上 下
1,434 / 1,519

酒を飲んだら船酔いしない

しおりを挟む


「だがまぁ、そんな会なら毎日やりてぇが、酒も飯も持たねぇな」

 落ち着く為か、木のジョッキを大きく煽って息を吐く。

「毎日出来無いから祭なんだよ。長い所は一年掛かりで準備したりするな」

とは言え祭なんて急には出来ん。隣の部落の者と交流を持つ所からだ。それより先に、国王と仲良くなれる。住民に比べて国王は一人なのだから楽なモンだろ?そう告げるとディカッカは大きく笑った。

朝が近付き、寝ていた船員が起き出すと自然と解散の流れとなる。漁師はこれから仕事だと。酒を飲んだら船酔いしない、だって。それ船酔いを酒酔いのせいにしてるだけだからな?
解散し、店を出た俺はネーヴェを横抱きに、リュネをおぶって鉱山へ。因みにリュネは起きている。穴の宿に着くと初お目見えの受付嬢。説明しても寝てる子等を起こす事になるし、部屋を一つ借りる事にした。

「生憎大部屋しか空いて無いんですよぉー」

「うが、構わんよ」

リュネのハグが食い込む。十人用の大部屋で、お値段素泊まり十五万ヤン。はぁ…。

「良いのか?俺ワーリンとキキラの連れだけど」

「え?お客さん、他所の人ですよね?」

「此処には一度泊まってるし、昼飯も食べたんだ」

「それで?払えないんですかぁ?」

「後で確かめるよ」

「お金を貯めてまた来てくださいねー」

リュネがキレる前に島へ、リュネの部屋へと《転移》する。俺が少しでも苛付いてたらヤバかった。

「リュネ~ン」

「カケルさぁ~ん」

「うぎゅ…」「お、お帰りなさいませ。お酒臭いです…」

抱き合って、抱いてたネーヴェを押し潰し、寝惚け状態のテイカが出迎えに来た。

「朝になったら残した子等を回収に行くよ。テイカも気にせず休んでおくれ」

「はい…、おやすみなさいませ…」

部屋を出るテイカを見送ると、三人川の字になって寝る。俺が真ん中だ。

「女だったから、ですか?」

腕に絡んだリュネが言う。

「生きて罪を償ってもらおうかと」

目を閉じたままの俺は返す。

「…次は無いです」

「俺に任せとけ。お休み」

毒物に強い龍であっても、今夜は少し飲み過ぎてしまったようだ。腕枕してやるとギュッとくっ付き動かなくなった。人の事言えんがおちゃけくちゃい。《洗浄》掛けたら激怒されそうなので我慢して寝た。

 数オコンして湯に入り、スッキリしてから宿へと戻る。寝起きの悪い二人は残して行った。

「あれー?また来た。女の人はどうしたんですかぁ?」

「家に寝かして来たよ。ワーリン達と落ち合わなきゃならんからな。それにしてもお前失礼だな」

反撃の戯言が聞こえて来るが、気にせず食堂へ向かう。食堂に居る客はポツポツだが、スープの良い匂いで直ぐに混み合う事が想像出来る。

「お客さん、お決まりなら聞きますよ?」

「その人お金持って無いからー」

「本当?」

「冒険者はギルド証で払えるよな?癪だから現金で払うが。それにしてもアレは何なんだ?人種に恨みでもあるのか?」

「さあ。気に障ったのでは?」

「そんなつもりは無いんだがなぁ。肉とスープとソーサー。魚スープある?」

遠くからまた何か言ってるが、現金で払って飯を待った。

「おはよ。お前さん、あの子と何かあったの?」

暫くして届いた朝食を食べていると、起きて来たお泊まり一行が俺に気付いて寄って来る。そしてワーリンは怪訝な目を入口に向けた。

「ネーヴェを抱っこしてリュネをおんぶしてたら大部屋十五万って言われたよ」

「リュネ様、寝てたの?」

「起きてたよ。激オコプンプン丸だから島に置いて来た」

「うわ…。アルア様達は座って食べててね?ちょっと行って来る」

ワーリンは少年少女を円卓に座らせると入口に向かって飛んでった。既にソコにはキキラが居て、イライラした感情がえる。

「取り敢えず奢ってやるから好きなだけ食え。フレンズの分も頼んどけよ」

「「「うぇ~い」」」「承りました」「ありがとカケルー」

宿泊客の料理が揃う前に店長が謝りに来た。







しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する

美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」 御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。 ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。 ✳︎不定期更新です。 21/12/17 1巻発売! 22/05/25 2巻発売! コミカライズ決定! 20/11/19 HOTランキング1位 ありがとうございます!

分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活

SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。 クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。 これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

漫画の寝取り竿役に転生して真面目に生きようとしたのに、なぜかエッチな巨乳ヒロインがぐいぐい攻めてくるんだけど?

みずがめ
恋愛
目が覚めたら読んだことのあるエロ漫画の最低寝取り野郎になっていた。 なんでよりによってこんな悪役に転生してしまったんだ。最初はそう落ち込んだが、よく考えれば若いチートボディを手に入れて学生時代をやり直せる。 身体の持ち主が悪人なら意識を乗っ取ったことに心を痛める必要はない。俺がヒロインを寝取りさえしなければ、主人公は精神崩壊することなくハッピーエンドを迎えるだろう。 一時の快楽に身を委ねて他人の人生を狂わせるだなんて、そんな責任を負いたくはない。ここが現実である以上、NTRする気にはなれなかった。メインヒロインとは適切な距離を保っていこう。俺自身がお天道様の下で青春を送るために、そう固く決意した。 ……なのになぜ、俺はヒロインに誘惑されているんだ? ※他サイトでも掲載しています。 ※表紙や作中イラストは、AIイラストレーターのおしつじさん(https://twitter.com/your_shitsuji)に外注契約を通して作成していただきました。おしつじさんのAIイラストはすべて商用利用が認められたものを使用しており、また「小説活動に関する利用許諾」を許可していただいています。

ちっちゃくなった俺の異世界攻略

鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた! 精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!

処理中です...