ぎても困る。俺やる事無くなるからな。

「ぐぇ…。でもお仕事なら、仕方無いの」

カラクレナイは母の言葉を聞いて渋々諦めの様子。仕事以外の時には慣れた場所に連れてってやるかね。

「そうですねぇ~。因みに場所は、何処ですかぁ?」

「ネーヴェのダンジョンに行く。彼処は潰しても問題無いからな」

「なら私、いく」

リュネの問いに答えると、ネーヴェが名乗りを上げた。卵帰りした巣でもあるし、何かあるのだろうか?

「助かるけど、忘れ物でもあるのか?」

「お土産、とってく」

うん、レジャーだね。最奥迄行く予定なのでカラクレナイは連れて行けないが、ネーヴェなら古巣だし問題無いか。それに直ぐに行く訳でも無いので取り敢えず頭に入れといてもらうと言う事で、赤ちゃん見に行こ?

 産婆達の片付けが終わり、清浄な空気の満ちる客間に四人の母とその赤ちゃん達が休んでいる。どうやらお休み中だった様だが、フラーラは起きていて、入っても大丈夫だと言ってくれた。

「アルネスさんは昨夜なのでな、お静かに願う」

「フラーラもお疲れ様」

「私は早かったが、ノーノは大変だったぞ」

聞くと、一番手で双子だったそうだ。静かにしてるから気付くのが遅れたが、ちっちゃい命が二つ居る。姫付きメイドは嗜みとして《耐性》を持つので普通の妊婦よりはマシとは言うが、一人の時の倍時間が掛かるので辛そうだったとの事。《感知》で四人を診て、軽く《治癒》を掛けておく。しっかり治すと広がったままになってしまうと《叡智》で出たからだ。

「あ…」

「起こしちゃったか」

《治癒》されてシャリーが目覚めた。

「お帰りなさいませ。頑張りましたよ」

「ああ、頑張ったな。ありがとうな」

今はまだ皆疲れてるだろうし、赤ちゃん達のお披露目は明日にして一旦部屋を出た。


 さて、島に戻ってやる事と言ったら、そう、仕事だ。風呂場の二階に立て篭り、机に陣取り雑木紙と筆記用具を取り出すと、ドーンドゥールの洞窟をマッピングする。地下一階から四階、そして地上一階をマッピングし、再開発に伴う設計図を描いて行く。
地上一階は階段しか無く屋根も無い。二十ハーン四方の空き地の中心にポツンと階段、その横に掘っ建て小屋みたいな入場受付があるだけだ。オーバーフローした時に冒険者を集めたり、被害を受けないようにしてあるのだろうが、周りに殆ど壁も無く、どうやって対処していたのか想像も出来ん。更に今雨が降ると穴に水が入ってしまう。
先ずは壁からだな。ダンジョンは街の北北西、北側の端。東は通りに面しているので店屋が壁の代わりになっているが無の礫な事は明白だ。北側は街の壁、此処も直すべきだろう。南はこのエリアの入り口で、ホルスト車四台は通れる大通りより太い通りがあるのだが、コレ逆にオーバーフローの通り道にされるだろ。そして西側にはホテル街と風俗街。倉庫も此方側にある。ホテルを壁にしてるのは考えたモンだが、普通に路地とかあるからな。はみ出し者が入って来ちまう。壁を作り、動線を確保する為ペンを振るった。

 東西南北、四方を二十ハーンの壁で囲み、南には入場門、北にはオーバーフロー時に開けてモンスターの動線とする排出門を設計する。排出門の先は左にRを付けて通路。通路を挟む壁を伸ばし、百ハーン程歩かせた所で穴を開ける。五十ハーンに設定したが、そこは追々で良いだろう。コレで、飛ぶ奴以外は放置で良い。
ホテル街の日照権が不安だが、それも追々だな。

次に地上の建屋。オーバーフローしたらどうせ壊されるので入場受付も掘っ建て小屋なのだろうが、雨対策だけはしないとな。入口は一段高くし、八本の柱を円状に刺して屋根を付けるだけ。どうせ壊されちゃうしな。




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