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聞かせるような事でも無い
しおりを挟む閉店ガラガラ。シャッター無いけど業務終了。掃除を手伝い島へと帰ると、食堂に来るように、と出迎えのテイカ。
「何かあった?」
「女が来ております」
「それは急がねば」
「女は此処にも居りますが」「此処にも居ますよぉ~」
「誰が来たのか言わないのが悪い」
二人のお尻をペチンして食堂に向かうと、そこに居たのはバジャイ…にクンカクンカされている貴様であった。バジャイはきっとネーヴェに連れて来られたのだろう。ウラシュ島のお友達も居るしな。
「カケル様っ!知ってる女!」
「そうかいそうかい。フシャーしなくて偉いぞー。用も無しに来ないだろうし、話聞こうか」
「はい。ハーク王からのお呼び出しです」
「お兄様から?」
ハークと聞いて割って入るアルア。そう言えば俺の義兄にもなるんだよな、歳下だけど。
「先日のケーキのお礼と、鳥卵の増産の報告。それと、此方は本決まりではありませんが、貨幣の件、カケル様のランクの件で話が持たれるかも知れません」
「城の中は落ち着いたみたいだね」
「暗部総動員で当たりましたから」
「何なさったのです?」
「政治にまつわる事だからアルアには内緒だ」
「うっ、夫に隠し事を…」
「悪政強いてた者を処したんだよ。聞かせるような事でも無いでしょ?」
「そうですが…」
「アルア、良き妻は察するモノですよ」
「はい」
リアに窘められているが、皆後でどっかから聞いて来るつもりなのだろう。我が妻は腹芸も達者だ。
で、
「私もいくー」「でしたら私も」「私も偶にはぁ~」
と名乗りが上がり、明けて明日、ハーク王の御座すミソプファンティアに向かう事となった…のだが。
「俺も!」「「俺達も!」」「「「ハークに会いたーい!!」」」
「オレとキキラも土産持って里帰りしたいんだよ。良いだろ?」
朝食の場に少年隊とフレンズの五人が居て、モリモリ飯食ってた。貴様はどのルートで島に来たんだ?ヤリ部屋からリュネの部屋じゃ無いのか?
「カケル様!もじゃもじゃ!いっぱい!」
「もじゃもじゃじゃなくて、もふもふだねぇ」
口の中から色とりどりの欠片と共に声も出すバジャイを撫でてやる。バジャイはもふもふよりスベスベだ。南国住まいのバジャイは同行しないそうで、お友達と一緒にルドエに帰るそうな。
「じゃあ行くぞー、先にワーリン達の地元からな」
「「あーーい」」
「お土産期待」「「「お待ちしてまーす」」」
食事を終えて、リュネ、ネーヴェ、アルア、少年隊、フレンズ。俺含めて九人集まる。リュネは場所を知らないみたいなので俺が《転移》させる。
「着いた」
「「「おおー」」洞窟だぜー」
「鉱山都市な?」「ギフィ鉱山つーんだ。旦那ぁ、門の中に直接は不味いよ?」
「マジか」
皆にくっ付いてもらい、改めて門前…からちょっと離れた場所に《転移》。上手い事人の見えない場所に着けた。
「う、さみー」「兄貴っあったかいの出して!」「こおる…」
「オーバーだなぁ」
龍と俺以外の面々が寒さの意を示す。誇張であると言いつつも、島やバルタリンドの格好で来るとそりゃあ寒いわな。雑木シーツを出してやり、柔らか丸太が六本出来た。早いトコ里帰りしよう。
「な、何者!?」
「ウヴァルの娘のワーリンだ。里帰りに来たっ」
「オルグの娘のキキラも居るぞー」
「おお、二軒隣の娘か。嫁いだと聞いたが」
「偶には親の顔見ないとね。特にかーちゃんの」「だねー」
街に入るのはフレンズだけで俺達は中に入らないのですんなり通ってった。
「さて、行くか」
「えー」「ダンジョンみてぇだし」「中見てえしー」
「帰りも来るからその時は少し観光させてもらおうか」
「「「うぇ~~い」」」
少年隊は暗い所を好むようだ。さて、今度はどの辺に移動するか。
「カケルさぁん、城で良いなら私が~」
「え?それならよろ、うっ」
答えてる最中に《転移》するのマジ辞めて。…で、場所はどうやらハークの自室。メイドが刺して来ないのは、リュネが居るから…では無い。少年隊を羽交い締めにする振りしてクンカクンカしてるからだ。
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